現地記者が見た2026年F1中国GP─“対メルセデス”勢力図、4強と各チームの現状
2026年中国GPでも、メルセデスは好調なスタートを維持した。スプリント予選ではジョージ・ラッセルが再びペースをリードし、メルボルンで見えた競争力の傾向が改めて確認される形となった。
ラッセルは週末唯一のフリー走行でトップタイムを記録した後、スプリント予選でも先頭に立った。これにより、メルセデスが現時点で新しいF1技術規定のもと最も完成度の高いパッケージを持っているという印象をさらに強めた。
フリー走行でラッセルがマークしたベストタイムは1分32秒741。チームメイトのキミ・アントネッリをわずかに上回り、マクラーレンのランド・ノリスが0.5秒以上遅れて3番手に続いた。
フェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンがトップ6を完成させたが、イタリアのチームはすでにストレートスピードに苦しむ様子を見せていた。

上海インターナショナル・サーキットでのこの練習走行は、スプリント週末の勢力図を早くも浮き彫りにした。メルセデスは序盤からリードし、ラッセルとアントネッリはセッションを通じてタイミングスクリーンの上位を占め続けた。
セッション中にはいくつかの中断もあった。ハミルトンとアルピーヌのフランコ・コラピントがスピン。レーシングブルズのルーキー、アービッド・リンドブラッドもコース上で停止し、バーチャルセーフティカーが導入される場面もあった。
しかし、これらはいずれもメルセデスのリズムを乱すものではなかった。2台のシルバーカーは終始安定した走りを見せ、新しい2026年パワーユニット規定のもとで、メルセデスが最もバランスの取れたパッケージを持つという今季序盤の印象を裏付けた。
一方、レッドブルはそのペースに対応できず、マックス・フェルスタッペンは練習走行でラッセルから1.734秒差の8番手にとどまり、アルピーヌのピエール・ガスリーにも後れを取った。

チーム代表会見で、レッドブルのローラン・メキース代表はチームが直面している課題の大きさを率直に認めた。
「フェラーリとメルセデスとのギャップは大きい。おそらくストレートとコーナーで半々だ。ひとつの問題だけではなく、360度全方位での改善が必要だ」
また、開幕戦メルボルンは新規定に適応しようとするチームにとって急勾配の学習の場だったとも語った。
「レース中、エネルギー管理について全員が学んでいた」
彼はそう述べ、レース週末全体にわたるエネルギーマネジメントの難しさを強調した。厳しい状況の中でも、メキース氏は必要であればF1が調整に前向きになる可能性を示唆した。
「もし調整が必要なら、スポーツの利益のためにグリッド全体で対応しようという意欲があると思う」
アウディのジョナサン・ウィートリー代表は、メルセデスのアドバンテージの背景として、データ量の差を挙げた。
「メルセデスは自社パワーユニットを搭載した8台のマシンを走らせている。われわれは2台だけだ。彼らははるかに速いペースで学習している」

この傾向はスプリント予選でも改めて確認された。ラッセルがセッションをリードし、アントネッリに約0.3秒差をつけてフィニッシュ。ノリスがメルセデス勢に続きトップ3入りを果たした。
ラッセルは、メルボルンの開幕戦と比べて上海ではマシンがはるかに扱いやすいと語った。
「今日は一日を通してマシンが非常に好調だった。エンジンもメルボルンの時よりずっと普通に機能している。あの時は大きなデレートが発生していた」
さらに、「メルボルン以来、スタートの改善にも取り組んできた」と明かした。
一方、ノリスはオーストラリアの静かな開幕戦を経て落ち着きを取り戻した様子だった。
「結果には満足している。今の状況でP3は最善の結果だ。両フェラーリを抑えられたことにはかなり満足している」

フェラーリはコーナリングでは競争力を示したが、上海の長いストレートでは再び苦戦した。練習走行中にスピンを喫したハミルトンは、予選後に状況を率直に語った。
「セッションにはとても満足している。フリー走行ではスピンもあって難しかった。コーナーではマシンの感触は素晴らしいが、ストレートで多くの時間を失っている。パワー面にはまだ改善すべき課題が多い」
このパフォーマンス差は、フェラーリがレース距離全体でメルセデスに対抗するにはさらなる開発が必要であることを示している。

この日の最大の驚きはレッドブルの苦戦だった。メルボルンではアイザック・ハジャーが予選3番手を獲得したが、上海ではレッドブルの両ドライバーがトップ争いから大きく後退した。
フェルスタッペンはオーストラリアGP予選でのクラッシュとは異なり今回は完走したものの、依然としてフロントローからは遠く離れた位置だった。
「今日は一日ペース面で散々だった。グリップがなく、バランスも取れない。コーナーで膨大な時間を失っていて、それが別の問題も引き起こしている」とフェルスタッペンは語った。

下位グループでは、アストンマーティンとキャデラックがそれぞれ異なる事情を抱えながらも、ミッドフィールドのペースに対応できず苦戦していた。
しかし、フェルナンド・アロンソはチームの苦境の中でも落ち着いた姿勢を保った。
「できる限りのことはやった。それでもまだ他のチームから遠く離れている。明日は改善を図り、できる限り多くのラップを重ねて、このパッケージへの理解を深めていきたい」
チームメイトのランス・ストロールはより率直だった。
「重要なデータを集められたのはポジティブだが、メルボルンと同じ問題にまだ悩まされている。最終的にP19やP20を争う状況にはしたくない。取り組むべきことは多い」

上海のメディアセンターの雰囲気は依然として慎重だった。今週末はフェラーリがメルセデスに対抗できるのではないかという見方もあったが、練習走行とスプリント予選でシルバーアローの2台が示した支配的なパフォーマンスにより、その期待は早くも薄れつつある。
シーズン序盤とはいえ、メルセデスのペース優位はライバルチームの間に懸念を生んでおり、チャンピオンシップ争いが一方的になるのではないかと危惧する声も少なくない。
現時点での上海の勢力図は明確だ。メルセデスがトップ。フェラーリは差を詰めつつあるもののストレートスピードで劣り、マクラーレンは心強い改善を見せ、レッドブルは予想外の低迷に苦しんでいる。
スプリントレース序盤では、フェラーリの強いスタートがレース展開に変化を生む可能性もある。しかし、その後は実力通りの順位に落ち着く可能性が高い。
今週末の残りの日程で、誰かがメルセデスに挑戦できるのか。それが、2026年中国GP週末最大の焦点であることに変わりはない。
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