ホーム » F1 ニュース » 2026年F1規則変更でドライバーの役割が拡大

2026年F1規則変更でドライバーの役割が拡大─求められる新たな責任

formel-1-2026

2026年から導入されるF1の大規模なレギュレーション改革は、エンジニアだけでなく、ドライバーの役割にも大きな変化をもたらす。新世代マシンの登場により、ドライバーはこれまで以上に多くの判断を迫られ、その責任は確実に増していく。

来季からF1は新たな車両世代へと移行し、タイヤやパワーユニットにも抜本的な変更が加えられる。マシンは現行型よりもコンパクト化され、全長・全幅・重量が再定義される。ホイールベースは200mm短縮されて3,400mmとなり、全幅も100mm狭い1,900mmに。最低重量は30kg軽減され、770kgに設定される。

空力面での変化も大きい。空気抵抗は2025年仕様と比べて約40%削減される一方、グラウンドエフェクトの廃止によりダウンフォースは15〜30%低下すると見られている。減少幅はサーキットの特性によって差が生じる見込みだ。

また、従来のDRSは廃止され、代わってアクティブ・エアロダイナミクスが導入される。これは直線とコーナーでフロントウイングおよびリヤウイングの設定を切り替えることで、ドラッグ低減や機械的グリップの向上を図る仕組みだ。

タイヤは引き続き18インチが採用されるが、前後ともに幅が縮小される。フロントは25mm、リヤは30mm細くなり、すでにピレリによるホモロゲーションは完了している。アブダビで行われたシーズン後テストでは2025年型マシンを用いたデータ収集が行われたが、新世代マシンが本格的に走行を開始するのは、1月末のバルセロナテストからとなる。

パワーユニットも大きく様変わりする。電動出力の比率は約50%まで引き上げられ、MGU-Hは廃止。MGU-Kの出力は従来の120kWから350kWへと大幅に強化される。エンジンは引き続きV6ターボが採用されるが、燃料は持続可能な合成燃料へと切り替わり、性能面への影響はないとされている。

こうした変化により、ドライバーの役割はこれまで以上に重要性を増す。エネルギーの使用と回生のタイミング、オーバーテイクモードやブーストモードの使い分けなど、ステアリング操作以外の判断がレース結果を大きく左右する要素となる。

オーバーテイクモードは、前走車の1秒以内に接近した際に使用可能となり、追い抜きのための追加パワーを得ることができる。一方、ブーストモードは攻撃にも防御にも使用可能で、コース上のどこででも最大出力を引き出せる。さらに、ブレーキング時やストレート終端でのリフトオフによるバッテリー充電、さらにはコーナリング中の部分的なエネルギーマネジメントまで、ドライバー自身がコントロールすることになる。

2026年のF1は、マシン性能の優劣だけでなく、ドライバーの判断力とマネジメント能力が、これまで以上に問われるシーズンとなりそうだ。

【関連記事】

類似投稿