フェルスタッペンのタイトル獲得が遠のく中、戦略的岐路に立つレッドブル
レッドブルは、これまでのシーズンで避け続けてきた選択を前に、ラスベガスへ乗り込むことになった。ほぼ現実味を失いつつあるドライバーズタイトルへの挑戦を続けるべきか、それとも確実に手の届く範囲にある目標に舵を切るべきか。チームは今、その岐路に立っている。
フェルスタッペンは依然として脅威―しかしタイトル情勢は変わった

マックス・フェルスタッペンは、新しいパワーユニットを投入して週末に臨む。1km近いラスベガス・ストリップの超ロングストレートを擁するこのサーキットでは、そのアドバンテージが明確に作用しそうだ。さらに、低グリップで予測不能な路面への順応力は群を抜いており、土曜夜の勝利は十分に視野に入る。
だが、たとえ完璧な週末を送ったとしても、タイトル争いの状況が大きく変わる可能性は低い。勝利しても、ランド・ノリスやオスカー・ピアストリが僅差で続けばポイント差の圧縮は限定的で、ノリスの大きなリードは揺らがない。パドック内ではすでに「実質的にフェルスタッペンのタイトルは絶望的」と見る声が主流だ。
焦点は“まだ勝ち取れるもの”へ

その現実が、コンストラクターズチャンピオンシップ2位争いの重要性を一段と高めている。これはレッドブルが現実的に確保できる目標であり、財政的にも競争力の面でも大きな意味を持つ。シーズン終盤にかけて結果の波が続く中で、さらなる失速を防ぐための確かな足場にもなる。
そしてそのためには、フェルスタッペン側のガレージだけに頼らない、よりバランスの取れた内部戦略が必要になる。角田裕毅に対して、安定したリソース、集中したサポート、そして実質的な技術的平等が与えられれば、両マシンの結果を底上げする大きな要因となり得る。
角田への支援強化は合理的で正当な判断

こうした戦略転換は、角田の働きに対する遅ればせながらの正当な評価にもつながる。シーズンを通して彼は不利な戦略判断を受け入れ、黙々とサポート役をこなし、国際メディアの過剰な批判やパドック関係者からの不釣り合いな監視にも耐えてきた。ピットストップや無線での複数のミスも、彼のガレージ側に偏っていたのは明らかだ。もちろん角田にも改善点はあるが、チーム側の過失が彼のパフォーマンスを左右した場面も少なくない。
今、彼への体制を強化することは、コンストラクターズチャンピオンシップ2位の確保という実利に直結するうえ、チームとしてもますます正しい選択になりつつある。
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