【オーストリアGP予選】バスール代表、ラッセルの“疑惑のポール”への抗議見送りを明言。物議を醸す「シングルイエロー」の盲点とは
F1第8戦オーストリアGPの予選Q3最終盤、マックス・フェルスタッペンの激しいクラッシュの最中にジョージ・ラッセルが叩き出したポールポジションタイム。この結果に対し、フロントローの権利を一度は手にしかけたフェラーリがどのような政治的決断を下すのか、土曜夜のパドックは緊迫した空気に包まれていた。
しかし、フェラーリの指揮官フレデリック・バスールは、メディアの取材に対し、メルセデスの結果に対して正式な異議申し立てを行わない方針をきっぱりと宣言した。
「5%減速したかどうかのデータがない」バスール代表が語る抗議断念のリアル
フェルスタッペンのクラッシュは、後にメディカルカーが出動するほど激しいものだった。それにもかかわらず、ラッセルが現場を通過した瞬間に提示されていたのは「ダブルイエロー」ではなく、まだ「シングルイエロー」だったという事実が、今回の裁定の決定打となった。
バスール代表は、現在のF1が抱えるシステムへの疑問を投げかけつつも、冷静に現状を分析している。
「これについては、いくらでも議論の余地があるだろう。メディカルカーがすぐに出動しなければならないほど激しいクラッシュが起きたとき、現場にダブルイエローが提示されないのが果たして安全上妥当なのか、という点についてね。
しかし、我々チーム側には、ラッセルの詳細な『各セクションの細分化データ』のテレメトリーデータがあるわけではない。彼がルール通りにスピードを5%落としていたのかどうかを、我々の側で物理的に検証することは不可能なんだ。
だからこそ、我々はレースコントロールの下した最終ジャッジを信頼しなければならないし、実際にそうする。抗議をするつもりはないよ」
「メルセデスは減速しても僕たちより速い」ジョークの中に滲む危機感
シャルル・ルクレールが2番手、ルイス・ハミルトンが3番手に入り、フェラーリが2-3体制を築いたことについて、バスール代表は「全く失望していないし、ポジティブな要素を持ち帰るつもりだ」と笑顔を見せた。しかし同時に、純粋なマシンの戦闘力では未だメルセデスに一日の長があることを認めている。
「予選でこれほどメルセデスと肉薄した戦いができたのは素晴らしいことだし、決勝レースでも良いペースを維持できると確信している。今季はまだ残り15戦もあるんだ。ここで純粋なパフォーマンスを発揮できていることこそが最も重要だよ。
ただ、これだけは言っておかなければね。メルセデスは今、たとえ黄旗でアクセルを緩めて減速したとしても、僕たちよりまだ速いんだから!(笑)」
「焦っていたのはメディアだけ」ルクレールの復活を確信していた指揮官の眼差し
前戦バルセロナでの苦戦や予選でのミスから、一部メディアの間で「ルクレールはスランプに陥っているのではないか」との懸念が囁かれていたが、バスール代表はその懐疑論を一笑に付した。
「騒いでいたのはジャーナリストの皆さんだけさ。私自身は、シャルルのスピードに関して最初から1ミリの疑念も持っていなかったよ。
クラッシュする前、モナコでの彼のアタックはポールポジションを争えるだけの素晴らしいものだったし、バルセロナでも彼のスピード自体は本物だった。ミスが続けばドライバーにプレッシャーがかかるのは当然のことで、彼が今回こうしてクリーンで見事なラップをまとめて履き替えてみせたのは、彼自身にとっても本当に良いカンフル剤になったはずだ。だけど、彼の本来のポテンシャルはずっとそこにあったんだよ」
抗議という泥沼の法廷闘争ではなく、コース上での真っ向勝負を選んだフェラーリ。酷暑の決勝では、2番手ルクレールと3番手ハミルトンがグリッドのアドバンテージを活かし、ポールシッターのラッセルを挟み撃ちにする戦略が期待されます。
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