2026年F1規則改定、パワーユニットの電動化で大変革
2026年の規則改定は、F1の歴史においても大きな技術革新となることが予告されている。FIAは、パワーユニット、空力、シャシー、耐久性という4つの主要分野にわたり、抜本的な変更を導入する予定だ。これらの改革は、マシンの軽量化と機敏性の向上、そして何よりも電動化の推進とエネルギー効率の改善を目的としている。
なかでも最大の焦点となるのが、マシンの心臓部であるパワーユニットの刷新だ。先進的なハイブリッド技術と持続可能な燃料の採用を通じて、F1を次世代の自動車産業とより密接に結びつける狙いがある。
熱と電気のバランスを再定義
内燃エンジン(ICE)は引き続き1.6リッターV6ターボが使用されるものの、その出力は現在の約550kWから約400kW(約540馬力)へと引き下げられる。一方で、MGU-K(モータージェネレーターユニット・キネティック)が担う電動出力は、120kWから350kW(約475馬力)へと大幅に増加する。これにより、パワーユニット全体の出力配分は、従来の「熱80%・電気20%」から、「熱50%・電気50%」へと大きく転換されることになる。
MGU-Hの廃止
技術的な複雑さとコストの削減、そして新規エンジンメーカー(アウディや、レッドブルとフォードの提携など)の参入促進を目的に、MGU-H(モータージェネレーターユニット・ヒート)は廃止される。MGU-Hは排気エネルギーを回収し、ターボやバッテリーに電力を供給する仕組みだが、現行パワーユニットの中でも特に高度かつ高価な技術とされてきた。この廃止によってエンジン設計は大幅に簡素化され、メーカー間の性能差を抑える効果も期待されている。
100%持続可能な燃料へ
2026年からは、すべてのF1マシンが100%持続可能な合成燃料(eフューエル、または高度なバイオ燃料)を使用する。これらの燃料は化石燃料に依存せず、カーボンニュートラルを前提に設計されている。さらに、レースで使用可能な燃料量も削減され(現在の約100〜110リットルから、70〜80リットルへと引き下げられる)、各チームはこれまで以上にエネルギー効率の最適化を求められることになる。2026年以降、エネルギーマネジメントはパフォーマンスを左右する重要な要素となるだろう。
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