【アブダビGP FP1/FP2レポート】ルーキーの初ドライブが続いたFP1、混乱の続いたFP2
金曜午後に行われたアブダビGPフリー走行1回目では、メルセデスドライバーのジョージ・ラッセルがペースを上げ、多くのドライバーがルーキードライバーに貴重な時間を与えたセッションを常にリードした。
レギュレーションでは、ルーキードライバー(グランプリに2回以上出場したことのないドライバー)をFP1を2回走らせることが義務付けられているため、アルファタウリを除く全チームがヤス・マリーナ・サーキットで開催される今週末のFP1をその時間に当てた。
さらに、やや珍しいことだが、今回はマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの2人がRB19を空け、フォーミュラEのタイトルホルダーでレッドブルのシミュレータードライバーでもあるジェイク・デニスを初出場させた。
その他にも、フェラーリのリザーブドライバーであるロバート・シュワルツマンが再びコースを走り、F2タイトル候補のフレデリク・ヴェスティはメルセデスでドライブ、アルピーヌのサポートを受けたジャック・ドゥーハンはF1での走行距離を増やしたほか、インディカーのスター選手であるパト・オワードが2024年のリザーブドライバー就任を前にマクラーレンをドライブした。
また、F2ルーキーのオリバー・ベアマン(ハース)、F2選手権リーダーのテオ・プルシェール(アルファロメオ)、アストンマーティンのリザーブドライバーであるフェリペ・ドラゴビッチ、ウィリアムズ系F3選手権2位のザック・オサリバンにもプラクティスの機会が与えられた。
経験値に差のあるドライバー達が集まったコースでは、60分間の走行中、さまざまな走行プランが実行され、ラップタイムが着実に更新される一方で、ロックアップやスライド、コース外への飛び出しもあり、それらを経てドライバーたちは自信を深めていった。
最終的には、ラッセルがピレリのソフトコンパウンドタイヤを履いて1分26秒072を記録し、F1最速ルーキーのドゥラゴビッチ、ダニエル・リカルドのアルファタウリ、バルテリ・ボッタスのアルファロメオにコンマ3秒差をつけて1位となった。
アストンマーティンのランス・ストロール、マクラーレンのオスカー・ピアストリ、フェラーリのカルロス・サインツとシュワルツマンがコンマ数秒差で続いた。シュワルツマンはターン3でマシンの底が地面と接触するという事態に見舞われたものの、レギュラードライバーに100分の数秒差まで迫った。
ピエール・ガスリーは9位で、元アルファタウリのチームメイトである角田裕毅がウィリアムズのローガン・サージェント、ヴェスティ、ドゥーハン、プルシェール、オワードのルーキードライバーを抑えてトップ10に入った。
サージェントとドゥーハンは、このセッションで最も劇的な瞬間に遭遇した。アルピーヌのドゥーハンがスピードに乗って最終コーナーを回ったとき、サージェントがレーシングラインをゆっくり走っていたために回避行動を取ることになった。
レッドブルのルーキー、デニスとハジャーはそれぞれ同様のペースで16番手と17番手、ウィリアムズのオサリバンは18番手、ハースのケビン・マグヌッセンとベアマンは後方でセッションを終えた。
F1チームはパドックで再編成を行い、金曜日に現地時間17時から行われるフリー走行2回目に向けてコースに戻った。
フリー走行2回目では、シャルル・ルクレールがライバルのランド・ノリスやマックス・フェルスタッペンを抑えてトップタイムを記録した。
この日、ドライバーたちは太陽が照りつけた前回のセッションから、日が沈み、気温が下がり始めたヤス・マリーナ・サーキットに戻ってきた。
FP1を欠席したフェルスタッペンとルイス・ハミルトンを筆頭に10人のドライバーが初走行を行った。今回が初走行となったのはその他にルクレール、周 冠宇、エステバン・オコン、ランド・ノリス、セルジオ・ペレス、ニコ・ヒュルケンベルグ、アレックス・アルボン、フェルナンド・アロンソら。
しかし、セッション開始わずか9分後、カルロス・サインツがターン3でスピンを喫してバリアに突っ込み、赤旗中断。フェラーリのドライバーは無線で、自分は大丈夫だと言い、バンプと前方のダニエル・リカルドのダーティエアに阻まれたと報告した。
25分が経過した時点でドライバーたちはコースに復帰し、自らのマシンがコースから撤去されたサインツがガレージで見守る中、多くのドライバーはソフトタイヤに履き替えて予選シミュレーションを行った。
しかし、ドライバーたちがプラクティスに戻ろうとしたとき、再び赤旗が振られ、カメラはクラッシュしたニコ・ヒュルケンベルグを捉えた。リプレイでは、フライングラップに入ったハースのニコ・ヒュルケンベルグがターン1の出口でスピンしてバリアに激突する様子が映された。
各チームがロングランよりも予選ラップを優先したため、慌ただしい展開が予想されたセッション終盤は16分を残して再スタートした。
ルクレールは1分24秒809のファステストラップを記録したものの、2番手のノリスに0.043秒差まで迫られた。フェルスタッペンは2回目のアタックでタイムを更新し、ルクレールにコンマ2秒差まで迫った。
アルファロメオのバルテリ・ボッタスはルクレールのタイムまでコンマ2秒に縮め、4位でフィニッシュした。セルジオ・ペレスも2回目のフライングラップでタイムを更新し、メルセデスのジョージ・ラッセルをわずかに上回る5番手につけた。
周はボッタスのペースに続いて7位、ハミルトンは数週苦戦したが8位を獲得し、僅差でアルピーヌのピエール・ガスリーを抑えた。マクラーレンはオスカー・ピアストリがトップ10に入った。
アロンソはチームメイトで13番手のランス・ストロールとの間にリカルドを挟んで11番手。リカルドの元チームメイトであるエステバン・オコンは、現在チームメイトの角田裕毅を抑えて14番手だった。
コンストラクターズ選手権で7位をキープしたいウィリアムズのアルボンは16番手で、ハースのケビン・マグヌッセンとチームメイトのローガン・サージェントを上回り、サインツとヒュルケンベルグは最後尾となった。
ファクトリーチームがシミュレーターで可能なセットアップを走らせながら、現地時間14時30分に開始される土曜日の最終プラクティスに向けて、各チームは夜遅くまでデータに取り組む。
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