レッドブル、メキシコで明暗分かれる結果に―角田がチームのために奮闘
レッドブルは、メキシコで困難ながらも示唆に富む午後を過ごした。両車は対照的な運命をたどり、マックス・フェルスタッペンは3位を獲得してチャンピオンシップの望みをつなぎ、一方で角田裕毅は静かながらも重要なチームサポート役を担った。守備的な戦略を実行し、ピットストップのミスもあって最終的にポイント圏内を逃したものの、その貢献は大きかった。
落ち着いたスタート、戦略の分岐

両レッドブルはミディアムタイヤでスタートした。ソフトタイヤで始めた大半のライバルとは異なる選択だ。この代替アプローチは早い段階で効果を発揮した。グリッド10番手からスタートした角田は、クリーンなスタートを切り、ターン1への長いストレートで2つ順位を上げ、メキシコのスタートでしばしば見られる混乱を回避した。フェルスタッペンもオープニングラップを無傷で切り抜け、ルイス・ハミルトンやシャルル・ルクレールとの接触を避けるためにコースオフしながらも、辛抱強くタイヤを重視したレースの土台を築いた。
フェルスタッペンがチャンピオンシップ争いを繰り広げる中、角田の役割はすぐにサポートへと移行した。序盤のラップではオスカー・ピアストリに対して粘り強く守り、マクラーレンを抑えてレッドブルと最も近いライバルとの差を保つのに貢献した。ミディアムタイヤながら、角田はペースとタイヤ温度を冷静に管理し、11周目にピアストリがDRSを使ってついに追い抜くまで持ちこたえた。
タイヤの劣化とチームの優先順位
ソフトタイヤで走っていた勢力の最初のピットストップは21周目頃に行われたが、両レッドブルはさらに長く走り続けた。角田のミディアムタイヤは安定していたものの、ラップタイムは数テンス落ち始めた。27周目には、フェルスタッペンの後ろで4番手を走行しており、わずか12秒差という位置で、タイヤの摩耗にもかかわらず印象的な安定感を見せていた。
状況は劣化が進むにつれて急速に変化した。2ストップ戦略で新しいミディアムタイヤを履いていたオリバー・ベアマンが、32周目に角田を楽々と抜いた。その直後、両メルセデスのドライバーも角田を難なく追い抜いた。しかし角田は、再びピアストリのマクラーレンを遅らせることに成功した。数コーナーにわたって攻撃的に守り、34周目に長いストレートでオーストラリア人が再び順位を取り戻すまで抵抗した。短い努力ではあったが、チームメイトのより大きなチャンピオンシップの目標を助けるための、意味のある小さな犠牲だった。
終盤のプッシュ、わずかな報酬
角田は37周目にようやくピットインし、ソフトタイヤに交換した。摩耗したミディアムタイヤで長く走り続けるという判断は代償を伴い、非常に悪いピットストップと相まって、最終的にポイント圏外に終わり、挽回するには遠すぎる位置に置かれた。
レース終盤までマネージメントしなければならなかったソフトタイヤでのラップタイムは競争力があり、12番手まで順位を上げ、元レッドブルのジュニアドライバーであるイザック・ハジャーを11位で抜くなど、いくつかの見事なオーバーテイクを実行した。しかし最終ラップが近づくにつれてソフトタイヤは再び性能を失い始め、同じ戦略を取っていたガブリエル・ボルトレートの10位に追いつくことはできなかった。

角田はポイント圏外でフィニッシュしたものの、規律ある走りは成長した成熟さとチームワークを反映していた。それは目立つ結果よりも貢献によって定義されたパフォーマンスであり、自分自身のレースを超えて考えるドライバーの姿勢だった。
フェルスタッペンの復活とレッドブルの現実
前方では、ランド・ノリスがマクラーレンで圧倒的な勝利を収め、2位のシャルル・ルクレールに先行してフィニッシュした。フェルスタッペンの3位は力強い挽回走行であり、ソフトタイヤでの速い最終スティントが際立ち、終盤のラップではルクレールに肉薄するところまで迫った。

レッドブルにとって、メキシコは回復力と限界の両方を表す結果となった。チームは最適なタイヤでスタートしなかったにもかかわらず表彰台を獲得し、角田の献身的なレースは2台の車の連携の価値を浮き彫りにした。日本人ドライバーにはポイントが届かなかったものの、そのパフォーマンスはフェルスタッペンのタイトル争いを存続させるために意味のある貢献となった。
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