角田、レッドブル残留に暗雲 アゼルバイジャンGPで正念場

角田裕毅にとって、次戦アゼルバイジャンGPはただの一戦ではない。レッドブル・レーシングでの長期的な将来が不透明になる中、この週末は表彰台ではなく「生き残り」をかけた戦いとなる。
レッドブル内部で角田に課されている期待は控えめだ。ポイントを獲得し、大きなミスを避け、与えられた基準を静かに満たすこと。それ以上でも以下でもない。パドックでは「2026年にフェルスタッペンの隣で角田が走ることはない」という見方が支配的だ。現実的な選択肢は、かつて自身がF1キャリアをスタートさせたVCARBへの復帰。その可能性をつなぎ止めるには、今後のレースで一貫性と冷静さを示す必要がある。
バクーは角田にとってチャンスであり、同時にリスクも抱えるサーキットだ。2021年のルーキーイヤーには予選・決勝ともに7位と好走を見せたが、その後は苦戦が続いた。昨年2024年のレースでは、スタート直後にアストンマーティンのランス・ストロールと接触し、早々にリタイアを余儀なくされた。
角田はしばしば「市街地コースのスペシャリスト」と呼ばれてきた。しかし今季のレッドブルRB21は、わずかなミスも許されない難しいマシンだ。「絶対限界まで攻めるのは、今年は選択肢にない」と、あるパドック関係者は語る。
さらに不確定要素もある。技術部門のピエール・ワシェ、そしてレッドブルのローラン・メキエスは、角田にもフェルスタッペンと同じ最新のフロアを提供するよう尽力していると話す。しかし今週時点で、それが確実に保証されているわけではない。もし同等のアップグレードが与えられなければ、角田は再び安定性重視の保守的なセットアップで臨むしかなく、その分スピードを犠牲にすることになる。
角田にとって、この週末の成功は優勝や表彰台では測られない。予選でQ3に進み、決勝で9位か10位に入れば、レッドブルとしては十分「成功」と言えるだろう。今まで以上に求められているのは成熟した走りだ。感情的にならず、ラジオで苛立ちを爆発させることなく、冷静さを保ち続けられるかどうかがカギとなる。
ある関係者はこう表現した。「フェルスタッペンを追うことではなく、マシンをトラブルから遠ざけることが使命だ」と。角田にとってバクーは、2025年以降もF1に居場所を持てるかどうかを占う、もう一つの試金石となる。
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