F2ポールポジションからF1デビューまで、ジェッダで”旋風”を巻き起こしたオリバー・ベアマンの24時間

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フェラーリでのF1デビューほどプレッシャーがかかることはないが、18歳のオリバー・ベアマンはそれを冷静に受け止めた。

2024年のシーズンを前にチームのリザーブドライバーに指名されたベアマンは、夢にも思わなかっただろうが、F1カレンダーの中でも最も過酷なコースのひとつであるジェッダで、その年の第2戦の土壇場で代役を務めることになった。

7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンのタイムに予選Q2ではかなり接近し、Q3に進出するまであとわずか0.036秒だった。そして土曜の夜には7位入賞を果たした。

わずか1時間のコース上準備で、ベアマンが半日足らずの予告でF1デビューを果たすまでの軌跡を紹介しよう。

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【水曜日:メディアデー】

17:18

フェラーリの発表によると、カルロス・サインツは体調不良のため、木曜日のフリー走行1回目と2回目に向けて休養するためにホテルに戻るとのこと。

F2パドックでは、プレマのベアマンがメディア対応を終えている。

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【木曜日:F1プラクティス&F2予選】

16:30

カルロス・サインツがパドックに戻り、通常通りフリー走行に臨む。フェラーリは彼がSF-24のステアリングを握ることを確認し、シャルル・ルクレールから0.134秒差でセッションを終えた。

18:00

開幕戦バーレーンで無得点に終わり、厳しい週末を過ごしたベアマンが調子を取り戻し、F2予選でプレマのポールポジションを獲得した。1分42秒217を記録し、自身4度目のポールポジションを獲得した。F1マシンはこの段階で約14秒速く周回していた。

20:00

フェラーリのサインツがFP2にも出走。当時、サインツ本人もチームも知らなかったが、虫垂炎と闘いながらステアリングを握っていた。FP2を7番手で終えた。

【金曜日:F1予選&F2スプリント】

11:00

サインツはまだ週末の残りのセッションに出走する意欲をみせているものの、虫垂炎の診断により、それは不可能となった。

13:00

F2スプリント決勝を前に、ベアマンはいつものようにプレマのガレージに出向いたが、事態は急展開。

F1パドックでフェラーリに報告するよう要請されたベアマンは、非公式な準備を始めるためにF2チームを離れる。サインツのグランプリウィークエンドの離脱については、公式発表がないままだ。

14:19

フェラーリの発表によると、カルロス・サインツは虫垂炎のため手術が必要とのこと。チームのリザーブドライバーであるベアマンが代役を務める。

プレマは、F2のスプリントレースとフィーチャーレースにベアマンの代役を立てないことを明らかにした。

カルロス・サインツの代役を務めたオリバー・ベアマン:フェラーリ公式サイトより引用

15:00

ベアマンはプレマレッドからフェラーリレッドに履き替え、FP3でマシンに乗り込むまでの数時間の間集中した。サインツのレースエンジニア、リカルド・アダミはガレージで彼と一緒にフェラーリの複雑なステアリングホイールの使い方を説明し、メカニックたちはFP3に向けてマシンに多くの手を加えている。

ゼッケン55のステッカーが剥がされ、代わりに38のステッカーが貼られる。18歳のベアマンに合わせてシートベルトやヘッドレストも変更された。

ベアマンは、FIAのジャンプアウトテストを完了し、レギュレーションを満たした後、サーキットに乗り込むことが許可される。

カーナンバー38のステッカーが貼られるマシン:フェラーリ公式サイトより引用

16:30

FP3がスタートし、ベアマンがフェラーリで初めてサーキットに乗り込んだ。ジェッダ・コーニッシュ・サーキットの高速コーナーで予選の準備をする時間はわずか1時間。

タイヤの準備ラップはF2のポールタイムより10秒近く速い。セッション中にピットストップの練習を行い、その後の予選に向けての走行を行う。しかし、ヘッドレストの変更を要求するなど、まだ調整が残っている。

ハミルトンの後方、チームメイトのシャルル・ルクレールからコンマ7秒差の総合10番手でセッションを終えた。

18:05

フェラーリの発表によると、サインツは手術に成功し、病院で休んでいるとのこと。

ベアマンは予選に向けたチームとのミーティングを終えている。

20:00

コース上での準備時間は1時間にも満たず、セッションの合間にできるだけ多くの情報を吸収したベアマンは、F1予選デビューに臨んだ。

父親のデビッド・ベアマンがガレージで見守る中、何度かバリアにかなり接近するハプニングもあったが、ベアマンはF2のポールタイムを13.575秒上回る1分28秒642を記録して11番グリッドを獲得。

Q3進出まであと0.036秒と迫り、ハミルトンのタイムにかなり接近した。

チームメイトのルクレールも同じように感心しており、これほど早くスピードに乗り、競争力のある走りを見せたベアマンは”信じられないような仕事”をしたと語った。

21:30

ベアマンが予選を振り返り、メディアに対応した。ベアマンはセッションを “混戦”だったとしながらも、フェラーリの輝かしい歴史の中で最年少のドライバーとなり、予選の最終パートまであと一歩のところまで迫った。

その後、チーム代表のフレデリック・バスールは、ルーキーが急な招集にうまく対応し、素晴らしいパフォーマンスを見せたとベアマンを称賛。さらに、ベアマンは土曜日のレースに向けて一晩中ステアリングの機能を学んでいると付け加えた。

ベアマンはレースで7位入賞を果たし、フェラーリのチーム代表はF2での準備の成果が表れたと語った。ベアマンはマシンに乗り込んで期待される最高のパフォーマンスを発揮し、F1デビュー戦で見事な形でポイントを獲得した。

輝かしいF1デビューを果たしたオリバー・ベアマン:フェラーリ公式サイトより引用

「F2はF1に次いで世界で最も競争力のあるシリーズであり、ドライバーにとってはF1へのステップアップのための準備となる。」とバスールはコメントした。

「チームとドライバーは非常に密接にマッチングし、F1で非常に重要なタイヤマネジメントについても多くを学ぶ。F2のレースがグランプリと同じコースで行われることも、ドライバーにとっては大きな助けになる。」

ベアマン自身、F2での準備に感謝しており、F2で獲得したポールポジションは金曜と土曜の夜、ジェッダでフェラーリを駆って見せた印象的なペースの証拠だった。

「同じ週末だけでなく、全般的にF2に参戦していたことは、F1への適応に本当に役立った。F2はF1に次ぐものだし、両方の選手権で通用するテクニックがたくさんある。」とベアマンは語った。

「木曜日にF2でポールポジションを獲ったので、コースのフィーリングはつかんでいたし、F1でもすぐにスピードに乗ることができた。」

「僕がいかに早くこのチャレンジに適応できたかは、F2とF2のみんなのおかげだ。あの週末にF2に参戦していたことが、その点でとても役に立った。」

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