角田裕毅、モナコで苦戦もレッドブルは将来性を評価

角田裕毅にとって、2025年モナコGPは自身の才能を証明し、レッドブル・レーシングでトップクラスのF1ドライバーとしての地位を確立する重要な週末となるはずだった。しかし実際には、メディア対応での失敗、戦略的な挫折、そして批判者たちを勢いづかせる結果に終わった警告的な物語となってしまった。
角田はレースを12番手からスタートし、17位でフィニッシュした。予選では、チームに昇格してから3度目のQ3進出を逃してしまった。レース後に彼のマネージャーは報道陣との対話を拒否し、角田自身も明らかに苛立ちを見せながら、パドックでの取材に対して多くを語らなかった。しかし、結果がいかに期待外れに見えようとも、角田の週末をより詳しく見ると、この結果はまた違った解釈をすることが出来る。
早期に運命づけられた週末
角田のモナコでの苦戦の多くは、1週間前のイモラでの失敗に遡ることができる。エミリア・ロマーニャGPのQ1でのクラッシュは、レッドブルが100万ポンドと推定する費用を発生させた。これはF1のコストキャップの規制下では大きな打撃だった。さらに重要なことに、これはレッドブルのアップグレードサイクルを混乱させた。モナコに向かう時点で、角田は依然として旧スペックのRB21を走らせており、チームメイトのマックス・フェルスタッペンにペースだけでなくパーツ面でも遅れをとっていた。
アドバイザーのヘルムート・マルコは土曜日にこのことを説明した。「我々は実際に彼がトップ10に入ることを期待していた。しかし、以前に述べたように、彼は旧スペックのクルマで走っている。イモラとモナコの間には限られた時間しかないため、必要な新しいパーツを持参するチャンスがなかった」
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーもその見解を支持した。「裕毅(角田)は先週末のクラッシュによって現在の状況に置かれている。我々が追いつくことができれば、彼のクルマにパーツを取り付ける」と述べた。
これは、角田の予選パフォーマンスを評価する際に重要である。今年のモナコGP予選Q2で彼は1分11秒415を記録したが、これは競争力がはるかに劣る2024年のVCARBでの記録より約0.5秒遅かった。昨年、彼はQ3に進出し8番手で予選を通過したが、今年は12番手となった。
感情的の不安定さ
トラック上での苦戦も大きかったかもしれないが、トラック外も目に見えて緊張するようなものになった。木曜日のメディアセッション中、角田は異常に動揺しているように見えた。日本人ジャーナリストから父親の信彰氏による最近のコメントについて回答を求められた際、彼は苛立ちを見せた。「父の話は聞いていないので大丈夫だ…気にしていない。自分のことは十分に自分がわかっている」と答えた。
このやり取りに、同じ部屋にいた他のメディアたちは明らかに動揺し、居心地の悪さを感じているようだった。後に何人かのジャーナリストは、角田の口調が失礼だったと私的に言及していた。彼の父親は、インタビューで、イモラでの予選Q1のクラッシュ後の息子の感情的規律に疑問を呈していた。その発言は辛辣であったものの、心配する親としては特に珍しいものではなかった。
「F1初年度も、同じイモラの予選で同じようなクラッシュをした。5年目になって、またそれを繰り返すとは」と信彰氏は語った。「とにかく調子がいいと、すぐに楽観主義になってしまう。そこが困ったところですね」
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この反応は、角田のプレッシャー下での冷静さに関する疑問を提起した。これは彼のF1キャリア全体を通じて彼に付きまとってきた問題である。彼の気質は初期の頃から著しく改善されているが、このような瞬間は感情的な暗流が残っていることを示唆している。
チーム指示と無線での苛立ち
初期の緊張にもかかわらず、角田の週末は有望に始まった。彼は金曜日のフリープラクティスで堅実にパフォーマンスし、フェルスタッペンのラップタイムに近い走りをした。これは彼の限られたクルマのスペックを考えると、励みになる兆候だった。
しかし、土曜日の予選で勢いは崩れてしまった。Q2中にフェルスタッペンを先に行かせるチーム指示が角田を困惑させ、彼はチーム無線で苛立ちを声に出した。
「正直、酷いよ。とても不公平だ。こうなることはわかっていた。わかっていたけど…」と彼は言った。セッション後、彼は再びこの問題に言及し、内部チーム決定が彼のQ3進出の機会を妨げたことを示唆した。
レッドブルのエンジニアたちは後に、この指示が異なる走行計画から生じたと説明した。フェルスタッペンはプッシュラップ中で、角田はビルドラップ中だった。ポジションの交代は、彼らが主張するところによれば、当然のことだったという。振り返ってみると、角田の苛立ちは的外れだったかもしれない。これは既に困難なセッションに対する衝動的な反応だった。
クルマを無事に持ち帰ること
レース中、角田にはチャンスがほとんどなかった。スタートでニコ・ヒュルケンベルクに対して1つポジションを失った後、トラフィックに捕まり、レースの大部分をその中で過ごした。ピエール・ガスリーが彼のクルマのリアに激突するという危ないシーンもあったが、幸運にもレースを走り切ることができた。
「彼はレース全体を通してトラフィックの中にいた」とホーナーは語った。「しかし彼は最後にファステストラップを記録した。今日彼が何かをするのは非常に困難だったと思う」
それでも、レッドブルの指導陣は日曜日の角田の規律を称賛した。「彼はクリーンに保って、クルマを無事に持ち帰った」とホーナーは付け加えた。「それが今日、我々が必要としていたことだ」
マルコの継続的支援
角田に最も安心感を与えているかもしれないのは、ヘルムート・マルコの継続的な支持である。クラッシュ前のイモラでマルコは、珍しい称賛コメントをしていた。
「マックス(フェルスタッペン)とわずか0.1秒差。しばらくの間、彼にこれほど近づいたドライバーはいなかった。マシンの神経質な挙動を彼は冷静に対応している。彼は不満を言わず、淡々と走る」とマルコは語った。
このようなコメントは重みを持つ。マルコはお世辞を言うような人物ではない。特にレッドブルというの冷酷で厳しい環境下ではなおさらだ。
彼の持つ生粋のスピードは明らかだ。プレッシャーを力に変える能力も時折見られる。疑問視されているのは、彼が感情的な不安定さを苛立ちではなく集中に向けることができるかどうかである。
モナコで、角田は自分の仕事をした。彼はトラブルを避け、クルマを無傷に保ち、必要な時にサポートを提供した。しかし、彼の無線での不満と鋭い口調は、堅実な週末として見られ得たものを覆い隠した。
角田がレッドブルでのチャンスを最大限に活用するには、それを変える必要がある。レッドブルが最も避けたいのは、セルジオ・ペレスのシナリオの繰り返しだろう。頻繁なクラッシュ、公でされる不満、そしてチームに責任を転嫁することで起こってしまう雑音は逆効果だ。
より規律正しく、落ち着いたアプローチは、レッドブルだけでなく角田の長期的な将来にも利益をもたらすだろう。いくつかの感情的なバランスに対処できれば、彼にとってのチャンスは遅かれ早かれやってくるに違いない。
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