【ラスベガスGP】フェラーリ、ルクレール9番手・ハミルトン最下位 バスール代表が沈黙
F1ラスベガスGPの金曜フリー走行で苦戦したフェラーリ。通常であれば状況を冷静に説明するフレデリック・バスール代表だが、この日は姿を見せず、メディア対応を一切行わなかった。
バスールは普段、外向けには穏やかで率直な姿勢を見せ、問題があっても笑顔を交えてプレッシャーを和らげるタイプとして知られる。しかしラスベガスでは、テレビ、海外メディア、さらにチーム声明にも登場せず、完全に沈黙。
その背景には、フリー走行での大きな不振がある。チャールズ・ルクレールは9番手、ルイス・ハミルトンは20番手と最下位に沈み、チーム全体が混乱した。
チーム代表が沈黙する姿はフェラーリでは過去にもあった。

2014年から2019年までチームを率いたマウリツィオ・アリバベーネも、メディア対応をほとんど行わず、内部では「独断的」「スタッフを萎縮させた」と批判されていたと言われる。
フェラーリが最後にドライバーズタイトルを獲得したのは2007年のキミ・ライコネン。
2018年には、当時エースだったセバスチャン・ベッテルが好機を逃し、ドライバーのミス、戦略の誤り、メルセデスの開発力が重なり、チャンピオンシップを失った。
その後も2022年には、パワーユニットの信頼性、戦略ミス、ピット作業の乱れ、レッドブルとの開発競争力の差が露呈し、タイトルには届かなかった。
現在のバスール体制は2023年から続いているが、依然として課題は多い。アリバベーネは最近のインタビューで、
「コンポジット素材と空力で遅れている。エンジンに関しては今でもトップレベルだ」

と述べ、技術力の地域差にも触れた。
「英国、特にオックスフォード周辺は高度な技術が集積しており、追いつくには時間がかかる。しかしフェラーリは正しい方向に進んでいる」
と語りつつも、F1開発の厳しさについてはこう強調している。
「スーパーカーは5000点の部品を4年かけて作り上げる。だがF1マシンは5万点の部品を半年で仕上げなければならない。1つのミスがあれば、シーズン全体を引きずることになる」
ラスベガスで沈黙したバスールに何があったのかは不明だ。しかし、フェラーリが重圧の中にあることは確かだ。
チームは依然として優勝争いへの復帰を目指しているが、道のりは簡単ではない。
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