スージー・ヴォルフ、利益相反の疑いでFIAを刑事告訴
スージー・ヴォルフが、モータースポーツ統括団体であるFIA(国際モータースポーツ連盟)に対して法的措置を取った。
ヴォルフは女性ドライバーを目指すF1アカデミーのディレクターであり、メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフの妻でもある。
ヴォルフは「昨年12月のFIAによる私に関する発言に関して、フランスの裁判所に刑事告訴を行った」と述べた。
「この件に関するFIAとその関係者の行動については、いまだに透明性も説明責任も果たされていない。」
「私はこれまで以上に、立ち上がり、不適切な行動を訴え、責任を取らせることが重要だと感じている。沈黙すれば責任を免れると考える人もいるかもしれないが、そうではない。」
ヴォルフによると、彼女は3月4日にフランスで訴訟を起こしたという。
どういうことなのか?
ヴォルフの訴訟は、夫との関係がF1における利害の対立につながるとライバルたちが考えているという雑誌の主張に対してFIAが行った調査に端を発している。
コンプライアンス部門がこの問題を調査していると発表した2日後、FIAはF1がこのような問題から身を守るための措置を講じていることに「満足した」と述べ、調査を打ち切った。
FIAのモハメド・ビン・スライエム会長の判断を疑問視するF1幹部が続出する異常な事態の末の調査撤回だった。
FIAが”FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の関係者からF1チーム代表に機密性のある情報が渡ったという申し立て”をコンプライアンス部門に照会したと発表する前に、メルセデス、ヴォルフ夫妻、F1のいずれにも連絡はなかった。
この声明は、『Business F1』誌に掲載された記事を受けたもので、多くのチーム代表がヴォルフ家を通じてメルセデスとF1の間で機密情報が行き交う可能性についてFIAに懸念を示したという。
スージー・ヴォルフは女性ドライバーを目指すF1のジュニアカテゴリーの責任者として、ステファノ・ドメニカリF1会長に直属する。
FIAがコンプライアンス調査を開始するという決定を下したことで、F1とメルセデスは告発を否定し、FIAの対応に不満を露わにする強固な声明を発表した。
スージー・ヴォルフは「深い侮辱を受けたが、悲しいことに驚きはない」と述べ、ソーシャルメディアへの投稿で疑惑を「脅迫的で女性差別的」と表現した。
翌日、他の9つのF1チームすべてが、FIAにヴォルフ夫妻の関係について苦情を申し立てず、「F1アカデミーとそのマネジングディレクターをサポートできることを喜ばしく、誇りに思う」と明らかにする、同じ文言の声明を発表した。
F1チームの声明は、記事とFIAの調査の根拠を覆すものだった。
一貫性への懸念
ヴォルフの件でのFIAの行動は、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが女性従業員へ不適切な行為を行ったという疑惑をめぐる論争での行動とは対照的だ。
ホーナーは常にその主張を否定している。レッドブルは内部調査の結果、この申し立てを却下し、その後、申し立てを行った従業員を停職処分にした。
トト・ヴォルフとスージー・ヴォルフに関する主張を知ったFIAは、「疑惑を中心としたメディアの憶測を承知している」との声明を発表した。
これとは対照的に、ホーナーに関しては、2件の内部告発とレッドブルの女性従業員による公式な苦情があったにもかかわらず、FIAは彼の行動を調査しているかどうかについて明言を避けている。
FIAは先週の声明で次のように述べている。「問い合わせや苦情は、コンプライアンスオフィサーと、必要に応じて倫理委員会が受理し、管理する。両機関は自律的に運営されており、プロセス全体を通じて厳格な守秘義務が保証されている。」
「その結果、一般論として、特定の苦情の受領を確認することはできず、いかなる当事者から受けた苦情についても、これ以上のコメントを提供することはできないだろう。」
一方、バーレーンGPの週末、ビン・スラエムはレッドブルのマックス・フェルスタッペンに接触し、ホーナーを支持する声明を出すべきだと述べた。
これに対し、フェルスタッペンに近い情報筋が語ったところによると、ビン・スライエムはこの件に関して独自の調査を開始すべきだと話したという。
フェルスタッペンが記者会見で、ホーナーがレッドブルのチームオーナーとして全幅の信頼を寄せているかどうかという質問に対し、あいまいな答えをしたため、ビン・スライエムはこの行動に出た。
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