シンガポールGPプレビュー:暑さと湿気が試す真の実力

マリーナベイ・ストリート・サーキットで開催されるシンガポールGPはF1カレンダーの中でも最も過酷なレースのひとつである。蒸し暑い気候と高湿度がドライバーを肉体的・精神的に消耗させ、狭いストリートサーキットでは小さなミスも即座に罰せられる。戦略は常に予測不可能で、セーフティカーの出動はほぼ確実。今年は4人のルーキーが初めてこの挑戦に臨む。
モンツァやバクーとは異なり、シンガポールはモナコやブダペスト同様、最大ダウンフォースを要求する。2戦続いたローダウンフォース・サーキットを経て勢力図は再編され、マクラーレンが再び主導権を握ると予想される。レイアウト変更後もオーバーテイクは依然困難だが、4つのDRSゾーンがドライバーにわずかなチャンスを与える。
ピレリはC3ハード、C4ミディアム、C5ソフトという最もハードなレンジを持ち込む。昨年同様、多くのドライバーがミディアムとハードを組み合わせたワンストップ戦略を採用すると見込まれる。
フェラーリ
バクーで大打撃を受け、コンストラクターズ選手権で3位に後退したフェラーリ。だがハイダウンフォース・サーキットは彼らのマシンに合うはずで、強力なドライバーラインナップが復活の鍵を握る。
メルセデス
バクーでは好調だったが、シンガポールは試練となりそうだ。ジョージ・ラッセルは勢いに乗る一方、マシンが高温多湿に対応できるかは不透明。ルーキーのルーキーのキミ・アントネリもプレッシャーの下でマリーナベイを学ぶという挑戦に直面している。
マクラーレン
集中を欠いたバクーからの再起を狙う。MCL60の特性はこのコースに合致し、昨年支配的だったランド・ノリスがタイトル争いでオスカー・ピアストリとの差を縮めにかかる。チームとしても2025年コンストラクターズタイトルに向け重要な一戦だ。
アストンマーチン
フェルナンド・アロンソはミッドフィールドの切り札となる存在。低ダウンフォースで苦しんだ後、ここでは戦闘力を取り戻す可能性が高い。VCARBとのコンストラクターズ6位争いに注目だ。
レッドブル
マックス・フェルスタッペンは勢いを持って臨むが、シンガポールは彼にとって鬼門のサーキット。2022年に勝利したセルジオ・ペレスとは対照的に、相性は良くない。それでもハイダウンフォースでの改善を見せたRB21に、ヘルムート・マルコ氏は「リトマス試験」との期待を寄せる。マクラーレン勢がつぶし合えば、勝利でタイトル戦線に再浮上する可能性もある。
角田裕毅
角田裕毅にとって、これはキャリアの決定的な週末になる可能性がある。レッドブルの2026年ドライバー発表はメキシコGPまでに予想され、彼はシンガポールが成功か失敗かの分かれ目のチャンスであることを知っている。ここでの実績は貧弱で、2023年にはリアム・ローソンがデビューでポイントを獲得する一方、角田は空手で帰った。しかし2025年は異なる物語をもたらすだろう。
バクーが転換点だった。彼のP6は、以前に見たことのない冷静さ、ペース、成熟さで獲得された。メキエスはホーナーが決してしなかったほど彼を強く支持し、角田がシンガポールで結果を出せば、マルコでさえ注目せざるを得ないかもしれない。彼の将来はそれにかかっている可能性がある。
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