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F1 2026年バーレーンテスト3日目─メルセデスが最速、新世代マシンを巡る議論は加速

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mercedes kimi bahrain

2026年シーズンに向けた最初のバーレーンテストは、3日間の全日程を終了した。勢力図の輪郭はより明確になりつつある一方で、新世代マシンの方向性を巡る議論も一段と熱を帯びている。

最終日はタイムシート上で大きな波乱こそなかったが、週始めから見えていた傾向を改めて裏付ける内容となった。メルセデスがトップでテストを締めくくり、フェラーリは安定感を維持。レッドブルも射程圏内につけた。ただ、ラップタイム以上に注目を集めたのは、ドライバーたちが新たな技術時代にどう向き合っているか、という点だった。

バルセロナで方向性が示されたとすれば、バーレーンではそれがより具体的な形を帯び始めたと言える。

メルセデスは統制された完成度

最終日のタイムシート最上位はメルセデス。キミ・アントネッリが3日間の総合最速ラップを記録し、ジョージ・ラッセルも落ち着いた姿勢で手応えを語った。ガレージの空気は勝利宣言とは無縁で、あくまでプロセス重視という印象だ。

プログラムは大きな混乱なく進み、データ収集も順調。攻撃的というより、統制された完成度を感じさせた。外部からは、シーズン序盤に過度な注目を集めないよう余力を残しているのではないか、との見方も出ている。

ラッセルはマシンのバランスについて前向きに語り、予測可能性と扱いやすさを強調した。派手さはないが、タイトル争いの基盤となる特性だ。アントネッリも着実に周回を重ね、マシンへの適応を進めている。

テストで王者は決まらないが、組織力は確かに見える。メルセデスはその点で高い完成度を示した。

george russell mercedes bahrain
メルセデスのジョージ・ラッセル バーレーンテスト
ジョージ・ラッセル

フェラーリは基盤固めを優先

フェラーリも同様に落ち着いた雰囲気を保った。シャルル・ルクレールは、現行規定下ではテストで本来の速さを隠す余地が大きいと改めて指摘。エネルギー展開や燃料搭載量、エンジンモードが実力差を覆い隠すことは珍しくない。

チームの焦点は、シミュレーションと実走データの相関確認にある。プラットフォームが想定通り機能している手応えはあるが、それが絶対的優位に直結するかは本番でしか測れない。

現段階では、派手さよりも土台の構築を優先する姿勢がうかがえる。

red bull bahrain
レッドブル バーレーンテスト
レッドブル

レッドブルは速さと葛藤

レッドブルは3日間を通じて高い競争力を示したが、物語はラップタイム以上に文脈で語られている。

マックス・フェルスタッペンは2026年型マシンを「あまり面白くない」と評し、「ステロイドを投与したフォーミュラE」と表現。エネルギーマネジメントやリフト&コーストの比重増加が、より精密で制御的なドライビングを強いていると不満を滲ませた。

それでも、ロングランの一貫性は高く、チームの運営面も安定している。ただし、メルセデスほど滑らかな印象ではなかった。速さを隠しているのか、まだ最適化の途上なのかは不透明だが、メルセデスのトト・ヴォルフ代表が「ベンチマーク」と評したこともあり、注目は続く。

lance stroll aston martin
アストンマーティンのランス・ストロール
ランス・ストロール

世代間の温度差

アストンマーティンでは、フェルナンド・アロンソが新世代マシンの特性を分析的に語った。かつて全開で攻められたコーナーも、今はエネルギー回収やバッテリー展開、温度管理を考慮しながら走る局面へと変わっているという。直感よりも計算が求められる世界だ。

それは技術的な変化であると同時に、哲学的な転換でもある。現代のF1は勇気や反射神経だけでなく、ソフトウェア理解やエネルギー戦略が勝敗を左右する領域へと進んでいる。

この3日間で浮かび上がったのは、世代間の微妙な温度差だ。アロンソやフェルスタッペン、ルイス・ハミルトンら経験豊富な王者たちは、より本能的なレースへの郷愁を口にする場面があった。一方、若手はより現実的だ。

オリバー・ベアマン、アービッド・リンドブラッド、アイザック・ハジャーらは、哲学よりも適応に焦点を当てている。特にハジャーは、手順の理解やスタート改善、エネルギーマップ習熟など実務面を重視した。複雑さは学習プロセスの一部と受け止めている。

その対比は、F1の進化そのものを象徴している。競争はもはや勇敢さだけでなく、計算力と規律によっても形作られる。

arvid lindblad racing bulls
レーシングブルズのアービッド・リンドブラッド
アービッド・リンドブラッド

戦術の変化と開発の前進

チーム代表たちも戦術面の課題に触れた。マクラーレンはエネルギー展開の構造がオーバーテイクを難しくする可能性を指摘し、レースの様相そのものが変わるとの見解を示した。スタート練習やリフト&コーストの最適化も、引き続き重要なテーマとなる。

一方、アウディのジョナサン・ウィートリー代表は、バルセロナでの苦戦を経たうえでの着実な前進に確かな手応えを示した。

mercedes bahrain
メルセデス バーレーンテスト
メルセデス

2026年という時代

勢力図は徐々に形を成しつつあるが、まだ暫定的だ。メルセデスは安定し、フェラーリは構造的に整い、レッドブルは競争力を維持。アストンマーティンは調整段階にあり、中団は依然として接近している。

ただし、より重要なのは、2026年という時代の性格だ。これを高度な技術挑戦と見る向きもあれば、純粋な全開レースからの離脱と受け止める声もある。

いずれにせよ、各チームにはまだ多くの作業が残されている。3日間で収集されたデータは膨大であり、次のテストに向けてシミュレーション部門はその解析に追われることになる。

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