アゼルバイジャンGPプレビュー:レースペースとクラッシュのジレンマ

Azerbaijan GP 2023
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カレンダーの短い休止を経て、F1はアゼルバイジャンGPのためバクー市街地に戻ってくる。カスピ海沿いのこのタイトでテクニカルなサーキットは、長年にわたり予測不能な展開を生む舞台として知られている。メキシコGPまで残り3戦となり、角田裕毅にとってはレッドブル傘下で2026年のシートを確保するため、すべてのレースが大きな意味を持つ状況だ。

サーキットについて

バクーはまさに相反する特徴を持つコースだ。F1最長クラスのストレートと、コンクリートウォールに囲まれた直角コーナーの連続で構成されている。悪名高い「キャッスルセクション」は今もなお最難関のひとつで、わずかなミスが大きな代償につながる。プラクティスでは、多くのドライバーが限界を試す中で壁に接触する場面も珍しくない。

ここでは直線スピードがカギとなる一方、リアタイヤのマネジメントも重要だ。チームは低ダウンフォース寄りのセッティングを選ぶと見られ、それはモンツァよりわずかに高いレベルとなる。これまではシャルル・ルクレールとオスカー・ピアストリが好相性を見せており、今週末も再び活かそうと狙っている。ただし、直前のモンツァで勝利を挙げたレッドブルとマックス・フェルスタッペンも、優勝候補の筆頭に挙げられるだろう。

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天候とタイヤ

この時期のバクーは比較的安定しており、予報では25℃前後の暖かく乾燥したコンディションが見込まれている。路面は市街地特有のスムーズなアスファルトでタイヤの摩耗は少なめ。そのためピレリは最も柔らかいレンジを選択し、C4(ハード)、C5(ミディアム)、C6(ソフト)を持ち込む。

このタイヤ選択は複数ストップ戦略を促す狙いがあるが、過去のレースでは保守的な1ストップが主流だった。昨シーズンはエステバン・オコン、ダニエル・リカルド、ピエール・ガスリーがハードタイヤ1セットで走り切っている。ピレリは今年、よりアグレッシブな展開になることを期待している。

オーバーテイク

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バクーは波乱の舞台として有名だが、実際にはオーバーテイクが容易というわけではない。昨年はわずか47回のパスにとどまり、その多くはDRSトレインに阻まれた結果だった。オーバーテイクのチャンスは、メインストレートからのターン1、そしてターン3へ向かう2つのゾーンに限られる。スリップストリームを抜け出すのが大きな課題だ。

注目チームとドライバー

フェラーリは例年、予選1ラップで速さを見せる傾向があり、特にルクレールは好成績を収めてきた。しかし、その速さを決勝の結果につなげるのは容易ではない。マクラーレンはモンツァで弱点を露呈した後だけに、厳しい状況での参戦となる。昨年のバクー優勝は特別なリアウイング仕様の助けがあったが、それはすでに禁止されており再現は難しい。

とはいえ、ピアストリは依然として注目の存在だ。これまでバクーで安定した速さを示しており、選手権で有利な立場をさらに広げたいところだ。モンツァでのチームオーダー問題もあり、マクラーレンが2人のドライバーをどう扱うかは引き続き注目される。

一方、レッドブルは新たな自信を持って臨む。ヘルムート・マルコによれば、ハンガリーGPで見られた初期の課題はすでに修正され、アップグレードはフェルスタッペンのドライビングスタイルに合う形で最適化されたという。ローラン・メキエスもシミュレーションや準備の精度を高く評価しており、マルコはモンツァ後に「バクーのような高速サーキットでは非常に楽観的だ。今なら何でも可能だと信じている。マックスはかつてないほど意欲的だ」と語っている。

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