ニューウェイ氏が明かすAMR26の全貌─“進化を前提にしたマシン”
アストンマーティンのテクニカルディレクター兼チーム代表を務めるエイドリアン・ニューウェイ氏は、新型マシン「AMR26」の設計思想について語り、全面刷新となる2026年レギュレーション下での難しさと、チームが選択した開発方針の背景を明かした。
ニューウェイ氏は、新規則のもとでは「どの設計哲学が正解か、現時点では誰にもわからない」と指摘。そのうえで、限られた時間の中で明確な方向性を定め、それを徹底して追求する決断を下したという。AMR26は特定のパーツに依存するのではなく、空力、メカニカル、車両運動性能、そしてドライバーとの調和を重視した「すべての要素が連携するホリスティックなパッケージ」として設計されている。
設計面では、アストンマーティンとして過去最もタイトなリアパッケージングを採用。これはニューウェイ氏がこれまで手がけてきたマシンにも共通する特徴であり、空力性能を最大限に引き出すため、メカニカル設計陣との緊密な連携が不可欠だったという。また、フロントウイングやノーズ形状、サイドポッド周辺にも従来とは異なるコンセプトが導入されているが、その解釈が正しかったかどうかは、他チームのマシンが出揃うまで判断できないとしている。
2026年は、F1史上初めてパワーユニット規則とシャシー規則が同時に変更されるシーズンとなる。アストンマーティンでは、新風洞施設「CoreWeave Wind Tunnel」の本格稼働が昨年4月までずれ込んだことに加え、ニューウェイ氏自身の加入時期も影響し、開発開始はライバル勢より約4ヶ月遅れる形となった。その結果、研究と設計は極めてタイトなスケジュールで進められ、AMR26はシェイクダウン直前に完成したという。
それでも、ニューウェイ氏はAMR26を「開発余地を重視したマシン」と位置付けている。シーズン序盤から完成度を追い求めるのではなく、まずは基礎性能を固め、ウイングやボディワークといった可変要素を通じて、シーズンを通して大きく進化できるポテンシャルを備えた設計思想を採用したと説明。また、新世代マシンにおいては、ランス・ストロールとフェルナンド・アロンソの両ドライバーが安定して性能を引き出せるドライバビリティの向上も重要な目標だという。
さらに、2026年から導入される完全持続可能燃料にも言及。タイトルパートナーであるアラムコや、パワーユニットを供給するホンダとの協力が不可欠であり、新燃料や潤滑油の効率性がパフォーマンスを左右する重要な要素になると語った。加えて、風洞解析やレース戦略の分野ではAIや機械学習の活用も進んでおり、「急速に進化する技術を最大限に活かすためには、常に新しい可能性に対して心を開いておくことが重要だ」と強調した。
最後に、開幕戦のメルボルンで走るAMR26は、バルセロナでのシェイクダウン仕様から大きく進化した姿になるとの見通しを示し、さらにシーズン終盤には、“全く異なるマシン”になっている可能性もあると示唆した。新時代のF1において、継続的な進化こそが最大の鍵になるとの考えを示している。
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