マルコ氏、戦略ミスとチャンス喪失に苛立ち—ベルギーGP後の率直な評価

レッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ氏は、ベルギーGP決勝後の日曜夜に、テクニカルトラブル、戦略ミス、そしてRB21のパフォーマンスの限界が露呈したレースについて、率直な見解を語った。
「セッティングが間違っていた」とマルコ氏は認めた。「セクター1でメインにタイムを失った。雨を予想していたが、結局レースはドライだった。今日は我々のスピードが足りなかった」
レッドブルは雨天を想定したセッティングを選択していたが、期待していた雨にはならず、チームは妥協したセットアップのままレースに臨むことになった。
今回の判断が戦略ミスだったのか、それとも天候の読み違いだったのかと問われると、マルコ氏は明確だった。「今日のレースは、かなり総合的(=他の意図が絡んだ)なものだった。もしあれがあったらとしか言えない」
レース開始が遅れたことについても、「セーフティカーの数周で水は流れていた。あと2〜3周後ろを走っていれば、レースはできていた」と、開始のタイミングが早すぎたと示唆した。
さらにマルコ氏は、F1全体の問題として「ドライバーの立場によってレースコントロールの判断が左右される」点を指摘した。「トップを走っているドライバーは『レースはしたくない、遅らせよう』と言うし、後方にいるドライバーは『何でもいいから走らせろ』という。ポジション次第で言うことが違う」と、暗に今のルール運用の曖昧さを批判した。
マックス・フェルスタッペンのパフォーマンスに関する課題についても、マルコ氏は「一歩前進したが、バランスの問題は解決していない」と現状を認めた。
「ブダペストには新しいパーツを持ち込む。まだ取り組み中だ。諦めてはいない」としながらも、根本的な解決には至っていないことを示唆した。
ピットストップのタイミングについても悔しさをにじませた。「タイミングを逃した」と認めたうえで、ピットストップ後のフェルスタッペンのペースも「素晴らしくはなかった」とした。
さらにストレートでのスピード不足については、「明らかに3〜4秒速かった。エンジンの問題だった。だからストレートで抜かれた」と、エンジン面での課題にも言及した。
また、同様に苦戦した角田裕毅についても、マルコは辛辣だった。「ピットストップは理想的ではなかった。コミュニケーションミスがあった」としたうえで、「それでも彼のラップタイムは今日、十分ではなかった。全体的に遅すぎた」と述べ、フェルスタッペンと同様の問題に加え、チーム内の実行ミスが重なったことを指摘した。
それでもマルコ氏は、フェラーリのパフォーマンスには一定の敬意を示した。「彼らの速さには驚かされたか」と問われると、「そうだ」と答えた上で、「完璧なセッティングでなくても、彼らは依然として脅威となる」と語った。
シャルル・ルクレールは3位表彰台を獲得し、苦戦が続くフェラーリにとって貴重なリザルトを持ち帰った。彼はレースを通じてフェルスタッペンを抑えきり、今日のレッドブルの主な弱点を浮き彫りにした。
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