レッドブルの内部権力争い-ヘルムート・マルコは敗北か
サウジアラビアGPでのヘルムート・マルコの「解雇の可能性」発言を受けて、メディアは大騒ぎになった。一方でドイツメディアは、レッドブルレーシングの重要な情報筋であるマルコを強力に支持した。
経緯
サウジアラビアGPでのインタビューにおいて、マルコは「解雇の可能性」についてほのめかした。その結果、チーム代表のクリスチャン・ホーナーに関する不利な情報の漏洩元としてマルコがレッドブルによって調査されるのではないかと憶測が飛び交った。また、この漏洩は、主にドイツとオランダのメディアによるものとみられていた。
調査はホーナー陣営の報復とみなされた。しかし、オリバー・ミンツラフ率いるレッドブル首脳陣は、あくまで調査は標準的な対応とした。その後、ミンツラフとマルコはジェッダで会談し、決勝日のパドックに二人一緒に姿を見せた。これはマルコの解雇取り消しとチーム内の結束回復をアピールするものと見られた。
ドイツメディアの反応
ドイツメディアは反撃に転じ、ホーナーのレッドブル解雇が差し迫っているという噂を大きく報じた。彼らは内部からの情報として、タイのオーナー一家が戦略的に重要な米国市場でのブランドイメージを守るため、ホーナーへのサポートを取り下げる可能性があると主張した。
一部のドイツの報道では、ロックバンドU2がクリスチャン・ホーナーの被害者を支持したことで、ホーナーの解雇が迫っている可能性があるとまで報じられた。しかし、これは全くのナンセンスだ。
権力争いにおけるメディアの役割
F1の歴史を通して、メディアはしばしば政治的な内部対立や権力闘争に利用されてきた。ジャーナリストはスクープのために情報源に依存しており、レッドブルの場合、彼らはホーナーに近いジャーナリストとマルコやフェルスタッペン一家に近いジャーナリストの2つの陣営に分かれている。
事実確認
レッドブルは、クリスチャン・ホーナー代表解雇の噂を否定した。ホーナーの社内調査は終了し、引き続きチーム代表に留まることになる。ホーナーの立場はこれらの展開と、バーレーンとサウジアラビアでのレッドブルの圧倒的な勝利により強化されている。
そして、ヨス・フェルスタッペンはホーナーを排除する試みで敗北と、クリスチャン・ホーナーが2024年シーズン終了まで残る可能性が高いことを認めた。
ヘルムート・マルコの影響力低下
しかし、ホーナーとは対照的に、マルコの立場は著しく低下した。不正行為と会社の方針違反疑惑を受けて、彼は昨年2023年の時点ですでにレッドブル・オーストリアから調査を受けていた。
また、マルコの影響力は、ディートリヒ・マテシッツが2022年に死去して以来、レッドブルAustria内で低下した。オリバー・ミンツラフとマーク・マテシッツは、マルコとの信頼関係について、意見を違えている。
ヘルムート・マルコ退職の可能性
マルコの契約は3年更新されたばかりだが、彼は次のように語っている。
「我々はチーム創設者のディートリヒ・マテシッツについて、また彼のアイデアやそれが我々をどこまで導いたかについても考える必要がある。私たちはマテシッツに感謝しているが、同時にそれは信じられないほど素晴らしい人格に対する一種の敬意でもある。」
この発言からは、マテシッツの意志を継ぐことがヘルムート・マルコにとって現在の職を継続する主な理由となっていることが読み取れる。しかし継続的なプレッシャーにより彼はレッドブルを去ることを検討する可能性もある。内部権力闘争は、80歳のマルコに大きな影響を与えた。彼は昨年、引退を考えていたことを示唆していた。
予想外の展開
注目すべきことに、マルコは最近、マックス・フェルスタッペンのプライベートジェットでオーストリアに帰国した。彼は通常、ホーナーと一緒に移動する。この6時間のフライトでの彼らの会話の内容は不明である。
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