【バーレーンGP決勝レポート】フェルスタッペン、開幕戦バーレーンGPを制す
レッドブルのマックス・フェルスタッペンはバーレーンGP予選でポールポジションを獲得し、決勝レースではチームメイトであるセルジオ・ペレスとフェラーリのカルロス・サインツをリードし優勝。タイトル防衛に向けて完璧な週末を過ごした。
フェルスタッペンはレースが始まってもそのアドバンテージを維持し、57周を走りきってペレスに22秒差をつけてゴール。
フェラーリのカルロス・サインツは、チームメイトのシャルル・ルクレールとのスリリングなバトルを制し、表彰台を獲得した。ルクレールはタイヤのデグラデーションに苦しみ、何度もロックアップに見舞われながら4位でチェッカーを受けた。
ラッセルとチームメイトのルイス・ハミルトンはレースを通してバッテリーに問題を抱えており、7度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンもシートが破損していたため、マクラーレンのランド・ノリスに次ぐ7番手に留まった。
【F1バーレーンGP 決勝 結果・順位】
順位 | No | ドライバー | チーム |
1 | 1 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル |
2 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル |
3 | 55 | カルロス・サインツ | フェラーリ |
4 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ |
5 | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス |
6 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン |
7 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス |
8 | 81 | オスカー・ピアストリ | マクラーレン |
9 | 14 | フェルナンド・アロンソ | アストンマーティン |
10 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン |
11 | 24 | 周冠宇 | ザウバー |
12 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース |
13 | 3 | ダニエル・リカルド | RB |
14 | 22 | 角田裕毅 | RB |
15 | 23 | アレックス・アルボン | ウィリアムズ |
16 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ハース |
17 | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ |
18 | 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ |
19 | 77 | バルテリ・ボッタス | ザウバー |
20 | 2 | ローガン・サージェント | ウィリアムズ |
8位にはオスカー・ピアストリが入り、マクラーレンは2台共にポイントを獲得。アストンマーティンはフェルナンド・アロンソが9位、ランス・ストロールがターン1のアクシデントで最後尾に追いやられたものの10位でフィニッシュした。
周 冠宇は最終スティントを長めにとったオルタネートタイヤ戦略で11位に入り、惜しくもポイントには届かなかった。ハースのケビン・マグヌッセン、RBのダニエル・リカルドと角田裕毅が続いた。
RBは終盤にドラマがあった。チームは残り数周というところでドライバー2人のポジションを入れ替えるという指示を出し、それに対して角田は憤りを見せた。
アレックス・アルボンはレース中盤にマシンを冷却しなければならず、15位。またチームメイトのローガン・サージェントはステアリングホイールのトラブルでコースアウトし、20位という結果で、ウィリアムズにとっては難しいシーズンのスタートとなってしまった。
もう1台のハースに乗るニコ・ヒュルケンベルグは16位。第1コーナーで前述のストロールと接触してスピンを喫し、1周目の終わりにピットインしてフロントウイングを交換した。
アルピーヌのチャレンジングな週末は続き、エステバン・オコンとピエール・ガスリーはそれぞれ17位と18位でレースを終えている。ホイールナットのトラブルで長いピットストップを強いられたキック・ザウバーは、バルテリ・ボッタスがサージェントを抑えてゴールした。
パルクフェルメに戻ったフェルスタッペンは優勝したRB20から飛び出してF1キャリア通算55勝目を挙げ、ドライバーとチームは4年連続のワールドチャンピオン獲得に向けて他のライバルたちに明確なメッセージを送った。
F1パドックはバーレーンからサウジアラビアに移動し、ジッダ・コーニッシュ・サーキットで第2戦目が行われる。
【決勝レース】
予選では、フェルスタッペンがルクレールやラッセルを抑えてポールポジションを獲得。
レース前のセレモニーと国歌斉唱が終わると、タイヤブランケットが外され、20人のドライバー全員がソフトタイヤで2ストップ走行を行うことが予想された。
レースがスタートすると、ポールシッターのフェルスタッペンは力強いスタートでアドバンテージを維持し、ターン1への進入でルクレールを抑え込む。
その後方では、ラッセルがサインツを抜いたペレスから3番手のポジションを守り、アロンソはマクラーレンのノリスとピアストリを抑えて6位、ハミルトンは10番手に上がってきた角田を抑えていた。
リプレイでは、ヒュルケンベルグが第1コーナーでストロールと接触、その後にボッタスが巻き込まれた光景が映し出され、このアクシデントでヒュルケンベルグはフロントウイングを損傷、ストロールはスピンして最後尾まで後退した。
レースが落ち着きを取り戻すと、ラッセルがDRSを駆使してルクレールに迫り、ターン4と5の間で2番手に浮上する。
6周目にはフェルスタッペンがラッセルを約4秒引き離し、ルクレールが3番手、ペレスとサインツ、ノリスとピアストリとアロンソがそれに続いていた。また、ハミルトンと角田もこの時点でポイント圏内に入っていた。
その1周後、ペレスはターン10でルクレールがロックアップした隙を突いてスリップストリームに入り、ターン11へのブレーキングで表彰台圏内に浮上。
レースが10周に入ると、フェルスタッペンがリードを7秒台に広げ、ハミルトンはストレートでDRSを使い、アロンソをパスして8番手に浮上した。
その数秒後、サージェントがターン4の出口でコースアウトして一時イエローフラッグが提示。サージェントは不満を叫びながら、ハードタイヤでストップした周、ストロール、ヒュルケンベルグとともに最後尾まで順位を下げた。
サージェントがレースを再開した直後、ウィリアムズはステアリングホイールの問題を認めたが、カメラはサインツが第1コーナーでチームメイトのルクレールに襲いかかり、インを突いて立ち上がりで抜き去るシーンに切り替えた。
ラッセルは12周目にピットインし、デグラデーションに悩むルクレールもそれに続いた。
ペレス、ピアストリ、ハミルトンはすぐに対応し、ペレスは再スタート直後のターン4でラッセルをパスしたが、フェルスタッペンとサインツは上位で時間を稼ぎ、最初のソフトタイヤでのスティントを数周伸ばした。
15周目にピットインしたサインツは、ペレス、ラッセル、ルクレールの後ろに戻ってくる。
その後、ルクレールとハミルトンから気になるメッセージが届いていた。
ルクレールはフロントタイヤがあちこちでロックしていると訴え、ハミルトンはバッテリーの残量が少なくなってパワー不足に陥っていると報告した。
フェルスタッペン以外のドライバーでは、アロンソとアルボンが16周目にソフトからハードに履き替えた。
フェルスタッペンの後方では、チームメイトのペレスがラッセルから2番手に浮上。3番手にはターン1でルクレールをかわしたサインツ、6番手と7番手にはマクラーレンのノリスとピアストリ、8番手にはハミルトン、トップ10にはアロンソと周が入った。
17周を終えたところでフェルスタッペンがピットイン、一方、サインツはターン4で同じくバッテリーに問題を抱えていたラッセルのアウト側から3番手に浮上した。
ポイント圏外では、角田がストロール、マグヌッセン、アルボン、リカルドから11番手をキープ。ボッタスは1周目のトラブルから17番手、ガスリーは18番手、ヒュルケンベルグは19番手、サージェントが20番手だった。
前方ではペレスはフェルスタッペンの10秒リードをどうにかしようと、レースエンジニアに大きな声で話すように頼んでいた。
ハミルトンはバッテリーに加えてレースシートが「壊れている」と報告し、ウィリアムズはダーティーエアーの中を走ったためマシンが「熱すぎる」とステアリングに表示された。
その後、フェルスタッペンはペレスとの差を15秒台に広げ、サインツはさらに数秒後方、ラッセルは4番手、ルクレールは5番手につけた。
そのほか、ボッタスはピットレーンで災難に見舞われ、左フロントのホイールナットの不具合で1分近くを費やしてしまった。
ラッセルは上位陣の中で最初に2度目のピットストップを行い、アロンソのすぐ後ろでコースに復帰したが、メインストレートではDRSによりすぐにアストンマーティンを抜き去り、ノリス、ハミルトン、ピアストリ、ルクレールもハードタイヤを装着してコースに復帰した。
ピアストリがその前にピットストップしたハミルトンとサイドバイサイドでピットレーンから出てきたドラマもあった。マクラーレンはターン1で前に出たが、出口でスライドして後方に落ちてしまった。
レッドブル勢とリカルドはハードではなくソフトを選択し、フェルスタッペンは1位をキープした。
ラッセルは4番手をキープし、ルクレールが5番手、バックストレートでDRSを使ってアロンソをクリアしたノリスが6番手、ハミルトンが8番手、ピアストリが9番手、ストロールが10番手以内をキープしている。
アロンソは2回目のピットストップを行い、周とストロールに次ぐ11番手に後退。
アロンソはすぐに周をパスして10番手でターン1に進入し、ストロールに照準を合わせる。一方、上位ではルクレールがラッセルに、サインツがペレスにそれぞれ迫り、レース終盤のバトルが期待された。
しかし、ターン10でラッセルがミスを犯すと、ルクレールは競り合うことなく4位に浮上し、レッドブルの1-2、フェラーリの3-4となった。
アロンソはフレッシュタイヤをうまく使い、レースが残り10周となったターン1とターン2の複合コーナーでチームメイトのストロールをパスして9番手に浮上。
ヒュルケンベルグ、ガスリー、サージェントが追加ストップを行い、フェルスタッペン、ペレス、リカルドとともにソフト・タイヤでフィニッシュまでの最終ラップを走った。
RBでは終盤、チームが角田にリカルドとのポジション交代を求めた際、角田は怒りに震え、リカルドは周回を重ねるごとに焦りを募らせるというドラマがあったが、最終的にポジション交換は完了した。
フェルスタッペンがペレスに約22秒差をつけてフィニッシュ、ファステストラップのボーナスポイントも獲得した。サインツはペレスに数秒差の3位でフィニッシュ。
ルクレールが4位。メルセデスはラッセルが5位、マクラーレンはノリスが6位、ハミルトンは7位だった。
ピアストリガ8位、アロンソとストロールがそれぞれ9位と10位でポイントを獲得した。
周とマグヌッセンは11位と12位でザウバーとハースのチームをリードし、RBのリカルドと角田は13位と14位でゴールした。
アルボンが15位、ヒュルケンベルグはターン1でのストロールとの接触で16位に入ることしか出来ず、それにアルピーヌのオコンとガスリーが続いた。
ボッタスとサージェントは、それぞれザウバーとウィリアムズの後方でレースを進め19位と20位でレースを終えた。
【キーポイント】
「信じられないよ。」と優勝したフェルスタッペンはレース後に語った。「今日は予想以上にうまくいったと思う。どのコンパウンドでもペースが良かった。今日のドライブは本当に楽しかったし、トラブルにも巻き込まれなかった。」
「良いシーズンのスタートが切れた。これ以上はないよ。」
【次戦】
F1パドックはサヒールから直接ジッダに移動し、3月7~9日にサウジアラビアGPが開催される。
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