元ルノー代表がダニエル・リカルドの移籍は「利己的」と非難

元ルノーF1チーム代表のシリル・アビテブールは、2020年シーズン限りでチームを去ったダニエル・リカルドを「利己的」だと非難。また、リカルドはルノーとマクラーレンの両チームを去るのが早すぎたと主張し、キャリアの選択を誤る癖がついていると考えている。

リカルドは2018年夏に、共に輝かしい成績を収めていたレッドブルを去り、中団チームであったルノーと高額契約を結んだことでF1界を震撼させた。

2019年にルノーでチャレンジングな初シーズンを過ごしたリカルドは、すでにマクラーレンとの契約を結んだ後に始まった新型コロナウイルスの影響を受けた2020年シーズンに、ルノーで2回の表彰台フィニッシュを果たした。

2021年のモンツァではマクラーレンで勝利を収めたものの、リカルドは契約解除に合意するまで、チーム在籍期間中ほとんど苦戦を強いられた。

アビテブールは、チームでの2シーズン目が始まる前にルノーから去るというリカルドの決断に激怒していたようで、『Dans La Boîte À Gants』のポッドキャストに出演してこの件を振り返っている。

「彼は4月か5月に決断を下した。世の中はまだパンデミック真っ最中で、いつトラックに戻れるのかもわからなかった。」とアビテブールは語った。

「これは非常に早い決断であり、少し利己的だと思う。結局のところ、チームに与えられたチャンスは1シーズンだけだったからだ。だから、この決断を私が悪く受け止めているのは事実だよ。」

レッドブルでの環境に慣れていたリカルドにとって、ルノー移籍1年目は、マシンに適応するのに苦労していたようだ。

「チームは構築・組織化する過程にあり、我々はまだレッドブルのレベルに達していなかった。彼はレッドブルの環境がスタンダードであったために、必然的に降格したという気持ちがあったかもしれない。」と語った。

「彼にとっては心理的にも難しいものだっただろう。2019年のバクーは本当にひどいもので、彼はミスに次ぐミスを犯した。彼は完全に自分の深みにはまっていたんだ。」

「2019年にこれほど困難な状況になるとは思わなかったし、2020年には新型コロナウイルスという世界的なパンデミックがあり、その最中に彼が契約終了を決断するとは思わなかった。」

「2020年がそれほど良い年だったとは思えないが、それでも表彰台を獲得し、もう少しミスが少なければランキング3位を獲得できたかもしれない。」

「その後我々は、かなり冷たく、厳しいプレスリリースを発表するのだから状況は複雑だ。さらに言えば、Netflixは恐らくその時点でも、番組を撮影していたはずだから、その後に違う伝え方をしたんだと思う。」

「シーズンは我々が想像していたものにはならず、予想よりもずっと良いものになった。だが同時に、我々は別のことを試すべきだと判断し、リカルドの後任としてフェルナンド・アロンソと契約したんだ。」

「リカルドがそれを後悔しているかどうか、我々が後悔しているかどうかについて話し合う機会はなかったと思う…いずれにせよ、もうそこに私はいない。」

「リカルドとしては、マシンがこれほど進歩することを想像できなかったと思うし、我々も想像できなかったから、彼の戦略も理解できる。マクラーレンは彼を獲得するために大枚をはたいた。彼は我々を離れるのが早すぎたし、マクラーレンを離れるのも早すぎた。」

2020年末でルノーのチーム代表を退いたアビテブールは、ルノーがチームとして発展していく中で、リカルドのような優秀なドライバーと契約した時期が早すぎた結果、自分たちの立場を露呈することになってしまったことを認めた。

アビテブールは2018年にリカルドと契約合意した日のことを振り返った。

「その夜、私はパートナーとマルセイユのお気に入りのレストランに行き、彼女に『今夜は2つのことに乾杯しよう』と言った。ひとつは、偉大なドライバーであるリカルドと契約できたことに。2つ目は、2年後にはクビになるという事実に。」

「2年契約を結ぶのだから、最終的にはチームがまだ要求されているレベルに達していないという事実が浮き彫りになり、これが悪い決断だと解釈される可能性があるからだ。」

「今でも複雑な気分だが、その一方で、自分の予想を裏切ったわけではない。」

アビテブールは現在、世界ラリー選手権でヒョンデのチーム代表を務めており、2023年にイタリアとセントラル・ヨーロピアンで優勝している。

彼は、4月にクロアチアでテスト中に事故で亡くなったアイルランド人ドライバー、クレイグ・ブリーンの悲劇的な死を受けて、ヒョンデを率いることになった。

アビテブールは先月、2019年ワールドチャンピオンであるオット・タナクを獲得し、2024年にヒョンデに復帰することを発表した。 

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