ハジャーは生き残れるのか？ フェルスタッペンの隣はF1で最も厳しい席
「F1で最も報われないポジションはどこか？ それは、マックス・フェルスタッペンの隣だ。あの男を相手に自分を良く見せるのは、とてつもなく難しいからだ」
かつて名物チームのオーナーとして知られた故エディ・ジョーダン氏は、そう言い切っていた。その言葉を裏付けるかのように、これまでフェルスタッペンのチームメイトとなったドライバーたちは、いずれも厳しい戦いを強いられてきた。
現在28歳のフェルスタッペンは、F1キャリアの中で7人のチームメイトとコンビを組んできた。トロロッソ時代のカルロス・サインツに始まり、レッドブルではダニエル・リカルド、ピエール・ガスリー、アレックス・アルボン、セルジオ・ペレス、リアム・ローソン、角田裕毅と共闘している。
過去の予選成績を見ると、サインツとは12対11、リカルドとも34対23と拮抗していた。しかし、それ以降は急速に差が広がり、ガスリーに11対1、アルボンに25対1、ペレスには80対10と、一方的な数字が並ぶ。ローソンには2対0、角田に至っては22戦全勝と、圧倒的な結果だ。
決勝での直接対決でも傾向は同じだ。サインツ（12対9）、リカルド（35対22）とは接戦だった一方で、ガスリー（11対1）、アルボン（17対9）、ペレス（79対11）、ローソン（2対0）、角田（21対1）と、後年になるほど差は拡大している。
では、2026年にレッドブルでフェルスタッペンの隣に座ることになるアイザック・ハジャーは、どこまで食い下がれるのだろうか。1997年のF1世界王者であるジャック・ビルヌーブは、ポッドキャスト『High Performance』で次のように語っている。
「アイザックはいくつか本当にクレイジーなレースをしていた。とてもアグレッシブで、『今のは一体どこから来たんだ？』と思わせる場面もあった」
その一方で、冷静な視点も忘れない。
「ただ、ローソンの後ろを走っていたレースもあった。とはいえ、彼にとっては初めてのF1シーズンだったことを忘れてはいけない。もし勢いを維持できるなら、レッドブルは彼にとっていい環境になるだろう」
ハジャー自身も、2026年は新レギュレーション導入により全員が横一線のスタートになるとして、レッドブルへの昇格を前向きに捉えている。しかし、スポーツカー世界王者であり、『Sky Sports』の解説者でもあるアンソニー・デビッドソンは、慎重な姿勢を崩さない。
「その考え方は少し単純すぎると思う。ガスリーやアルボンのように、非常に才能のあるドライバーでさえ、マックスには歯が立たなかった」
さらに、こう付け加える。
「来季は、攻防の細かな要素まで考えられるだけの精神的な余裕を持って走れるドライバーが有利になる。その点で言えば、マックス・フェルスタッペンは、そうした武器を最も巧みに使いこなせる存在だ」
フェルスタッペンの隣で戦うという挑戦は、ハジャーにとって間違いなく大きな試練となるだろう。
【関連記事】
