マルコ氏、角田の将来とハジャー昇格の背景を語る
レッドブルが2026年のドライバーラインアップを正式発表して以降、ヘルムート・マルコ氏は初めて公の場で発言し、角田裕毅のアブダビGP FP2での苦戦、来季リザーブ降格に至った経緯、そしてアイザック・ハジャー昇格の背景について率直に語った。
角田は今季限りでレッドブルのレースシートを失い、2026年はリザーブ兼テストドライバーに転向することが決まっている。アブダビ初日はFP1欠場の影響もあり難しいスタートとなったが、マルコ氏はその遅れを単なる走行不足だけでは説明できないと指摘した。
「角田はもっと近い位置にいなければならない。これは明らかだ」
FP2後、マルコ氏はそう語り、マシンの仕様についても補足した。
「2人(角田とマックス・フェルスタッペン)は完全に同じ仕様ではない。差は小さいが、わずかな違いはある」
そして、「明日はペースを取り戻してくれることを願っている」と述べた。
「非常に落ち込んでいたが、“ファミリーに残るべき”と伝えた」

レースシート喪失の決定は、角田にとって精神的にも重いものだったという。
マルコ氏は「ユウキは非常に失望していた。難しい週だった」と明かしつつ、「だが我々は、彼がファミリーに残るべきだと伝えた。4台のリザーブというのは、常にチャンスがあるということだ」と強調。
角田がレーシングブルズへ“戻されなかった”理由については、すでに育成フェーズを卒業していることを挙げた。
「レーシングブルズはジュニア育成のためのチームだ。来年、ユウキは6年目となる。それはチームのDNAとは合わない」
ハジャーの昇格は「自然な流れ」

角田の降格と同様に、ハジャーの昇格も既定路線で自然な流れだったとマルコ氏は語る。
ハジャーの反応について問われると、「彼はある程度予想していたと思う。もちろん非常に喜んでいたが、これからは結果を出さなければならない」と述べた。
フェルスタッペンの隣で戦う準備が整っているかという問いには、他チームの例を引き合いに肯定。
「アントネッリはF1経験ゼロでトップチームに入った。それならばハジャーも準備はできているはずだ」
また、評価が大きく変わった転機としては、ザントフォールト戦を挙げた。
「彼は3位に入った。エンジントラブルが4回あり、パンクもあった。戦略次第ではさらに上位も狙えたはずだ」
「感情をコントロールする必要がある」

一方で改善点もあるとし、「唯一指摘するとすれば、彼は自分の感情をコントロールする必要がある」とコメント。
記者から「レッドブルは感情の強いドライバーの扱いに慣れているのでは?」と冗談交じりに問われると、マルコ氏は即座にこう返した。
「そうだが……ステアリングホイールに罪はない、と言っておこう」
この言葉は、問題の所在がマシンや装備ではなく、ドライバー自身の感情管理やパフォーマンスにあることを示唆している。
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