ハース、6位に迫る―ミッドフィールドの戦いが激化

Oliver Bearman Haas Brazil
スポンサーリンク

インテルラゴスでのレースを経て、ハースはバックマーカーから競争力のあるミッドフィールド勢へと着実な変貌を遂げつつある。コンストラクターズチャンピオンシップ6位という現実的な目標を掲げ、チームは手応えを感じながらブラジルを後にした。

ブラジルでのハースの成果

ハースはブラジルで堅実な週末を完遂し、VF-25の信頼性と一貫性が着実に向上していることを示した。

8番手スタートのオリバー・ベアマンは、リアム・ローソンを早々にオーバーテイクして勢いをつけ、シャルル・ルクレールのリタイア後は6位に浮上。安定したペースと明快な2ストップ戦略のもと、早い段階でミディアムタイヤへ交換し、43周目の2度目のピットストップも問題なくクリアしてポジションを維持した。

「完璧なレースだった」とベアマンは振り返る。「得られる中で最高の結果だった。メキシコでついた勢いが、ブラジルで確かなものになった」

スポンサーリンク
esteban ocon haas brazil

一方のエステバン・オコンは、ピットレーンスタートと序盤のパンクにより追加ストップを余儀なくされ、12位までのリカバリーにとどまった。「7位を狙えるペースはあった。すべての状況を最大限活かしきれなかっただけだ」と、チーム代表の小松礼雄氏は語る。

それでも、チームはブラジルでいくつかの収穫を得た。今季最速のピットストップに加え、4戦連続のポイント獲得は、2018年以来で最も安定した期間を象徴するものとなった。

VF-25の進歩

今回の週末は、シーズン序盤から続くハースの段階的な成長をくっきりと示した。オースティン仕様のフロアとビームウイングを装着したVF-25は、弱点だった低速区間での安定性が大幅に改善。8コーナーや10コーナーでのベアマンの積極性は、小松氏が繰り返し語ってきた「バランスの向上」を際立たせている。

Oliver Bearman Haas Brazil

「アップデートの焦点は単なるダウンフォースではなく、ドライバビリティだ」と小松氏は説明する。ドライバーがマシンを信頼し、より多くを引き出す自信を与えることだ。オリーが高速コーナーの進入時に安定感を得られれば、マシンの力をすべて引き出すことができる」

スポンサーリンク

このドライバビリティの向上が、チームのパフォーマンスをより予測しやすいものにしている。コンディション次第で結果が大きく揺れるレーシングブルズとは対照的に、ハースは今や幅広いサーキットで競争力のあるミッドフィールドペースを発揮。さらに、メキシコや今回のブラジルのような例外的なケースでは、ベアマン擁するハースがトップ勢の一角に食い込む場面すら見せている。

小松氏はこの状況を「静かな自信」が漂う時期だと表現する。派手さはないが、着実で、信頼性はさらに増してきている。

ドライバー同士の協力的な関係も強みとして浮き上がってきた。レースが難しかったオコンもチームの方向性を全面的に支持し、個よりもチーム全体の前進を優先する姿勢が確立しつつある。

「そのレベルの信頼と理解に到達できたのは素晴らしいことだ。どちらかのドライバーが犠牲を払う必要がある場面でも、彼らは受け入れる。全員が同じ目標に向かって戦っているとわかっているからだ」と小松氏は述べた。

さらに、オペレーション面でも改善は続いている。ピットストップの精度とスピードは向上し、メキシコとブラジルでの戦略判断からは、状況に応じて素早く対応できるというチームの自信がうかがえた。

ハースの展望、6位争いの行方

シーズン終盤に向け、ハースは直接的なライバルたちを相手に確かな勢いを築いている。独立系チームの中で、サマーブレイク後にこれほどの進歩を遂げたチームはほとんどない。そして、2026年プロジェクトへと焦点を移すチームが増える中でも、ハースはアップグレードを導入し続けることで強化されている。

komatsu ayao haas brazil

小松氏は、クリーンな週末と一貫した実行が、チームの目標達成に不可欠であることを繰り返し強調してきた。ミスを減らし、明確かつタイムリーな戦略的判断を積み重ねられれば、ハースはアストンマーティンやレーシングブルズを相手に、シーズン終了前の6位獲得が現実的になってくる。

ハースと最も近い競合チームとの間にはわずかなポイント差しかなく、ミッドフィールドの戦いは極めて接戦だ。小松氏はランキングの継続的な変動性について、次のように語っている。「6位から9位まではほとんど差がない。1回の表彰台や、2台そろってのポイント獲得で状況は一変する可能性がある」

小松氏は、最終段階はシンプルだが容赦のない戦いになると主張している。ミスを最小限に抑え、確実に実行し、チャンスが訪れたときに最大限に活用すること、それが鍵になる。

グリッド上で最小規模のチームとして自らを位置づけ続けるハースにとって、これは注目すべき進歩だ。しかし、より大きな問いは、ハースがこの“小さなチーム”というアイデンティティにいつまで依存し続けるのか、という点である。実力ではるかに上位のチームに挑戦できる可能性を示している今、その認識を受け入れるにはどれだけの時間がかかるのだろうか。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿