メキース氏、レッドブル新代表就任の経緯を説明「想像もしていなかった」

2025年F1ベルギーGP金曜日、ローラン・メキース氏がFIA公式会見でメディアの前に座った。彼が「想像もしていなかった」レッドブル・レーシングのチーム代表に就任してからわずか2週間のことだった。
今回の就任にどう感じているかと聞かれたメキース氏は「ただただ光栄で、恵まれていると感じている。チームが過去20年間積み上げてきた成果は驚くべきものだからね」と語った。
この任命はメキース氏本人にとっても突然だったという。「公式発表の数時間前に電話を受けた。想像もしていなかったし、本当に予想外だった」
レッドブルCEOのオリバー・ミンツラフ氏とレーシングアドバイザーのヘルムート・マルコ博士から受けたその電話は、過去10年間でF1を支配してきたトップチームの指揮を執ることができるかという内容だった。
「実際、私はVCARBのチームと一緒にイギリスにいて、全く予期しない形でやってきた」と彼は振り返った。「数時間考えさせてほしいと頼んだよ。でも、その瞬間『あのレッドブルからのオファーだ』と我に返ったよ」
この決断は軽く下されたものではなかった。「もちろん、最初の思いはクリスチャンにも向かった」と突然解任されたクリスチャン・ホーナーについて語った。レッドブルはまだこの解任について詳しい説明をしていない。
「彼はこの2年間、私に対して非常に支援的だった。彼が私をレッドブルファミリーに戻してくれた一人だというのは周知の事実だ」
レッドブルの幹部がホーナー解任のタイミングや理由について明確な説明をしたかと問われ「簡潔に言うと、説明はされていない。我々は『なぜ』や『なぜ今なのか』については触れなかった」
「クリスチャンのことを考えると、やはり複雑な気持ちだった」
「しかし一番大きいのは、レッドブルからのオファーだったということだ。ブランドへの忠誠心の問題で、もちろん、そこで私が必要だと言ってくれるのなら期待に応えるしかない」
決定からの2週間、メキース氏はチーム組織の内部を観察することに時間を費やしてきた。「長所と短所を理解するために、他の方法はない」と語った。「彼らは運で勝ったのではない。才能の組み合わせで勝った。あらゆる小さな分野が開かれており、物事への取り組み方は徹底している」
また、最近のVCARBでの仕事と比較して、上位グリッドで活動する激しさに言及した。「チャンピオンシップを争っている時はゲームが全く変わると言って良い」「あらゆる分野で思い切った選択をする必要がある」
メキース氏の最初の大きな挑戦の一つは、将来について様々な憶測が飛び交う中で現世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペンを引き留めることだろう。
「マックスは速いマシンを望んでいる」と認めたメキース氏。「速いマシンを与えれば、他の全ての考慮事項は関係なくなる。それが我々の焦点だ。競争力の次のステップを築き、マックスにとって簡単でベストな選択肢になることだ」
レッドブル・レーシング内部で、メキース氏は前向きで意欲的なチームワークが見られたと言う。「最初の24時間は大きな調整だった。しかしその後、彼らからの多大なサポートを得た」「誰もがレースで勝とうと発起している。クリスチャンのリーダーシップの下で達成されたことに対して並々ならぬ敬意を示している」
しかし、メキース氏は前任者を真似しようとはしていない。「誰もクリスチャンに取って代わることはできない」と彼は語った。「私は彼がやった方法で仕事をするつもりはない。少なくとも私はしない。しかしこのチームが持つ素晴らしい層の厚さに頼る。チームの一人ひとり、誰もが力を発揮している」
2026年のスポーツの大幅な規則変更とフォードとのレッドブルの新しい自社エンジンプロジェクトを見据え、メキースは不確実性よりも新しい機会を見ている。
「レッドブルは2つの素晴らしい成功の時代を歩んできた。次の時代は規制の変化と我々独自のパワーユニットで行くという決定によって特徴づけられるだろう。全チームにとって新しい時代が始まる」
プレッシャーをどう扱うかと問われたメキース氏は前向きな見解を述べた。「結局、我々は元々はF1ファンだ。それが我々の正体で、趣味を仕事にしてお給料をもらっている。そしてそれは非常に幸運なことだ」
続けて、「我々はただ各レースを勝ち取りに行きたいだけだ。それが我々全員の愛することだ」と笑顔で答えた。
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