リンドブラッド「くだらないことを言う人は好きじゃない」─唯一のルーキーとして迎える2026年とマルコ氏の存在
アービッド・リンドブラッドは、2026年シーズンのF1グリッドで唯一のルーキーとなる。レッドブル・ジュニアチーム出身の18歳は、自身のキャリア、そして長年関わってきたヘルムート・マルコ氏との関係について語った。
2025年シーズンをもって、F1はひとつの時代に幕を下ろす。近年使用されてきたグラウンドエフェクト世代のマシンは姿を消し、2026年からは新たな車両規定とパワーユニット規則が導入される。持続可能燃料の本格採用に加え、タイヤにも大きな変更が加えられるなど、カテゴリー全体が大きな転換点を迎える。
こうした状況を受け、多くのチームは経験豊富なドライバーを起用し、開発初期段階からエンジニアに明確なフィードバックを与えられる体制を選択した。その中で例外的な判断を下したのが、レーシングブルズだった。同チームはリアム・ローソンに加え、F1未経験のリンドブラッドを起用する決断を下している。

リンドブラッドは2025年にF2へ参戦し、ランキング6位でシーズンを終えた。決して圧倒的な成績ではなかったが、それでも昇格を後押ししたのが、当時レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めていたマルコ氏だ。彼は長年にわたりリンドブラッドを高く評価しており、その信頼が揺らぐことはなかった。
リンドブラッドは『Formula1.com』に対し、アブダビ最終戦後にF1の第一線から退いた82歳のマルコ氏について、次のように語っている。
「今年は自分にとって簡単なシーズンではなかった。内容にも満足していない。でも、他の人たちが信じてくれなかった時でも、彼はずっと僕を信じてくれていた。そのことには本当に感謝している」
また、リンドブラッドはマルコ氏だけでなく、レッドブル・ジュニアプログラム責任者のギヨーム・ロックラン氏、そして育成部門のスタッフとも密に連携してきたという。その中で感じたマルコ氏の人物像は、世間一般のイメージとは大きく異なっていた。
「彼と仕事をするのは大変だとか、怖い存在だとか、色々な話を聞く。でも、僕にとっては全く違った。常にいい関係を築けていた」

さらに、こう続ける。
「彼には求める基準がある。ただ、少なくとも僕に対しては、キャリアを通じて本当に大きな助けになってくれた。正直に言って、彼がいなければこのチャンスは絶対に得られなかったと思う」
リンドブラッドが特に評価しているのは、マルコ氏の率直さだ。
「僕は言い訳をしたり、くだらないことを言う人が好きじゃないんだ。彼は決してそういうことをしない。いつも真実を言うし、僕も同じだ。それが、自分にとって最も速く成長できた理由だと思う」
そして、若きルーキーは最後にこう締めくくっている。
「モータースポーツの世界には、相手が聞きたいことを言うべきだと考える人がたくさんいる。でも、僕はこの正直さを本当に大切にしているんだ」
2026年、F1新時代の幕開けとともに、リンドブラッドは唯一の新人としてグリッドに立つ。その背景には、率直さを重んじる師との関係があった。
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