【2026年オーストラリアGP 金曜日レポート】ピアストリがFP2でトップ、フェラーリも速さを見せる
2026年のF1シーズンが、メルボルンで正式に幕を開けた。アルバートパークはすでにレース当日のような熱気に包まれている。
晴れ渡った青空と初秋の温かな陽射しのなか、サーキットには多くの観客が集まった。スタンドは早い時間から満席となり、通路には人波ができ、湖畔の公園にF1の週末特有のリズムが戻ってきた。
すでにおなじみのメルボルン・ウォークでは、朝早くからファンが列をつくり、サーキット入りするドライバーたちを待ち続けた。パドックとガレージをつなぐこの短い通路は、オーストラリアGPを象徴する光景のひとつだ。セッション開始のわずか数分前、ドライバーたちのリラックスした姿を間近で見られる貴重な機会をファンに提供している。

パドック内では、F1のソーシャルな一面も垣間見えた。各ドライバーの身近な顔々がシーズン開幕戦に集まり、なかには数日前にシャルル・ルクレールと結婚したアレクサンドラ・サン・ミュー、リリー・ゼイマー、レベッカとローレンのフィッツシモンズ姉妹、そしてアリシア・トリアーニの姿もあった。世界中を転戦するパドックが、エンジニアリングのガレージをはるかに超えたコミュニティであることを改めて示していた。
しかし、アルバートパーク周辺が祝祭的な雰囲気に包まれるなか、週末最初の技術的トラブルはすでに始まっていた。アストンマーティンはパワーユニットシステムに関連する振動問題を抱えたままメルボルン入りしており、チームにとって容易ではない週末になることを早くも予感させた。一方で、フェラーリの速さと、地元の英雄であるオスカー・ピアストリの存在が、オーストラリアのファンたちに期待感をもたらした。

フリー走行1回目(FP1)では、フェラーリが最初のベンチマークを打ち立てた。ルクレールがトップタイムを記録し、チームメイトのルイス・ハミルトンが2番手につけてワンツーを達成。レッドブルのマックス・フェルスタッペンが3番手に続き、シーズン開幕時点でもトップチームの接戦が続くことを印象づけた。
セッション中は複数回の中断があった。レーシングブルズのルーキー、アービッド・リンドブラッドがピットレーン出口でマシンを止めたため、バーチャルセーフティカーが導入され一時中断。マーシャルが車両を回収したのち、コースはグリーン状態に戻った。
また、マクラーレンも序盤から問題を抱えた。ピアストリがセッション開始直後にパワーロスを報告し、エンジニアが問題を解消してコースに復帰。一方、ランド・ノリスはセッションを完走できず、チームは予防措置としてギアボックスの確認のためマシンをガレージに留め置いた。
そして、キャデラックにとっても厳しい初日となった。セルジオ・ペレスはエンジンブレーキの問題を報告したのちにスピンを喫し、新興アメリカチームが直面する学習曲線の急峻さを示した。
こうした混乱が続くなか、リンドブラッドとアイザック・ハジャーの2人は静かに印象的な走りを見せた。
チェッカーフラッグが振られた時、上位3名はよく知られた顔触れ(フェラーリのルクレールがトップ、ハミルトンが2番手、レッドブルのフェルスタッペンが3番手)だった。長いシーズンの最初の練習走行にすぎないが、競争力のシグナルはすでに現れ始めていた。

フリー走行2回目(FP2)では競争力の構図がより鮮明になり、地元ファンにとってこの日最大のハイライトが生まれた。ピアストリが1分19秒729でFP2のトップに立ち、マクラーレンをタイムシートの首位に押し上げ観客に歓喜をもたらした。
2番手にはメルセデスのキミ・アントネッリが入り、冬季テストから示してきた好調ぶりを改めて証明した。ジョージ・ラッセルが3番手に続き、フェラーリもハミルトンが4番手、ルクレールが5番手と先頭集団に踏みとどまり、上位4チームが依然として拮抗していることを裏付けた。
だが、セッションは序盤から波乱が続いた。ピットレーンではラッセルがリンドブラッドの車両に接触し、メルセデスはフロントノーズを交換。コース上ではアルピーヌのフランコ・コラピントのマシンがレーシングライン上で一瞬ニュートラルに入り急減速したため、ハミルトンが回避行動を余儀なくされた。
さらに、レッドブルも序盤に混乱に見舞われた。フェルスタッペンのマシンがセッション開始直後にピットレーン出口で停車し、最初の約30分をガレージで過ごすこととなった。その後コースに戻り最終的に6番手まで順位を上げたものの、第10コーナーで突然のオーバーステアを招いてグラベルに飛び込み、フロアに損傷を負った。

下位では、キャデラックのFP2も苦難の連続だった。ペレスはセンサー問題の調査でほぼガレージに留まり、セッション終盤にようやくコースに戻った。しかし、わずか2周を走っただけで停車を指示され、終盤のバーチャルセーフティカー導入を招いた。
また、アストンマーティンの問題は一日を通して続いた。午前のセッションではランス・ストロールがわずか3周、フェルナンド・アロンソは全く走行できなかった。午後には両ドライバーがコースに戻ったものの、チームの合計周回数は28周。冬季テストから続くパワーユニットの振動問題は解消されないままで、エンジニアたちは残りのバッテリーコンポーネントを管理するため走行を慎重に制限した。アロンソはピアストリから約5秒遅れの20番手、ストロールは21番手でフィニッシュ。アストンマーティンにとって、当面の最優先事項は速さではなく信頼性の確保だ。
先頭集団では早くも序列が形成されつつある。マクラーレン、メルセデス、フェラーリは、いずれもメルボルンでポールポジションと優勝を争える速さを持っているように見える。そして、レッドブルも僅差につけている。しかし、2026年シーズン開幕週末にはまだ多くの未知数が残っている。ロングランのペース、タイヤの挙動、そして土曜日の予選シミュレーションが次の手がかりをもたらすだろう。新時代F1シーズンの本当の競争力の序列が明らかになるのは、その時だ。
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