フェルスタッペンとマルコがホーナーについて語る

クリスチャン・ホーナー氏がレッドブル・レーシングから電撃解任された後、各要人の公式反応が見え始めた。温かいものもあれば、明らかに抑制されたものもあった。水曜日の朝、チームのミルトン・キーンズの従業員らにホーナー氏の退任が知らされ、レッドブルを野心的な新参者からF1の強豪チームへと変貌させた20年間の統治に終止符が打たれた。
ホーナー氏がソーシャルメディアを通じて正式な別れの挨拶を発表し、在任中に積み重ねたチャンピオンシップ、レース勝利、記録を振り返った一方で、フェルスタッペン陣営からの反応と、ホーナー氏の長年の同僚でありライバルでもあったヘルムート・マルコ博士からの反応が、レッドブル・レーシングで進行中の地殻変動への深い洞察を提供した。
フェルスタッペン陣営からの冷静な反応
マックス・フェルスタッペンとその家族の親しい相談役であるレイモンド・フェルメーレン氏は、オランダの新聞「デ・テレグラフ」に対してフェルスタッペン陣営からの最初の公式コメントを発表した。
「私たちは事前に知らされていました!これはレッドブルの決定です。私たち(チーム・フェルスタッペン)にとって、何も変わりません」
この発言の簡潔で冷静なトーンは、フェルスタッペン家とホーナーの間で生まれた長年の成功である4度のワールドチャンピオン獲得と多くのレース勝利とは対照的だった。特に注目すべきは、ホーナー氏と長年複雑で時に困難な関係を築いてきたマックスの父親であるヨス・フェルスタッペン氏が沈黙を保っていることだった。
現段階では、ヨスが公式コメントを発表する可能性は低いとみられ、この問題を息子とレッドブル・レーシングの間のプライベートな問題として捉えているようだ。
マックス・フェルスタッペン:敬意を込めた賛辞
しかし、マックス・フェルスタッペンは個人的な賛辞でより感謝の気持ちを表現した。ソーシャルメディアで、自身の急激な成長におけるホーナー氏の役割を認めた。
「私の初勝利から4つの世界チャンピオンシップまで、私たちは信じられない成功を共有した。記憶に残るレースでの勝利と数え切れないほどの記録更新。すべてをありがとう、クリスチャン!」
From my first race win, to four world championships, we have shared incredible successes. Winning memorable races and breaking countless records. Thank you for everything, Christian! pic.twitter.com/au4XjMqhlH
— Max Verstappen (@Max33Verstappen) July 9, 2025
フェルスタッペンの謝辞は別れの挨拶であると同時に、継続性の微妙な合図でもあった。他チームへの移籍の可能性について憶測が渦巻く中、彼自身のレッドブルでの将来が焦点となっている。
マルコ氏の反応、オーストリア派が統制を固める
レッドブルの長年のモータースポーツアドバイザーであり、しばしばホーナーの制度的対抗勢力とされてきたヘルムート・マルコ氏は、チームのソーシャルメディアチャンネルを通じて正式な声明を発表した。
「クリスチャンと私は20年以上、F1とF3000の両方で非常に良く協力してきた。そのことについて、クリスチャンに心から感謝したいと思う」とマルコ氏は述べた。
「この間、私たちは信じられないほど多くの優れた成果を祝ってきた。2人のワールドドライバーズチャンピオンと数人のグランプリウィナーの育成に貢献した。それは常に、そして今でも、レッドブルのやり方である」
マルコ氏はまた、現在のチャンピオンシップ争いに注意を向けた。「まだ12レースが残っており、数学的に可能な限り、ドライバーズチャンピオンシップのために戦い続ける」
彼のトーンは礼儀正しかったが、行間の意味は明白だった。レッドブル創設者のディートリッヒ・マテシッツ氏の死以来、ホーナー氏とマルコ氏は静かだが激化する権力闘争に巻き込まれていたことが知られている。かつては協調的だった彼らの関係は緊張し、内部での駆け引き、対立する忠誠心、レッドブルの将来に対する異なるビジョンの報告がなされていた。
レッドブルブランドのタイ系大株主と連携したホーナー氏は、従来マルコ氏の領域であった技術的決定とドライバー決定において権力を集中させようとしていたようだ。フェルスタッペンのマルコ氏とオーストリア系組織への忠誠心が、分極化した組織でのバランスを決定づけた。
権力闘争の後、生じた空白
2005年にレッドブルが破綻したジャガーチームを買収して以来舵取りを続けてきたホーナー氏の退任は、深刻な指導力の空白を残している。ローラン・メキース氏が新CEOに任命されたものの、今後の挑戦の困難さを軽視する者はほとんどいない。
マックス・フェルスタッペンの代替を見つけることは困難な任務となるだろう。クリスチャン・ホーナー氏の代替を見つけることも、同様に困難かもしれない。
フェルスタッペンとマルコ氏が協力するオーストリア派が内部闘争で勝利を収めたように見える一方で、チームは今やホーナー氏の不在による余波に対処しなければならない。指導力の結束、チームの士気、長期的な戦略方向性のすべてが危うい状況にある。
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