元F1ドライバーのパーマー、「ペレスの5秒ペナルティは妥当だったのだろうか?」
今年、レッドブルのセルジオ・ペレスはザントフォールトでピットレーン速度違反で5秒のペナルティ、シンガポールでウィリアムズのアレックス・アルボンとの接触でもう1つ、日本ではセーフティカー下での追い越しとケビン・マグヌッセンの押し出しで2回のペナルティ、そしてカタールでさらに度重なるトラックリミット違反の末3回のペナルティを受けた。ペレスはアブダビでこれ以上トラブルなくシーズンを終えられることを望んでいただろうが、そうはならなかった。
信じられないことに、終盤のランド・ノリスとの接触により、彼は過去10レースで8回目の5秒ペナルティを受け、出場停止を受けるまで12点が認めらているペナルティポイントは7ポイントとなった。
その結果、ペレスは来シーズンにかなりの量のポイントを持ち越すことになる。実際、彼は来年9月17日までトラックリミット違反や、大きなトラブルに巻き込まれたりすることを避け、2024年の最初の17レースをかなりクリーンに走らなければならない。
ペレスがひどい目にあったのは間違いないが、アブダビでの処分については同情する。なぜならば、これはペナルティをまったく必要としない典型的なレースアクシデントだった可能性があるからだ。
ペレスは終盤に向けてマクラーレンのランド・ノリスを追撃していた。アブダビでのレースは少し特殊な一方で、ターン5から出る非常に長いストレートのおかげで追い越しはそれほど難しくない。ドライバーはターン6のシケインに向けてタイトで強力なブレーキング ゾーンに飛び込み、その後は再構成されたターン9へ向けた別のストレートでのチャンスを狙うことになる。
これはオーバーテイクが頻発するはずで、実際サーキットの再設計以来頻繁に追い越しの場面が見られるが、DRSの複雑さのため、ドライバーは普段以上に慎重に動く必要がある。
長いストレートには 2 つの異なる検出ポイントがあるため、ターン6のシケインへの進入で勝負を仕掛けた場合、注意していないと再びターン9で抜き返される可能性がある。今回、我々はフェルナンド・アロンソがルイス・ハミルトンとの戦いでDRS検出をうまく使い、まさにターン9で抜き返すことによってハミルトンに勝った場面を目撃した。
ペレスがノリスに迫っていたとき、ランドはターン6までにイン側のスペースを譲り、チェコが妨げられずにインに入り、コーナー立ち上がりでの反撃を狙った。つまり、両者とも相手のドライバーの次の動きを把握しようとして、ある程度の注意を払ってブレーキをかけたということだ。
ノリスがペレスが入ってくるためにドアを大きく開ける(イン側にスペースを空ける)と、ペレスはブレーキをゆるめ、それを見逃さなかった。
エイペックス手前で小さなオーバーステアが発生したため、わずかな修正が必要となり、ペレスはわずかにエイペックスを外してしまったが、相手の様子を見ながらの進入のように、両ドライバーがコーナーを快適にナビゲートする余地はまだ十分にあった。両者とも限界を下回っていて、特にレースラインにいたノリスはそうだった。
しかし、ランドは明らかにペレスの修正を予測していなかったので、ライバルがインのラインを維持できることを期待してターンインを開始した。チェコが意図したよりもわずかに切り込みすぎたところに、ノリスは反応しなかった。ノリスはターンインを続けたため、接触が発生した。
ノリスには、接触を予見していればステアリングを戻して接触を回避できるスペースがまだ外側にあったが、ペレスはエイペックスをわずかに外し、コーナーでも思った以上に膨らんで走り、コーナー出口でノリスのスペースを狭めた。
ランドはコース上とどまることもできたが、ランオフエリアをを通り抜けて次のラップまでポジションを維持し、ペレスはターン7で再び4位獲得を試みるまで待たなければならなかった。
全体として、かなり些細な瞬間だった。ホイールとホイールのわずかな接触により、ダメージは取るに足らない量で、両方のドライバーはコーナー手前の位置関係に戻っただけだった。
また、これはどちらにとっても、互いの想像を超えたひどい動きではなかった。スチュワードは介入する必要はなかったように感じる。おそらくこれは、ペレスの最近の評判が彼にとって不利になっているケースだったのかもしれない。
レース序盤、ルイス・ハミルトンが同じコーナーでピエール・ガスリーの後ろに追突したが、これは完全にメルセデスのドライバーのせいで、集中力が切れて前方のアルピーヌの遅れを見誤ったというミスで、両方の車に損害を与える可能性がペレスとノリスの件と同様であったにもかかわらず、ペナルティは与えられなかった。
レース後、ペレスは当然のことながら悔しさを感じており、ペナルティポイントをさらに多く獲得しただけでなく、下位からリカバリーしたにもかかわらず表彰台でシーズンを終えるチャンスを失った。彼にとっては不運だったが、紙一重の戦いの中でコンストラクターズチャンピオンシップで2位を維持するために必要だったメルセデスにとっては幸運となった。
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