マルコ氏、レッドブルにラスベガスGP初日が警告「タイム差は無意味」
レッドブルはラスベガスGPに、いつもの“謎”を抱えたまま到着した。路面は未成熟で、気温は低く、状況は予測不能、まともな結論を出せるようなサーキットではない。木曜日の走行後、ヘルムート・マルコは珍しく率直に状況を語り、この日を「読み取るのが難しい」とまとめたうえで、初日のタイム差は金曜日の本格走行が始まるまでは「本質的に意味がない」と断言した。
実際、タイムシートの結果は混乱そのものだった。マックス・フェルスタッペンはFP2で9番手、角田裕毅は15番手。しかしマルコ氏は、これらの順位に価値はないと一蹴した。どちらのドライバーも、チームが計画していた走行プログラムをこなせなかったからだ。レッドブルは本来、ハードとミディアムで体系的なロングランテストを行う予定だったが、路面が必要なグリップをまったく提供せず、有用なデータが取れなかった。

現状言えるのは、エンジニアの分析から「レッドブルはトップ3には入っているだろう」という推定だけだ。これは自信がないわけではなく、あくまで異常なコンディションを踏まえた暫定的な評価にすぎない。
フェルスタッペンはFP1とFP2の間に施した変更で改善を感じたと報告したが、そのフィードバックにも保留がつく。気温が低く、レーシングラインにラバーがまったく載らない状態では、RB21本来のバランスが隠れてしまうからだ。さらにサポートレースがないため路面の進化は期待できず、夜間の雨の可能性もある。レッドブルは、木曜日にようやく得られたわずかなグリップさえ洗い流されると見ている。マルコ氏は金曜日が“宝くじ”のような一日になると警告した。
この日、最も注目すべき情報はチーフエンジニアのポール・モナハンからのものだ。マルコ氏が繰り返し確認したところによると、レッドブルは2台のマシンに異なるフロア仕様を投入している。これは学習速度を上げ、シーズン最終戦までにどの開発方向を選ぶべきか判断するためのものだ。マルコ氏は、どちらの仕様が優れているかまだ判断できていないと認め、不確実性が極端に高い週末ではこの手法が必要だったと説明した。

混乱はあっても、レッドブルの野心は揺らいでいない。マルコ氏はランド・ノリスの初日の速さに「驚いた」としつつ、レッドブルは通常、予選シミュレーションの段階で大きくパフォーマンスを上げると強調した。それまでは、タイムシートの差はほぼ無意味だという。
結局のところ、レッドブルは路面が安定するのを待つしかない。もっとも、それが本当に起きるかは不確かで、ラスベガスでは通常より時間がかかりそうだ。
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