フェルスタッペン「失うものはない」最終決戦アブダビで見せた余裕と覚悟

マックス・フェルスタッペンは、カタールでの勝利によって逆転での5年連続王座獲得に再び望みをつないだ。アブダビでの最終戦を前に、ポイント差はランド・ノリスに12ポイント、オスカー・ピアストリには4ポイント差まで縮まっている。

注目すべきは、その巻き返しのスピードだ。4月末のホームGPザントフォールト後、フェルスタッペンは当時ランキング首位のピアストリから104ポイントも離されていた。多くの関係者が「さすがにこの差は埋まらない」と見ていたが、王者は静かに反撃し、最終戦で再びタイトル争いに加わった。

アブダビで行われたFIA記者会見で、フェルスタッペンはいつもの落ち着いた表情でこう語った。

「僕はかなりリラックスしている。失うものは何もないよ。ここまでの巻き返しは素晴らしかったし、また勝つことができて本当に嬉しい。この場にタイトル候補として座っていられるだけで十分だ。あとはボーナスみたいなもの。週末を楽しみたい」

また、今季のターニングポイントについて問われると、フェルスタッペンはこう答えた。

「特定の瞬間に『タイトルを失った』と言うのは難しい。いつも複数の要素が絡み合っているんだ」

続けて、今季を総括するように語った。

「タイトルは24戦を通して争うもの。勝てるマシンがない週末も多かった。それでも最終戦でチャンスがある状況にいることを誇りに思うし、チームの働きと粘り強さを本当に評価している」

4度の世界王者であるフェルスタッペンは、偉業達成への欲を隠すことなく、しかし過度な執着も見せなかった。

「もちろん5回目のタイトルは素晴らしい。でもF1で成し遂げたいことはもう達成した。今はただ、このスポーツを楽しんでベストを尽くしたいだけだ。何がベストかは簡単には言えないけれど、正直なところ僕たちが最速というわけではない。ただ、カタールで見たように、何が起きるか分からない」

70勝を挙げた王者は、最後の一戦も「楽しむこと」を忘れずに挑む。

三つ巴のタイトル決戦──フェルスタッペンは、静かな自信とともに最終章へ臨む。

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