アストンマーティン、オーストラリアGPで追い打ちの危機─残るバッテリーはわずか2基
FP1でフェルナンド・アロンソが欠場し、ランス・ストロールもわずか14周で撤退するという最悪の滑り出しを見せたアストンマーティン。しかし、状況はさらに深刻な局面を迎えていた。
チーム代表の会見でエイドリアン・ニューウェイ氏が明かした事実は、パドックに衝撃を与えた。メルボルンに持ち込んだ4基のバッテリーのうち、コンディショニングと通信の問題によって、週末開幕初日にすでに2基が使用不能に陥ったというのだ。残るは2基のみ。今後の予選・決勝を含む全セッションを、このわずかなリソースで乗り切らなければならない。
この問題の根本には、冬季テストから続くパワーユニット・シャシー・バッテリーシステム間の異常振動がある。ホンダと共同で開発した技術的対策がメルボルンに持ち込まれたが、FP1初日の状況を見る限り、問題が完全には解消されていない可能性が高い。振動が続く状態でマシンを走らせれば残存するバッテリーをさらに損傷するリスクがあるため、ホンダは特定の走行モードを制限しており、積極的な走り込みが事実上困難な状況となっている。
ニューウェイ氏はこの状況を「自己循環的」と表現した。マシンの挙動を理解するにはラップが必要だが、走れば走るほど残存するコンポーネントを危険にさらしてしまう。チームはそんな矛盾した状況に陥っている。
通常、予選に向けたマシン理解(特に低燃料状態でのハンドリング把握)には十分な走行ラップが不可欠だ。しかし、今週末のアストンマーティンにその余裕はない。さらに、これらのコンポーネントはレースウィーク中に容易に交換できるものではなく、チームは極めて限られた選択肢の中での判断を迫られている。
2026年シーズンはパワーユニット規則の大幅刷新を迎えた。電動システムの比重がさらに高まる新レギュレーションのもとで、アストンマーティンとホンダが直面している問題はチーム固有の課題にとどまらず、業界全体への警鐘にもなりうる。バッテリー管理の複雑さが増した環境で、ひとつのトラブルがいかに連鎖的な事態を引き起こすかを、開幕初日から目の当たりにしている。
チームにとって残された時間は少ない。FP2以降、どこまでリスクを取って走り込むか。その判断が、週末の行方を左右することになる。
【関連記事】
