【2022年】メキシコGPレビュー

メキシコGPは海抜2,285mと年間スケジュールの中で最も高地でのレースです。そして、メキシコ出身のドライバー”チェコ”・ペレスのホームグランプリとして、ラテンミュージックやメキシコ料理とともに毎年最高潮の盛り上がりを見せる。そんなメキシコのF1ファンに嬉しいニュースが発表されました。メキシコGPの開催契約が2025年まで延長に。さて、ここからはメキシコGPのフォトレビューをどうぞ。

メディアデー(木曜日)


私たちハーシー・シガは早朝のうちにサーキットへ到着。パドックはまだ静かで、チームスタッフが少しずつ集まり始めている。最初に姿を見せたドライバーはランド・ノリス。ノリスはまだ100%の体調に戻っていないよう。オースティンでは強めの痛み止めを飲んでいたとのこと。少しずつ状態を上げていけるように願うばかり。ノリスに続いたのはチームメイトのダニエル・リカルド。リカルドは死者の日を祝うスカルマスクを付けての入場。他の面白いスタイルのドライバーとしては周冠宇がピカチュウのTシャツを着用。周はアニメや寿司など日本のカルチャーが好みと知られています。

角田裕毅はアルファタウリのウェアでスタイリッシュに入場。角田は高度の高いサーキットでのレースに向けてリラックスして良い準備ができているよう。残念ながら、TV以外のメディアにはインタビュー対応なし。逆にピエール・ガスリーはインタビューに答えてくれました。角田を恋しく思うが、今後はレースでハードに戦うとコメント。やはり最もスタイリッシュだったドライバーはルイス・ハミルトン。今回はデニム・スタイルでの登場でした。

もちろんドライバーのガールフレンドもチェック。残念ながら木曜日の来場者は決して多くはありませんでしたが、アレックス・アルボンとガールフレンドのリリィ、フェルナンド・アロンソとガールフレンドのアンドレアが姿を見せました。

メキシコの観衆は地元のヒーロー”チェコ”・ペレスの到着を待ち構えています。メキシコGPでのペレスはまさにスーパースターの待遇で、パドック内も警察が護衛に。ペレスの写真は現地大手ブランドの広告として街の様々な所で目にします。本当に多くのファンが「チェコ、チェコ、チェコ、、、」と大きな歓声を上げながら、ヒーローのパドック到着を待ち構えます。メキシコGPはまさに彼のためのグランプリです。

FP1、FP2(金曜日)

金曜日、我々が8時に到着するとサーキットにはまだ肌寒さが。パドックは無人で静かなままですが、外には早くもファンがF1関係者の到着を待ち構えています。最初に姿を現したドライバーは元MotoGPドライバー ミック・ドゥーハンを父に持つジャック・ドゥーハン。フリー走行でのルーキー起用規定に伴い、メキシコGPでアルピーヌからFP1を走行します。その後には、メルセデスのニック・デ・フリース、ハースのピエトロ・フィッティパルディ、ウィリアムズのローガン・サージェント、アルファタウリのリアム・ローソンと若手ドライバーが続きます。

角田もいつも通り早めの入場。今日はライトピンクのアルファタウリ・スウェットシャツを着用。このスウェットシャツはアルファタウリのウェアの中でもお気に入りのアイテムだと、角田本人がツイートしています。ファンサービスに時間を割き、写真撮影にも対応してくれました。ファンサービスは角田以外のドライバーもしっかりと対応。特にシャルル・ルクレールはじっくり時間を取って、ファンとも親しげに交流。F1界のファッションエキスパートであるハミルトンは今日もお洒落なディオールのトップスで、フィジオのアンジェラ・カレンと共に入場。

メキシコの治安状況を懸念して、多くのドライバーのガールフレンドが来場を見合わせたため、その分、来場したガールフレンドがメディアからの注目を浴びることに。その注目度は地元のヒーロー セルジオ・ペレスと同等だったかもしれません。

角田はFP1は参加せず、FP2からのエントリー。「車の状態的にはバランスは悪くなくて、順調にアダプトしていくことが出来ました。FP3で本当のペースがわかると思うので、自分のことだけに集中してQ3に進みたいです。」ガスリーの方がマシンの感覚が良いようです。

予選(土曜日)

いつものように朝早くからドライバーの到着を待ち構えるファンたちが最高の雰囲気を作り上げます。激しい人混みとなり、ドライバーが安全にパドックに入れるよう、セキュリティがゲートの外に新たに柵を設置したものの、パドックの中はそれ以上の人混みとなり混乱した状況に。ドライバーが到着する度に、VIPパスを持ったゲストたちが集結してサインをお願いすることとなり、特に人気のあるドライバーはファンに囲まれて身動きするのも困難に。シャルル・ルクレールの表情が状況を物語っています。ボディ・ガードを連れているルイス・ハミルトンでさえもパドックの中では移動に苦労するほど。

ピエール・ガスリーがFP2、FP3でトップ10に入っていましたが、予選ではP14でフィニッシュ。角田もP13で予選を終えています。予選後の角田のコメントです。「トラックポジションが良くなかったのもあり、最後のセクターで結構待たないといけなくて、それでセクター1はグリップ不足に悩まされました。そこでかなりラップタイムを落としていると思います。最終的にはラップタイムを更新することは出来ましたが、セクター1でロスした部分が大きいので勿体無かったと思います。コンマ1とかのロスかとは思いますが、リズムもありますしP11もしくはP10には食い込めたと思います。明日はポイント目指せる位置からのスタートなのでめげずに頑張ります。」

フェルスタッペンがポールポジションを獲得。しかし今回はメルセデス勢がマックスに続く形に。メルセデスは金曜日から高いパフォーマンスを見せ続けていました。

決勝(日曜日)

日曜日、ドライバーたちのセキュリティは強化されていました。特にパドック内での一部ファンのマナーに欠ける行動はドライバーから苦情が来ていたよう。とはいえ、それでも多くのファンがドライバーにサインを求めており、歩くのも困難な状況は変わりません。そういった理由もあり、角田裕毅は9時前のかなり早い時間に入場。残念ながら私たちハーシー・シガも角田の入場を逃すことに。

ドライバーズパレード

ドライバーズパレードでもドライバーとカメラマンを保護する新たな規制が適用されることに。通常のように車の周りで写真撮影を行うことが今回は許されませんでした。結果的に私たちはピットウォークのそばで見守ることになりましたが、それでもドライバーやマシンの素晴らしい写真が撮影できました。

グリッドウォーク

私たちハーシー・シガはメキシコGPでも3レース連続で権威あるグリッドウォークへの取材が許可されました。F1を取材するメディアとして嬉しい限りです。決勝前セレモニーでVIPやドライバーが集結する場面でも、レース直前の車やドライバーたちを近くから取材することができました。そして、メキシコGP決勝レースも期待通りのエキサイティングなレースに。

決勝レース

角田裕毅は非常に残念な形で決勝レースを終えます。ピエール・ガスリーにとっても満足のいくレースとはならず。レース後の角田のコメントです。「リカルド選手のフロントウィングが本当に軽くリアウィングの横にいるくらい近くて、彼のがソフトタイヤでフレッシュなはずなので、あんなに小さいコーナーで抜く必要はなかったと思いました。正直あそこまでタイヤマネジメントしてて、今までで一番良くタイヤマネジメント出来てないので悔しいです。あのままチェッカー受けるつもりでいて、10番手は狙える位置だったはずです。」今回もアルファタウリはノーポイントでレース終了。

マックス・フェルスタッペンがメキシコGPでも優勝。戦略上でもタイヤマネジメントにおいても圧倒的な強さを見せつける結果に。メキシコの英雄”チェコ”・ペレスも3位表彰台フィニッシュ。また、ルイスが2位となり、メキシコGP用にメルセデスが準備してきたセットアップが機能していたことをしっかりと証明してみせました。

レース後の記者会見終了後に、レッドブルのドライバーたちは恒例のチームフォトセッションに移動。私たちハーシー・シガのカメラマンも中央に位置し、”レッドブル”シャワーを浴びることに。カメラマンは撮影機材が濡れてベタベタになってしまい残念そうです。レッドブルチーム、そしてマックスと”チェコ”・ペレスにとって素晴らしいレースとなりました。

メキシコGP総括

結果的に、メキシコGPはあまりサプライズのないレースとなりました。今回もレッドブルが強さを見せつけ、マックスが勝利し、地元のヒーロー”チェコ”が表彰台に上がって大きな盛り上がりを見せることに。ただし、メルセデスが速さを見せたことを無視することはできません。ブラジルではフェラーリが速さを取り戻すかもしれません。劣勢に立たされている2023年シーズンにおいても、メルセデスが勝利を目指して努力してきていると分かる週末でした。アルファタウリにとっては残念な週末となりました。

メキシコGPはとても熱狂的なメキシコのファンのおかげで年間スケジュールの中でも特に盛り上がりを見せるグランプリです。しかしながら、今回の熱狂ぶりはドライバーやF1関係者、メディアにとっても少々異常なものでした。特にパドック内でのセキュリティは強化される必要があり、少なくとも関係者やメディアがスムーズに移動できる程度にマネジメントされる必要があります。F1にとって、VIPゲストの来場は非常に大きな意味を持っていますが、パドック内ではルールやマナーを守り、関係者の業務に支障が出ないようにしてほしいところです。

また、サーキットからホテルまでの渋滞も酷いものでした。金曜日、サーキットからホテルまでの移動で2時間もかかるほど。次回はタクシーではなく、地下鉄で移動しようと心に決めました。とはいえ、カメラなど貴重品を持った状態で地下鉄を利用することにもリスクがあります。公共交通機関を使う際はバッグや貴重品なしでの移動が理想的です。

ポジティブな面としてはメキシコのファンがとてもフレンドリーで協力的だったことがあげられます。ケータリングの料理は素晴らしく、パドックの設備も充実。さらにナイト・アクティビティも盛んで、プロレスやコンサート、パーティーでのテキーラやメスカル、伝統衣装体験までフルコースで用意されていました。

スタジアムエリアの盛り上がりは年間スケジュールの中でも独特のもので、レース後のマーティン・ギャリックスによるDJパフォーマンスはフジロックのような盛り上がりに。熱いラテンアメリカの雰囲気を楽しめる方には、メキシコGPは是非一度体験してみてほしいグランプリです。

ブラジルGPでは私たちハーシー・シガはお休みを頂きます。次回レポートはシーズン最終戦、アブダビです。ハーシー・シガのSNSをフォローしてパドックやF1関係者の様子をチェックしましょう!


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