【ハンガリーGP】角田、手応えと自信を語る―「結果上では見えない進歩」とメキース氏との絆

2025年F1ベルギーGPを終えた後、レッドブルの角田裕毅は改めて現在の自分の状況、マシンの進化、そしてチーム内の変化について率直に語った。結果としてはポイントを逃したものの、その裏では確かな前進があったと彼は強調する。
「明確なパフォーマンスの向上を感じた」
スパ・フランコルシャンでの週末を振り返り、角田は「明らかにマシンのパフォーマンスは良くなっていた」と手応えを語る。スプリント予選と通常の予選の間にセットアップを変更し、新しいフロアを投入したことが大きな要因だという。
「一つのタイヤセットだけでQ3に行けたのは初めて。それが何かを物語っていると思う」
走行中の感覚としても、「マシンがかなり運転しやすくなった」と変化を感じており、これまでの苦戦が技術的な制約によるものであったことを裏付けている。
「タイヤ管理は難しかったが、アグレッシブに攻めた」
レース終盤、ピエール・ガスリーの背後に長時間つけていた角田は、オーバーテイクを狙って果敢に攻めたものの、スピード差がほとんどなく、DRSを使っても追いつくのがやっとだったという。
「ずっとDRSを使っていたけど、ストレートで差を縮められなかった。最後はバッテリーも使い切った」
その結果、攻め続けたがゆえに最後は力尽き、ポイントには届かなかった。
「結果上では見えない進歩が確かにあった」
今季はQ3進出やポイント獲得が結果として現れず、苦戦しているように見える場面も多かった。しかし角田は、「数字には表れないが、明確な進歩がある」と断言する。
ただし、ハンガリーGPでは残念ながら新しいフロントウィングは投入されないことが確認された。
「マックスに近いパッケージを入れただけで、かなりのステップアップがあった。予選の0.1秒で順位が3つも変わる今のF1で、これまで自分はほんのわずかに足りなかった」
ベルギーGPでも、ピット戦略の判断が1周遅れたことが響き、7位や8位が見えていたレースを落とした。あと一歩のところまで来ているという実感があるようだ。
「ロラン・メキースの存在が自信につながっている」と話す角田。
チーム代表に就任したローラン・メキース氏との関係も、角田にとって大きな支えになっている。F2時代からの関係もあり、彼の存在が安心感と自信につながっているという。
「F2のときみたいに、毎セッション後に話しかけてくれる。Q3に進出したときに、ピットウォールから笑顔を送ってくれた。それがすごく力になる」
こうした日々のコミュニケーションが、自信を後押ししてくれる存在となっているようだ。
「セットアップは継続、無理に変える必要はない」
現在の走り方については「今までやってきたことを続けるだけ」と話す角田。焦ってスタイルを変えることなく、自分のペースで進んでいくことを大切にしている。
「マックスとの比較はフェアじゃない。でも学ぶことは多い」
レッドブルでチームメイトとなったマックス・フェルスタッペンについては、「現役で最も優れたドライバー」と称賛。しかし、「直接比較するのはフェアじゃない」とも語る。
「彼は9年同じチームで走っているけど、自分はまだ乗ったばかり。同じマシンじゃないし、今は自分の成長に集中している」
ただし、彼の存在が「明確なリファレンス(参考)になる」ことには感謝しており、「学べることが非常に多い」とも話す。
今後への展望として、「コンディションが整えば、確実に結果は出せる」と前向きにコメントした。
今週末のハンガリーGPでは、ようやく新しいフロアの効果をドライコンディションで確認できる可能性があるという。
「スパでは天候が変わりやすくて判断が難しかったけど、ハンガリーで乾いた路面なら、どれだけ改善したかを確かめられるはず」
まだ全てが解決したわけではないが、角田は確実に進化の兆しを掴んでいる。そして、ポイント獲得とQ3常連への復活は、決して遠い話ではないかもしれない。
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