時間切れが迫る―角田のF1キャリアに関する厳しい現実

Yuki Alan Permane Baku
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2025年のF1シーズンが終わりに近づく中、角田裕毅はますます不安定な立場に置かれている。2026年のシートのほとんどがすでに確定しており、角田は時間と選択肢の両方を失いつつあるのだ。

縮小するグリッド

メキシコGPでは、静かだが決定的な動きが、コース外で2026年のF1グリッドを再構築した。アストンマーティンがジャック・クロフォードを来季のリザーブドライバーとして確定させたことで、角田にとって長らく自然な道筋と見なされていた選択肢が閉ざされた。2026年からアストンマーティンにパワーを供給するホンダとの彼の繋がりは、かつてセーフティネットのように思われていた。しかし、クロフォードの任命によってその幻想は終わりを迎えた。

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Credit: Aston Martin

さらに、アルピーヌがフランコ・コラピントの来季シートを確定。これにより別の扉が閉ざされた。ラテンアメリカのスポンサーとフラビオ・ブリアトーレ氏のマネジメントに支えられるコラピントは、チームにとって商業的かつ象徴的な復活を表している。角田にとって、それはすでに狭まりつつある分野でまた1つ選択肢が減ったことを意味する。

これらの動きにより、レッドブルは事実上、角田にとってF1での最後の避難所となった。現在、書類上では3つのシートが空いている。姉妹チームのレーシングブルズに2席、そしてレッドブルでマックス・フェルスタッペンと並ぶ1席だ。しかし、他チームで契約が確定していく中、角田へのプレッシャーは日を追うごとに高まっている。

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それでも、角田は動じない。「プレッシャーは常に私のキャリアの一部だった。それと共に生きることを学んできた」と、メキシコで語っている。

インディカーへの遠い可能性

メキシコGP後の数日間で、角田がインディカーへ移籍する可能性について憶測が渦巻き始めた。具体的には、ホンダがバックアップする、デイル・コイン・レーシングの19号車への移籍だ。アメリカのモータースポーツジャーナリスト、トニー・ドナヒュー氏は、角田のマネジメントは少なくともこの選択肢を緊急時の対応策として検討しているという。2026年のF1シートへの道が急速に狭まっていることを認識しての動きだ。

こうした方向転換の背景には、十分な理由がある。ホンダはインディカーにおいて大きな役割を果たしており、日本人ドライバーを世界の舞台で活躍させ続けることに、象徴的・商業的な価値を見出している可能性が高い。その流れは、F1後にインディカーへ転向し、インディアナポリス500で2度の優勝を果たした佐藤琢磨の成功を思い起こさせる。彼はその功績で、日本におけるモータースポーツ界の象徴的存在となった。

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それでも、角田の関係者は、移籍の話は時期尚早だと主張している。ある情報筋は、「これは背景的な計画に過ぎない。ユウキはF1に100%集中している」とコメントした。

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しかし厳しい現実は、レッドブルの組織を越えた先に、角田に残された意味のある選択肢はほとんどないということだ。F1の外を見渡しても、2026年に利用可能なシート、インディカー、フォーミュラE、耐久レース、あるいは日本国内の有力カテゴリーでさえ、彼の才能と野心にふさわしい舞台は限られている。レッドブルの扉が閉じれば、角田は完全に行き場を失う可能性がある。そして、その不確かな運命に直面しているのは、彼ひとりではないかもしれない。

待機期間

レッドブルのシステムにおいて、降格は必ずしもキャリアの終わりを意味しない。それは、待機期間に過ぎない場合もある。ピエール・ガスリー、アレックス・アルボン、そしてリアム・ローソンは皆、いずれもそのサイクルを経験してきた。角田にとっても、レーシングブルズへの降格は依然として現実的なシナリオだ。特に、アイザック・ハジャーがトップチームへの昇格を果たす場合、その可能性はいっそう高まる。

Yuki Alan Permane Baku
角田裕毅・アラン・パーメイン

レーシングブルズのピーター・バイヤー氏とアラン・パーメイン氏は、角田について高く評価し続けている。パーメイン氏は、角田の“速さ、タイヤマネジメント、予選での一貫性”を称賛し、「トップクラスに並ぶ素晴らしいドライバー」と呼んだ。このような支持は、今後数週間で大きな重みを持つ可能性がある。

いまのところ、3つのラインナップ案が考えられる。1つ目は、角田とローソンのコンビで、2026年のレギュレーション大改革に向けて、チームに継続性と経験をもたらす。2つ目は、10代の新鋭、アービッド・リンドブラッドとの組み合わせ。メンターシップを重視し、角田が世代間の架け橋となるものだ。そして3つ目は、あまり華やかではないが、レッドブルとレーシングブルズの両チームでリザーブドライバーを務める案だ。これは現在ホンダがバックアップする岩佐歩夢の立ち位置に近い。

それは角田が切望するスポットライトではないだろうが、F1内で彼を関連性のある存在に保つことになる。不可視性がしばしば消滅と同義である世界では、これは重要な違いだ。

聖杯、レッドブル・レーシング

角田のキャリアを変える可能性のある唯一のシナリオは、F1パドック内で最も物議を醸し、激しく議論されているものでもある。“レッドブル・レーシングに残ること”だ。

チーム関係者によれば、当初メキシコで予定されていたレッドブルの2026年ドライバー発表の延期は、角田が現在のチームに留まるための時間を与えるために行われたという。この動きは、ヘルムート・マルコ氏の影響力が薄れる一方で、レッドブルのリーダーシップ構造の中でローラン・メキース代表の発言力が増していることを象徴している。

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これは同時に、角田の進歩が評価されていることを示している。彼の一貫性と向上した技術的フィードバックは注目を集めており、特にメキース氏は、2026年の大変革期における“安定の錨”として見ている。かつては批判的だったマルコ氏でさえ、メキシコで角田がこれまで弱点とされていた分野で改善したことを認めた。

それでも、レッドブルのセカンドシートは依然としてスポーツ界で最も困難な任務の1つだ。セルジオ・ペレスは、率直に次のように述べている。

「あのシートで生き残れるドライバーはいない。ハミルトンやルクレールでも同じだ。誰を連れてきても大いに苦労するだろう」

角田の上昇傾向が続けば、彼はレッドブルのセカンドドライバー問題の解決策になる可能性が十分にある。ダニエル・リカルド以来、チームのダイナミクスを不安定にすることなくフェルスタッペンと共存できる、最初のチームメイトとなるかもしれない。要するに、角田裕毅は今や、手放すにはあまりに優秀で、あまりに価値のある存在になっているかもしれないのだ。

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