ノリス、初のF1世界王者に─18回の表彰台で423ポイントを獲得
2025年シーズンは、ランド・ノリスの才能が完全に開花し、頂点へと到達した年として記憶されるだろう。高い競争力を誇るマクラーレンMCL39を走らせ、ノリスは自身初となるドライバーズタイトルを獲得。ウォーキングの名門チームに17年振りの栄冠をもたらした。この戴冠は、5連覇をかけたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、そしてチームメイトのオスカー・ピアストリとの三つ巴の争いを制してのものだった。近年まれに見る接戦となったタイトル争いを勝ち抜いたことで、その価値はいっそう際立つ。
卓越した安定性と成熟
ノリスの成功を支えた最大の要因は、これまで課題とされてきた安定感と精神的な強さだった。勝利が望めないレースでも確実に表彰台を確保し、ポイントを積み重ねる姿勢を貫いた。シーズンを423ポイントで終え、フェルスタッペン(421ポイント)をわずか2ポイント差で上回ってタイトルを獲得した。ピアストリ(410ポイント)との差も13ポイントにとどまり、今季の熾烈な戦いぶりを数字が物語っている。ノリスの活躍により、マクラーレンはコンストラクターズチャンピオンシップも大差で制した。全24戦で7勝を挙げ、表彰台は18回。マシンの優れた空力性能を最大限に引き出した走りが、安定した成績につながった。
栄光の記録:グランプリ別の成績
2025年シーズンにおけるランド・ノリスのパフォーマンスの記録は、以下の通りである。
|
グランプリ | 予選 | 決勝 | 獲得ポイント |
|
オーストラリア | P1 | P1 |
25 |
|
中国 | P3 |
P2 | 19(スプリント P8含む) |
|
日本 | P2 |
P2 |
18 |
|
バーレーン | P6 |
P3 |
15 |
|
サウジアラビア | P10 |
P4 |
12 |
|
マイアミ |
P2 |
P2 | 26(スプリント P1含む) |
エミリア・ロマーニャ | P4 |
P2 |
18 |
|
モナコ | P1 | P1 |
25 |
|
スペイン | P2 |
P2 |
18 |
|
カナダ | P7 |
DNF |
0 |
|
オーストリア | P1 | P1 |
25 |
|
イギリス | P3 | P1 |
25 |
|
ベルギー | P1 |
P2 | 24(スプリント P3含む) |
|
ハンガリー | P3 | P1 |
25 |
|
オランダ |
P2 |
DNF |
0 |
|
イタリア | P2 |
P2 |
18 |
|
アゼルバイジャン |
P7 |
P7 |
6 |
|
シンガポール | P5 |
P3 |
15 |
| アメリカ | P2 |
P2 |
18 |
|
メキシコ | P1 | P1 |
25 |
ブラジル | P1 | P1 | 33(スプリント P1含む) |
|
ラスベガス | P1 |
DSQ |
0 |
|
カタール | P2 |
P4 | 18(スプリント P3含む) |
|
アブダビ |
P2 |
P3 |
15 |
|
合計 | 7回のポールポジション |
7回の勝利 |
423ポイント |
巧みに管理されたチャンピオンシップ
シーズンは開幕戦オーストラリアでの勝利という理想的なスタートを切った。その後も、モナコ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、メキシコ、ブラジルと重要な局面で勝利を重ね、タイトル最有力候補としての地位を確立していった。カナダとオランダでの不運なリタイア、ラスベガスでの軽微な技術違反による失格といった試練もあったが、ノリスは動じることなく、心理的優位を保ち続けた。
決定的な瞬間は、アブダビでの最終戦に訪れる。フェルスタッペンとの差は12ポイント。ノリスに求められたのは、確実な表彰台だった。そして、重圧のかかる一戦を3位でフィニッシュし、世界王座獲得に必要な条件を満たした。この結果、ノリスは史上11人目のイギリス人F1世界王者として歴史に名を刻むこととなる。2026年シーズン、彼のマシンには栄誉あるカーナンバー「1」が掲げられる。
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