ノリス、王者の証「1」を選択へ フェルスタッペンは“新番号”検討で規則変更も追い風に
2025年12月7日のアブダビGPでチェッカーフラッグを受けた瞬間、ランド・ノリスの世界王者が確定した。3位でのフィニッシュは、カーナンバー「4」を背負うノリスが優勝するには十分であり、彼は名実ともにF1の「ナンバー1」となった。
世界チャンピオンとなったドライバーは、翌シーズンに限りカーナンバー「1」を使用する権利を得る。ノリスはタイトル決定当日の夜、その権利を行使する意向を明言した。
「世界チャンピオンのマシンに1をつけるのは伝統だ。それには理由があって、ドライバーが努力して勝ち取った証だからね。だから当然、僕はマクラーレンに1をつける。この素晴らしい成功を可能にしてくれた、すべてのスタッフを誇りに思っている」
さらにノリスは、その意味合いをチーム全体に重ね合わせた。

「この1は自分のためだけではなく、マクラーレン全員のためのもの。今季、どれほどの努力が注ぎ込まれたかを僕は知っている。これだけの成功を収めておいて『僕たちは4番です』なんてメッセージを出すのはクールじゃない。僕たちはナンバー1であり、それを世界に示したい」
これにより、2022年初頭からチャンピオンナンバー「1」を使用してきたマックス・フェルスタッペンは、アブダビGPをもって一旦この番号を手放すことになる。
フェルスタッペンはラスベガスGPのパドックですでに、2026年にどの番号で参戦するかについて言及していた。意外だったのは、2015年のF1デビューから2021年まで使用していた「33」へ戻る考えがないことだった。
ただし、F1には原則としてドライバーがカーナンバーを変更できないという規則がある(例外は世界王者として「1」を選ぶ場合のみ)。この点についてフェルスタッペンはこう語っている。
「冬の間にゆっくり考えるつもりだよ。でも一番好きな数字は3なんだ。それが可能かどうかを見ないといけないね。本当は69にしたかったけど、父のヨスがいいアイデアじゃないって言ってね。僕としては、どの向きから見ても同じに見えるから、マーケティング的に最高だと思ったんだけど」
ヨス・フェルスタッペンが難色を示した理由は、69という数字が世界的に性的な意味合いを持つことだった。
フェルスタッペンは他の候補にも触れている。
「27も好きなんだ。2と7の組み合わせがきれいだからね。でもその番号はニコ・ヒュルケンベルグが使っている。だから今のところは3が第一候補だ」
本来であれば、この「3」を選ぶことは簡単ではない。FIAの規則では、使用されなくなったカーナンバーは2年間、他のドライバーが使えないと定められている。これは、将来的な復帰の可能性を考慮して番号を“凍結”するためだ。
実際、バルテリ・ボッタスの77、セルジオ・ペレスの11も、2024年末にシートを失った後はいったん空き番号となったが、2026年にキャデラックからF1復帰することで再び使用される。
問題はダニエル・リカルドの「3」だ。リカルドは2014年の固定番号制度導入以降、2024年シンガポールGPまで一貫してこの番号を使用しており、規則上は2026年時点でも本来は使用不可となる。
しかし最近、F1コミッションでカーナンバー規定の一部緩和が議論され、ルールが改訂された。2年間の凍結規定は維持されたものの、「元の使用者が明確に番号を放棄した場合は例外とする」という一文が加えられた。
つまり、フェルスタッペンが望めば、2016年から2018年にかけてレッドブルで共に戦った友人ダニエル・リカルドに連絡を取り、「3」を譲ってもらう道が開かれたことになる。

なお、リカルドがなぜ「3」を選んだのかについては、本人が以前こう語っている。
「カート時代の最初の番号だったんだ。それに、NASCARのデイル・アーンハートが好きで、彼も3を使っていたからね」
王者ノリスが「1」を掲げ、新時代を迎えるF1。その裏で、フェルスタッペンの新たな番号選びもまた、静かに注目を集めている。
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