角田裕毅、好走と痛恨ペナルティ、そして“幸運の逆転”でスプリント5位を獲得
角田裕毅は、カタールGPのスプリントで今季最も力強い走りの一つを見せ、序盤の攻勢と安定したペースを武器に5位でフィニッシュした。最終順位は、ミッドフィールド勢のペナルティが直前で覆ったことで、劇的に救われる形となった。
スプリントは気温25度、路面32度という穏やかな条件で午後5時にスタート。トップ3がユーズドのミディアムを選んだ一方、レッドブル勢のマックス・フェルスタッペンと角田は新品ミディアムを投入し、わずかな戦略的優位を確保した。

角田はその利点を即座に生かし、好スタートからターン1でフェルナンド・アロンソをオーバーテイク。しかし直後、同じシーンでフェルスタッペンがアロンソを抜いたため、角田は5番手に落ち着く形になった。
フェルスタッペンはスプリント予選から続くアンダーステアに苦しんだが、角田はRB21への感触を完全に取り戻しており、10周目には両者のラップタイムがほぼ同一ペースに。角田は安定した走りを維持し、前半は順調に推移した。

状況が変化したのは12周目。角田はトラックリミット違反で黒白旗の警告を受け、さらに2周後に5秒ペナルティへと発展。スプリントのようなタイトなフォーマットでは、致命傷にもなりかねない痛恨のミスとなった。
その後レースは落ち着き、差を詰めてきたのはメルセデスのキミ・アントネッリのみ。角田は5番手でチェッカーを受けたものの、ペナルティ適用後はアントネッリの後ろに下がり、暫定6位となった。
しかし数分後、流れは再び逆転した。アントネッリにもトラックリミット超過の5秒ペナルティが科され、角田が正式に5位へ復帰。価値ある4ポイントを獲得した。

一方、トップではオスカー・ピアストリが危なげなくスプリントを制し、ジョージ・ラッセル、ランド・ノリスが続いた。フェルスタッペンはフロントのグリップ不足に苦しみながらも4位に踏みとどまり、タイトル争いでのダメージを抑えた。
5秒ペナルティこそ悔やまれたが、角田の内容はスプリントの中でも特に明るい材料だった。19周のレースを終えてフェルスタッペンとの差は約5秒。終盤は追加ペナルティを避けるため慎重に走行した影響もあり、パフォーマンス面では十分に高評価できる内容だった。

角田はこれで日曜の予選に向けて勢いを持ち込み、金曜の1ラップ、土曜のロングランという両面で示した前進を武器に臨むことになる。
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