【オーストリアGP】ハミルトン、26秒差の5位に落胆。フェラーリのストレートスピード不足に危機感「次戦も楽観視できない」
バルセロナでの歓喜の美酒から一転、レッドブル・リンクで行われたオーストリアGPの酷暑はルイス・ハミルトンには期待はずれな結果となった。
予選3番手、すぐ前の2番手にはチームメイトのシャルル・ルクレール。フェラーリの強力な2-3体制を活かし、ポールシッターのジョージ・ラッセルを挟み撃ちにする戦略を描いていたハミルトンだったが、71周の現実はあまりにも過酷だった。
かつての古巣であるメルセデスの背中を捉えるどころか、チェッカー時にはラッセルから26秒以上もの大差をつけられての5位フィニッシュ。レース後、ハミルトンは疲れ切り、落胆の色を隠せない様子でフェラーリの現状を語った。
「序盤はラッセルに手応えを感じたが」襲いかかったリヤの崩壊
ハミルトンは、スタートの躓きから一時的に見せた好転、そしてその後に訪れたマシンの急激なバランス崩壊のプロセスをこう振り返った。
「正直に言って、今日のスタートは良くなかった。蹴り出しが鈍く、うまく加速させることができなかったんだ。
でも、その後のリカバリーは悪くなかった。すぐに攻撃に転じてシャルル(ルクレール)をオーバーテイクできたし、最初のうちはジョージ(ラッセル)のペースにしっかりとついていくことができたから、『今日のレースはそれほど悪くないぞ』と思っていたんだ。
だけど、それも長くは持たなかった。どういうわけか、ある瞬間からリヤタイヤが急激にタレ始めてしまったんだ。そこからはマシンのバランスを取るのが極めて難しくなってしまった。今日の車は、ハード、ミディアム、どのコンパウンドのタイヤを履いても、まともに機能してくれるウインドウがどこにも存在しなかった。本当に、本当にタフなレースだったよ。路面温度も極めて高かったからね」
ストレートだけで「0.6秒の絶望的なビハインド」
ハミルトンが真に危機感を募らせているのは、タイヤのデグラデーションだけではない。データに現れた、ライバル陣営との「純粋な最高速」の差だ。
「金曜日の時点で、僕たちはストレート区間だけでライバルたちに対して約0.6秒ものタイムを失っていた。今日の決勝でそのギャップがどうだったのか、これから詳細なデータを確認しなければならないけれど、僕たちの直線でのスピード不足(が極めて深刻だったことは疑いようがない。
単純に、周りのドライバーたちのマシンのグリップレベルに、僕たちは全く太刀打ちできていなかったんだ」
その一方で、ハミルトンはチームの献身的な働きに対する感謝と誇りも忘れていない。
「それでも、この厳しい状況のなかで5位分のポイントをきっちり持ち帰れたことには意味がある。チームのピット戦略は素晴らしかったし、メカニックたちのピットストップも完璧だった。ガレージのクルーたちがどれほどハードに働いてくれたかを知っているからこそ、彼らを本当に誇りに思うよ」
「次期パワーユニットの導入には、まだ長い時間がかかる」
次戦はハミルトンにとっての文字通りの聖地、シルバーストンでのイギリスGPが控えている。しかし、ファンの期待を背負う母国レースを前に、7冠王者はチームの今後の開発計画について、極めて冷静、かつ慎重な見通しを明かした。
「僕たちが本来あるべき位置に戻るためには、次の『パワーアップグレード』を何としても成功させなければならないし、ファクトリーも全力でアクセルを踏んでいる。
だけど、こればかりはみんなに『忍耐』が必要だと忠告しておかなければならない。そのアップデートが実際にマシンに投入されるまでには、まだかなりの時間がかかる見込みなんだ。次戦のシルバーストンで、このオーストリアよりはマシンがうまく機能してくれることを願っているけれどね」
前戦の勝者であり、今週末もフェラーリの戦略のキーマンとなるはずだったハミルトン。しかし、バスール代表が認めた「メルセデスへの過剰な意識」と、ハミルトンが指摘する「ストレートでの0.6秒の赤字」は、フェラーリが抱えるメルセデス追撃への課題が想像以上に根深いものであることを示している。
次戦シルバーストンは、フェルスタッペンが「1周すらバッテリーが持たない」と予言する超高速のエネルギー・マネジメントバトル。ストレートスピードにアキレス腱を抱えるフェラーリが、ハミルトンの母国でどのような防衛策を敷いてくるのか、緊迫の一戦となりそうだ。
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