クラックが称賛「アロンソはレースの戦い方を皆に示した」
アストンマーティンにとって厳しいシーズンとなった2025年。その中で数少ない光明となったのが、フェルナンド・アロンソの存在だった。チームのチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、2度の世界王者が今季もなお“レースの戦い方”を示したと高く評価している。
最終戦アブダビGPでアロンソは6位フィニッシュ。ドライバーズランキングでは10位となり、ニコ・ヒュルケンベルグを5ポイント上回った。コンストラクターズ選手権ではアストンマーティンは7位に終わり、レーシングブルズにわずか3ポイント差で及ばなかった。決して誇れる成績とは言えないものの、現実的には受け止めざるを得ない結果だった。
今季のアストンマーティンは終始苦しい戦いを強いられた。クラックはシーズン後のメディア対応で次のように振り返っている。

「コストキャップのある世界、あるいはレギュレーション最終年では、良いマシンでシーズンを始められるかどうかが一番重要です。そうでなければ、開幕戦から追い上げを続けなければならない」
2025年のアストンマーティンは、まさにその状況に置かれていた。
「アップグレードや開発競争は全チーム同じです。誰もが改善を続けますが、どこかで開発を止める判断をする。特に後半戦は、難しくなることは分かっていました」
アストンマーティンは早い段階で2026年に焦点を移し、2025年型マシンへの大きな改良は見送られた。その判断が、今季の成績に影響したのは否定できない。
それでもクラックはこう語る。
「だからといって、挑戦をやめたわけではありません。最終的に7位で、6位を僅差で逃したのは、現実的に見て到達し得る最大値から大きく外れてはいないと思います。もちろん『もしも』はありますが、それはどのチームも同じです。あまり自分たちを責めるべきではありません」
そんな中でシーズンを支えた決定的な存在がアロンソだった。特に最終戦アブダビGPでの走りは、改めてその価値を示すものだった。クラックは冗談交じりにこう語っている。

「彼は若いドライバーたちだけでなく、私たちにもレースのやり方を見せてくれました」
その理由について、クラックは次のように説明する。
「アブダビのレースは本当に完璧な運びでした。特にタイヤマネジメントです。ポジションを守りながらタイヤを労り、決定的な瞬間に使える状態を保っていた」
さらに最終戦では、チームメイトのランス・ストロールも10位に入りポイントを獲得した。
「ランスも同じでした。彼は後方スタートでしたが、やはり鍵はタイヤマネジメントでした。長く走り、他のドライバーが苦しむ中で新しいタイヤを使える状態にした。2人とも、我々が学んできたことをきちんと実行してくれたと思います」
DRSの使い方やプレッシャーをかける場面の判断など、純粋なレース運びの面で高い完成度を示したアストンマーティン。クラックは最後にこう締めくくった。
「重要だったのはタイヤと、レースインテリジェンスです。その点で、非常によくマネジメントされたレースだったと思います」
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