元F1ドライバー山本左近(衆議院・自民党)が語る「日本を再び世界で勝てる国に」
元F1ドライバーから政界へ――山本左近の経歴と現在地
元F1ドライバーという異色の経歴を持つ山本左近議員は、2005年にジョーダンGPでサードドライバーとしてF1の世界に足を踏み入れ、スーパーアグリ、スパイカー、ルノー、HRT、マルシアといったチームでキャリアを重ねた。2006年には当時日本人最年少でF1参戦を果たし、2007年の日本GPでは豪雨の中で完走するなど、過酷な環境でも走り抜いた経験を持つ。
また、2011年の東日本大震災の際には、セバスチャン・ベッテルら全F1ドライバーによる日本へのメッセージ映像の企画・構成を主導し、世界と日本をつなぐ役割も果たした。

現在は衆議院議員として活動する一方、自民党モータースポーツ振興議員連盟の事務局長を務め、2022年のF1日本GPでは岸田文雄首相の来場を実現させるなど、政策面からもモータースポーツに関わり続けている。
さらに注目すべきは、現在もF1に対する発信を続けている点だ。2026年のレギュレーションなど最先端の技術動向にも踏み込んだ分析を行っており、その視点は単なる元ドライバーにとどまらない。
“F1を経験した政治家”ではなく、
「今もF1の最前線とつながり続ける政治家」
それが山本左近という存在である。
世界を走った経験が生んだ「日本を勝たせる」という使命
元F1ドライバーとして世界を転戦し、現在は衆議院議員として活動する山本左近氏。
その原点にあるのは、モータースポーツという“完全なグローバル競争”の現場で培った視点だ。
10代で海外レースに参戦し、19歳で単身ヨーロッパへ。約10年にわたり世界の第一線で戦う中で、日本を「外から見る経験」を得たという。
「日本の強さや美点に気づく一方で、かつて世界を牽引していた日本が徐々に輝きを失っていく現実も目の当たりにしました」
この体験こそが、
「日本を再び世界で勝てる国にしたい」
という強い意志につながり、政界入りを決断する原動力となった。
海外で見えた日本の“強さ”と“弱さ”

山本議員は、日本の最大の強みを「人の在り方」にあると語る。
誠実さ、責任感、相手を思いやる文化——これらは世界に誇るべき価値であり、製造業における高品質・高性能を支える土台でもある。
しかし同時に、その特性が変化を阻む要因にもなっている。
「同調圧力や前例主義によって、挑戦が遅れる。その結果、『技術で勝ってビジネスで負ける』構造が生まれている」
この課題を乗り越えるには、失敗を許容し、新たな価値創出に挑戦する社会への転換が不可欠だという。
■ なぜF1から政界へ――世界で感じた“日本の限界”

F1という世界最高峰の舞台で戦う中で、日本のポテンシャルの高さを実感する一方、それを活かしきれていない現実にも直面した。
「何度も、日本の力が十分に発揮されていないと感じる場面がありました」
その問題意識から、経済成長につながる構造改革の必要性を強く認識。そして、
- 前例にとらわれない社会
- 挑戦できる環境
- 日本の価値を世界に届ける仕組み
を実現するため、自ら政治の世界に身を投じた。
■ F1で培った国際感覚が政策に活きる理由

F1という世界を舞台に戦ってきた経験は、現在の政策立案にも直結していると山本氏は語る。
特に外交・安全保障、経済政策においては、「常に国際社会の中での日本の立ち位置を意識している」という。その象徴がエネルギー分野での取り組みだ。
2021年当時、欧州ではエンジン車規制、いわゆる「2035年問題」が大きな議論となっていた。欧州委員会は2035年までに新車のエンジン車販売を禁止する方針を打ち出していたが、山本氏はその流れを単純には受け止めなかった。
「当時から、その動向を丁寧に見極めれば、欧州が将来的にルールを見直す可能性があると考えていました」と振り返る。
こうした“国際的な潮流をそのまま追うのではなく、構造を読み解く視点”こそが、F1で培われた感覚だという。
その上で山本氏が注目したのが「合成燃料」だ。
エンジンを活かしながら脱炭素を実現するこの技術こそ、日本が主導権を握るべき分野だと訴え、政策的な後押しを進めてきた。その結果、日本初の実証プラントの実現にもつながった。
「重要なのは、後追いではなく“先を読む力”です」
世界のルールが変わる瞬間を見極める力。
それは、常に変化し続けるF1の現場で培われたものだった。
■ 日本再生の鍵は「産業・科学技術・教育」の一体改革
山本氏は、日本再生に向けて複数の政策分野を掲げる中でも、特に重要なのが以下のポイントだと語る。
- 責任ある積極財政(危機対応+成長投資)
- 単年度主義の見直し(継続的投資)
- 人材育成と産業構造改革の一体化
- 多様な働き方を実現する労働政策
これらはすべて「未来志向の制度設計」への転換を意味する。
「これまでの延長線ではなく、未来を見据えた改革が必要です」
■ 「Japan as No.1 Again」――掲げる国家ビジョン
山本氏が掲げる目標は明確だ。
「Japan as No.1 Again」
かつて世界のトップランナーだった日本。しかし「失われた30年」の中で、挑戦よりも安定が優先されてきた。
今後は、
- 経済力の回復
- 国際社会でのリーダーシップ
- 幸福を実感できる社会
を同時に実現する必要があると指摘する。
「個々の幸福が新たな成長を生み出す。その好循環を日本に築きたい」
■ 若者と理系人材に求められる“挑戦できる環境”

世界に挑戦する若者を増やすためには、制度だけでなく「行動を後押しする文化」が重要だという。
現在はインターネットの進化により、世界へのアクセスは格段に容易になった。
「だからこそ重要なのは、一歩踏み出す意欲です」
また、理系人材の育成については、以下を提案。
- STEAM教育の強化
- 実社会とつながる体験機会
- モータースポーツや最先端研究現場の活用
F1のような最先端の現場は、技術と戦略が融合する“究極の学びの場”だと位置付ける。
■ F1が示す“技術革新と人材育成の未来”――「限界に挑む走り」との両立
山本氏は、現在のF1について「技術の大きな転換期にある」と指摘する。
ハイブリッド技術の深化や100%脱炭素燃料の導入など、環境と性能を両立させる新たな挑戦が進む一方で、
「エネルギーマネジメントの制約により、本来の『限界に挑む走り』とのバランスには課題も見られます」と語る。

それでもF1は常に技術革新の最前線にあり、課題があるからこそ進化が生まれてきたカテゴリーだという。そのダイナミズムは、日本の人材育成にも重要な示唆を与えている。
また、こうした世界最高峰の環境に日本人材が挑み続けるためには、
「若い段階から世界基準に触れる機会を広げること、そして継続的に挑戦できる育成・支援の環境を整備することが必要です」と強調する。
F1は単なる競技ではなく、
技術革新と人材育成の最前線を体現する存在であると位置づけた。
■ すべての人が「この国に生まれてよかった」と思える日本へ
最後に山本氏は、日本の未来像についてこう語る。
「すべての子どもたちが『この国に生まれてよかった』と実感できる社会を実現したい」
そのために必要なのは、
- 命と安全を守る政策(防災・医療・福祉)
- 多様性を尊重する社会
- 幸福と成長の好循環
である。
F1という極限の競争世界を経験した男が、次に挑む舞台は日本そのものだ。
その“レース”の行方に、今後も注目が集まる。
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