ノリス、初タイトル獲得の裏で明かす後悔と“自分らしさ”へのこだわり

アブダビで行われた最終戦で3位に入り、ついに悲願のF1ワールドチャンピオンに輝いたランド・ノリス。タイトル獲得後の会見では興奮冷めやらぬ様子で多くの質問に応じ、その中で自身のスタンスや、これまでの発言に対する後悔についても明かした。

ノリスは、周囲から懐疑的な見方を向けられてきたことを認めつつも、“自分のスタイルのまま”頂点に辿り着けたことこそが、何より誇らしいと語る。

「これは僕が一番誇りに思っていることのひとつだ。自分のやり方でタイトルを勝ち取れたと感じている。誰かを真似する必要もなかったし、マックス（フェルスタッペン）のように攻撃的にならなければいけない、と自分に言い聞かせる必要もなかった」

「自分らしいまま勝てたことが本当にうれしい。期待される“別の自分”になろうとすることもできたけど、もしそうしていたら、このタイトルを心から誇れるものにはできなかったと思う。僕は冷静さを保ち、自分自身に集中し続けてきた」

一方でノリスは、これまでに口にしてきた発言の中には、後悔しているものもあると率直に認めている。

「時々バカなことを言ってしまう。マックスについて言ったこともあれば、過去にはルイス（ハミルトン）について口にしてしまったこともある。いくつかは後悔しているし、取り消したい発言もある」

それでもなお、他のドライバーに対する敬意は、誰にも負けない自負があるという。

「僕は他のどのドライバーよりもリスペクトを示しているつもりだ。オスカー（ピアストリ）にも、マックスにも敬意を持って接してきた。ルイスにも、できる限りの敬意を払っている。彼は7度のワールドチャンピオンで、このスポーツにおける最高の存在だ。ミハエル（シューマッハ）と並び称されるドライバーなんだからね。僕はまだそのレベルには全然届いていないし、もしかしたら一生届かないかもしれない。でも夢を見ることは自由だし、今日という日もずっと夢見てきた。そして一度だけど、それを叶えることができた。彼はそれを7回も成し遂げているんだ」

さらにノリスは、レース直後のクールダウンルームなどでの不用意な発言についても触れた。

「言った瞬間に『なんでこんなことを言ってしまったんだ？』と思うこともある。でも僕は正直でありたいし、誰かをミスリードしたくはない。勝てると思えばそう言うし、レッドブルが速いと感じればそう言う。それを隠しても、得るものは何もないからね」

外部からの批判や雑音に対しても、ノリスは冷静な姿勢を崩さない。

「変なことを書かれたり、言われたりするのは好きじゃない。でもそれも人生の一部だし、うまく向き合う方法を学んできた。好き嫌いがあるのは当然だし、別のドライバーの方が優れていると思う人がいるのも自然なことだ」

「僕は僕のやり方でタイトルを取った。いい人間でいたいし、いいチームメイトでありたい。それを誇りに思っている。他人の評価は関係ない。真実を知っているのは、僕の周りの人たちだけだ。外の声に耳を貸す必要はない。自分自身がいい仕事をしたと証明できれば、それで十分なんだ」

初の世界王者とは思えないほど、落ち着きと自省を伴って語られたノリスの言葉。それは、“自分らしさ”を武器に頂点へ辿り着いたチャンピオンの姿を強く印象づけるものだった。

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