フェラーリは復活できるのか? ヴァスール代表は冷静な姿勢を貫く

フェラーリ、シンガポールでも苦戦継続
シンガポールGPでも再び厳しい週末となったスクーデリア・フェラーリ。イタリア国内では新たな批判の声が強まっている。
イタリアのF1ジャーナリスト、レオ・トゥッリーニは、フェラーリの現状を率直に次のように要約した。「見通しも、タイトルの可能性もない」
また、元F1世界チャンピオンのジェンソン・バトンは、イタリアのTV番組「スカイ・イタリア」の取材に対し、チーム内部の緊張感について言及した。「失敗を恐れてはいけないが、いまのフェラーリはまさにその雰囲気だ」
ハミルトンとルクレールに募るフラストレーション
赤い服を着た生活への移行が予想よりも困難となっているルイス・ハミルトン。チームメイト、シャルル・ルクレールの前6番手で予選を終えたあと、次のように語っている。「おそらく間違っていたが、もっと上位争いができると思っていた。だけど、セッションの進行状況やピットレーンでの待ち時間、タイヤの使い方…すべてのことがうまく噛み合わず、全体的に最適化することができなかった。チームで冷静に話し合って、取り組んでいかなければならない。誰もが最善を尽くしているが、ほかのチームのやり方にも耳を傾ける必要がある」
ポールポジションを獲得した元チームメイトのジョージ・ラッセルについても言及し、メルセデスとのアプローチの違いを指摘した。「メルセデスは先手を打っていたし、タイヤの温度も下がらなかった」
ルクレールはまたも苦しい週末をすごしたことに悔しさを露わにした。「このタイプのサーキットでは通常苦戦するメルセデスがポールポジションを獲得した。言い訳はできない。我々はもっと良くならなければならない。ほかに何が言えるのか分からない」彼のコメントからも、週末を通してどれほど困難だったかが伝わってくる。
ヴァスール代表の冷静な分析と今後の展望
チーム代表のフレデリック・ヴァスール氏も、現在のマシンがドライバーにとって非常に扱いにくい車だと認めている。「すべてが限界ギリギリの状態にある。運転しやすい車とは言えない」
また、ハミルトンが言及したタイヤの準備不足については次のように語った。「タイヤの準備ラップにおいて、最適なアプローチを見つけるのは簡単ではない。ラップ終盤ではなく、開始時点で良い感触がある場合、それはすでにマシンやタイヤの状態が限界に近いことを意味している」
「しかし、私はこの週末のポジティブな側面を思い出したい。金曜日の朝も、シーズン序盤もいいパフォーマンスを見せていた。この流れを確かなものにするには、今後も開発を続け、プッシュし続けなければならない」
冷静なリーダーシップを持つヴァスール氏の下で、フェラーリは再び頂点に立てるのか。2025年後半戦、そして来シーズンの新時代に向けて、その動向から目が離せない。
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