【ブラジルGP日曜日レポート】フェルスタッペンが17勝目!角田はスプリントに続きポイントを獲得!
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは堅実なドライビングでブラジルGPを制し、2023年のワールドチャンピオンとして記録的な17勝目を挙げた。
レースが始まる前からドラマはあった。2番手からスタートするはずだったシャルル・ルクレールが油圧系のトラブルによりリタイア。レースはスタートを切り、フェルスタッペンがクリーンなスタートを決めてトップに立つが、後方でアレックス・アルボンとケビン・マグヌッセンが激しく接触し、赤旗が提示された。
再スタートでもフェルスタッペンが力強い走りを見せ、ノリスの追撃を振り切って1位をキープすると、土曜日のスプリントに続いてこの週末2勝目を飾った。2位にはノリスが入り、アロンソはスリリングなバトルでセルジオ・ペレスを抑えて表彰台に上った。
ランス・ストロールが5位に入り、カルロス・サインツの6位を上回った。ピエール・ガスリーは7位で、メルセデスのルイス・ハミルトンは8位、角田裕毅とエステバン・オコンがトップ10に入った。
【2023年ブラジルGP決勝 結果・順位】
順位 | No | ドライバー | チーム | GAP | INT | PIT |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 4 | ||
2 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン | 8.277 | 8.277 | 4 |
3 | 14 | フェルナンド・アロンソ | アストンマーティン | 34.155 | 25.878 | 4 |
4 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル | 34.208 | 0.053 | 4 |
5 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン | 40.845 | 6.637 | 4 |
6 | 55 | カルロス・サインツ | フェラーリ | 50.188 | 9.434 | 4 |
7 | 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ | 56.903 | 5.805 | 4 |
8 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:02.859 | 6.766 | 4 |
9 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:09.880 | 7.021 | 4 |
10 | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ | 1L | 15.092 | 5 |
11 | 2 | ローガン・サージェント | ウィリアムズ | 1L | 3.753 | 4 |
12 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ハース | 1L | 40.001 | 4 |
13 | 3 | ダニエル・リカルド | アルファタウリ | 1L | 8.001 | 4 |
14 | 81 | オスカー・ピアストリ | マクラーレン | 2L | 12L | 4 |
DNF | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | OUT | 18L | 5 |
DNF | 77 | バルテリ・ボッタス | アルファロメオ | OUT | 17L | 4 |
DNF | 24 | 周冠宇 | アルファロメオ | OUT | 4 | |
DNF | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | OUT | 0 | |
DNF | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース | OUT | 0 | |
DNF | 23 | アレクサンダー・アルボン | ウィリアムズ | OUT | 0 |
ローガン・サージャントは11位で残念ながらポイント獲得には至らず、ニコ・ヒュルケンベルグは12位だった。
ダニエル・リカルドとオスカー・ピアストリは13番手と14番手でチェッカーを受けた。このふたりは1コーナーのアクシデントでそれぞれダメージを負ったが、赤旗中断中にマシンを修復することができた。
また、バルテリ・ボッタスと周 冠宇のアルファロメオの2台はテクニカルトラブルによりリタイア、メルセデスのジョージ・ラッセルもリタイア。
マグヌッセンとアルボンは1周目のクラッシュでリタイア、ルクレールもフォーメーションラップでリタイアした。
【決勝レース】
フェルスタッペンが勝利数を伸ばしたスリリングなF1スプリントの後、注目は日曜日の決勝レース。
ラッセル、オコン、ガスリーは、不必要なスロー走行とレースディレクターの指示に従わなかったとしてそれぞれ2グリッド降格のペナルティを受けた。
ポールポジションのフェルスタッペンはユーズドタイヤ、2番手のルクレールと3番手のストロールはフレッシュタイヤでスタートした。
レース前のフォーメーションラップのターン7でルクレールがコースオフ。ルクレールは油圧系のトラブルによりリタイア。チーム無線で「なぜこんなにも不運なのか」と疑問を投げかけた。
レースが始まると、フェルスタッペンが堅実な走りでトップをキープ、ノリスは6番手から2番手に浮上した。ハミルトンも力強い発進で3番手に浮上し、アストンマーティンのコンビを引き離した。しかし、その後方でマグヌッセンとアルボンが激しくクラッシュし、すぐにセーフティカーが導入された。
この接触のあおりを受け、ピアストリはリアウィングを破損。リカルドもリアウィングにダメージを負い、ピットに戻った。
コース上の破片が広範囲に及んでいたため赤旗が提示され、全員がピットレーンに向かった。ピアストリのエンジニアは、再スタートに間に合うようにマシンを修復すると伝えた。
ピアストリとリカルドはマシンを修復し、ピットレーンから再スタートを切った。フェルスタッペンがまたも好スタートを決めて1番手をキープ。
一方、ノリスはハミルトンの前にとどまった。ハミルトンは、ターン4でアロンソに先行を許した。さらに後方では、アロンソのチームメイトであるストロールが7番手まで後退し、ヒュルケンベルグは12番手まで順位を上げた。
6周目にノリスは先頭のフェルスタッペンと1秒以内の差を保つことに成功。DRS圏内をキープする。ターン1への進入でギャップを詰めたが、次のラップでは早くもギャップが広がってしまった。
ペレスがラッセルにプレッシャーをかけていた一方、リカルドとピアストリは1周遅れ、ヒュルケンベルグはアルファロメオの2台にオーバーテイクされて14番手まで後退した。
ターン1でペレスがラッセルに先行し、ラッセルがターン4へのストレートで反撃を試みたが、結局ペレスが持ちこたえた。ポジションを失ったラッセルは無線でチームの戦術に疑問を投げかけた。
15周目にオコンが最初にピットインし、ミディアムタイヤに交換。一方ペレスはハミルトンを追い詰めて4番手に浮上。メルセデスは苦戦しているようだった。
ハミルトンは19周目に最初のピットストップを行い、ミディアムタイヤを装着して11番手でコースに戻った。チームメイトもその1周後にピットインし、ハミルトンの後方で復帰した。ハミルトンは右フロントタイヤに問題があると無線で報告。
その後、ペレスがピットインしてミディアムタイヤに履き替えるが、ハミルトンがアンダーカットに成功。ペレスは再びハミルトンを追いかけることになったが、23周目に再びポジションを奪い返した。
24周目、周がテクニカルトラブルでピットイン、リタイアとなった。
アロンソはミディアムタイヤを履いて6番手に浮上。最後尾を走行していたピアストリも、無線でミディアムタイヤに不満を漏らしていたため、ソフトタイヤに交換するためにピットに入る。
さらに多くのドライバーがピットインする中、フェルスタッペンとノリスもピットストップを行い、それぞれ1番手と2番手でコースに戻った。角田がピットレーンを走行中に、サインツとサイド・バイ・サイドになった場面もあったが、最終的に両者は譲り合った。
上位3台がポジションをキープする中、ペレスは31周目には3番手のアロンソとの差を縮めていた。
その後方では、アルファロメオのボッタスがポイント獲得圏内を走行。ガスリーはボッタスを抜いて9番手に浮上し、ボッタスは10番手に留まった。そのほかでは、サインツがラッセルに0.5秒差まで迫っていた。
35周目、ハミルトンが「タイヤが苦しくなってきた」と報告。その直後、サインツがラッセルをかわして7番手に浮上。前方では、ペレスがアロンソとのギャップを縮めながら3位争いを続けている。
レース中盤に差し掛かると、角田がボッタスをオーバーテイクして10番手に浮上した。ターン4ではサインツがハミルトンをパス。
上位ではノリスとフェルスタッペンがファステストラップを競っているように見えた。
アルファロメオは41周目にボッタスがマシントラブルでリタイア。
43周目のターン1でガスリーがペースの落ちたラッセルを抜き去り、ラッセルは9番手まで後退した。メルセデスのトト・ウォルフはガレージで不満そうな表情を浮かべていた。
8番手に上がったものの、ガスリーはブレーキに問題があると報告。そして第2ラウンドとなるピットストップが開始される。ラッセルがユーズドのソフトタイヤに履き替え、ハミルトンもそれに続いた。
ペレスはピットアウト後に角田をオーバーテイクし、ハミルトンはオコンをかわして8番手に浮上した。ハミルトンはソフトタイヤに不満のようで、エンジニアに「ハードタイヤにすべきだった」とエンジニアに伝えていた。
アルピーヌはガスリーとオコンを交代させ、ガスリーはハミルトンをかわして9番手に浮上。メルセデスは苦戦が続いていた。
53周目にはペレスがアロンソのアドバンテージを1秒縮め、3番手を争っていた。もう1台のアストンマーティン、ストロールはピットストップに手間取り、サインツの前の6番手に浮上した。
オコンは新品のソフトタイヤに交換するために再びピットに戻り、すぐにファステストラップを記録した。前方ではペレスとアロンソの争いが劇的にヒートアップし、レースはラスト15周に入った。
フェルスタッペンは58周目に2度目のピットストップを行い、ソフトタイヤに履き替えた。一方、ペレスはDRS圏内には入ったものの、アロンソをパスすることはできなかった。
その直後、ラッセルはエンジンのオーバーヒートためリタイアを余儀なくされた。
トップ勢のノリスはピットに向かい、ユーズドのソフトタイヤに交換。アロンソはペレスを抑えて3番手争いを続けていた。
ノリスはフェルスタッペンから9秒遅れながらファステストラップを更新しており、速さを見せている。
このため、アロンソとペレスの一騎打ちに注目が集まった。ペレスはタイヤに苦しんでいるようだった。
レースが残り2周に入ると、ペレスがターン1でインからアロンソに飛び込み3番手に浮上。だがその後のファイナルラップのターン4でアロンソがポジションを奪い返す。
この2台の白熱した勝負はチェッカーを受けるまで続いたが、0.0053秒差でアロンソが3位表彰台を掴んだ。
また、角田はスプリントレースに続き、決勝でもポイント獲得。素晴らしいパフォーマンスを見せた。
【コメント①】
フェルスタッペンはレース後に次のようにコメントした。
「今日はスタートが非常に重要だった。」
「その後はタイヤのマネージメントが重要だった。どのタイヤでも良かったけど、特に中盤のスティントではギャップを作ることができた。」
「ここはデグラデーションが高いので、常にマシンを修正する必要がある。上手くいって良かったよ。」
【コメント②】
貴重なチームにとってポイントをスプリントと決勝レースで獲得した角田は、レース後に次のように語った。
「チームとしてアメリカGPから引き続きポイントを獲得出来ている。他のライバルたちに接近できていると思うし、嬉しいサプライズだよ。」
「マシンのバランスは良くなっているね。特にアメリカGPで行ったアップグレードは、僕たちにとって大きな一歩となったと感じている。」
「結果を見てもらえれば一目瞭然だ。今回ダニエルは不運だった。実際彼のペースは良かった。」
「チーム全体としては良い週末だったと思う。」
【次戦】
2023年のF1カレンダーも残すところあと2戦。次戦は初開催のラスベガスGPとなる。
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