ミック・シューマッハ「まだF1でチャンスを得る資格があることを証明しなければならない」F1グリッド復帰への計画を語る

Mick Schumacher in Monaco

2023年シーズンは、ミック・シューマッハにとって、子供の頃にカートを始めて以来、他の選手のレースを傍から見守ることになった初めての年となった。ハースに2年間在籍し、そこでのシートを失った後、彼はメルセデスに移行し、テストドライバーとして採用された。今、彼は自分が再びF1のグリッドに戻るために必要なものを持っているのだと証明するチャンスを望んでいる。

ブラジルにて、パドックの外側のカーニバルのような雰囲気と静寂とが混ざりあう中、非常に洗練されたメルセデスのモーターホームの中でも最も静かなコーナーに我々が座ったとき、シューマッハは自分の一年を振り返ることから始めた。たとえF1でなかったとしても、来年にドライバーとしてのポジションを獲得できたこの1年を。

「明らかに非常に長いシーズンだが、もう終わりに近づいていると思う。」と彼は言う。「しかし、新しい役割は僕がここ数年、特に過去2年間に経験した役割とは大きく異なっている。」

「必要なときにいつでも準備ができているように、ここ数年に比べて自分の視野を広げるため、チームに溶け込んでできるだけ多くのことを学ぼうとしているんだ。」

「すべてが遅れて起こった」

ミック・シューマッハ, コリーナ・シューマッハ
コリーナ・シューマッハ

では、シューマッハはどのようにして現在の場所にたどり着いたのだろうか。彼はF3とF2の両方のチャンピオンシップで優勝し、2021年にはハースでF1に参戦して、ルーキーとして多くの人に感動を与えた、素晴らしいレース家系を持つドライバーだ。

しかし、2年目のシーズンでは、チームメイトでありベテランのケビン・マグヌッセンと比較して苦戦した。チーム内の直接対決ではシューマッハの12点に対し、マグヌッセンは25点を獲得し、予選では16対6でシューマッハを上回ったが、決勝レースはシューマッハが12対9でリードして優位に立っていた。

この調子の落ち込みと、モナコや日本などでのいくつかの大きな、そして高額なクラッシュにより、多くの人がチーム内での彼の立場について推測するようになった。このような噂話は、アブダビでのシーズン最終戦でハースが経験豊富なニコ・ヒュルケンベルグが後任となることを認めるまで、一年中続いた。

「明らかに、すべてはかなり遅れて起こったんだ。」と彼は言った。「最後の週末が始まる前日に、2023年にグリッドに自分は並ばない予定だと言われた。だから、他の場所を探しに行くには少し遅くて、状況は明らかに良くなかった。」

「しかし、その年の初めにメルセデスが僕らに与えてくれた、何も空きがなければここにスペースを確保するという選択肢をとった。こうして僕は今ここにいるんだ。」

「メルセデスとは常に近い関係を保ってきた」

ミック・シューマッハ, トト・ヴォルフ
トト・ヴォルフ

シューマッハは、メルセデスが2022年シーズンの数戦を残した段階で、リザーブドライバーとしての頼みの綱を残したことを明かした。彼は当初、ハースでドライバーのポジションを維持する望みが残っていたことから、オファーを受けるか迷っていた。

しかし、2023年のグリッドが決定すると、彼の父であるミハエルがF1デビュー前の1990年代にジュニアプログラムに参加し、2010年のF1復帰後に在籍するなど家族ぐるみの関係だったメルセデスに加わった。

天井を見上げ、左右を振り返りながら、シューマッハはその記憶を思い出そうと必死になっていた。「ブラックレーに行ったのは2010年だったかな。本当に覚えているのは2014年だけど、そのときはシミュレーターセッションのためだった。」

「今そこに戻るのは、ある意味とても興味深い。メルセデスのような大きなチームがF1でどのように活動しているのか見ることができるのは、とても特別なことだ。」

「それと同時に、1年間一緒に働いたことで、すべての手順がどのように機能しているのかを理解できたことはとても興味深く、新鮮だった。」

「誰もが同じ不安を抱えている」

彼の新たな役割は、7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンと、F2チャンピオンで2022年サンパウロGPの勝者として高く評価されているジョージ・ラッセルのバックアップドライバーを務めることだ。

ミックはかなりの時間を2人とそのエンジニアのためにセットアップの方向性を確認するシミュレーターのために使っており、2022年にハースでこの世代のマシンをドライブした経験は、彼にとってかけがえのない財産となっている。

5月にバルセロナでW14を150周走らせて学んだことに加え、その知識を生かして、彼はしばしばミーティングに同席し、可能な限り有益なコメントを付け加えようとしており、レギュラードライバーのどちらかの代わりにレースに出なければならない瞬間のための準備もしている。

ハミルトンやラッセルと働いた1年間から何を得たかについて、24歳の彼はユニークな見解を示した。「これは自分ではわかっていても、それほど深くは考えてこなかったことであり、時として人が忘れがちなことだが、誰もが人間であり、誰もが同じような不安を抱えているということだ。」

「それが僕にとって最大の学びだった。自分で運転しているときの疑問のいくつかは、当時は答えがわからなかったが、ここで答えが出た。特にレース中は、誰もがいろいろなことを経験するものだし、それを経験できたのは大きかった。」

「でも、彼らがなぜあれほどまでに優れているのか、その理由は彼らのアプローチにあることは明らかだ。長い間チームと一緒にいるルイスがチームとつながっているのを見るのは素晴らしいことだし、彼らは言葉を使わずに意思疎通することができ、お互いを理解することができて、すごく特別なことだと思う。」

「何かがうまくいかず、理解しがたいこともある」

ミック・シューマッハ, ジャック・ドゥーハン
ジャック・ドゥーハン 

ハミルトンやラッセルはもちろん、メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフもシューマッハの活躍を高く評価している。チームやF1パドックの他のメンバーでさえも彼を称賛しており、本人はそれに感謝しながらも、それがシート獲得につながればと願っている。

「みんながそれを認めてくれるのは素晴らしいことだよ」と彼は微笑む。「でも残念ながら、僕はまだレギュラードライバーではなく、リザーブドライバーとしてここにいる。だから、まだ何かが間違っているのは明らかだ。」

シューマッハは、自分がグリッドに座るだけの実力があると信じて疑わない。その自信の理由として、ジュニア時代にチャンピオンシップを制したことを挙げている。

2022年のシルバーストーンとオーストリアでの連続ポイント獲得など、ハースでのシーズンを振り返ってみても、彼の主張を裏付けるようないい場面もいくつかあるが、彼がグリッドに戻るには彼の能力を証明しなければならない。「でも、グリッドに戻るためには他の人に自分がドライバーとして資格があることを示さないといけない。」と彼は付け加えた。

彼の目標は2025年で、彼が周りに証明するために後一年が残されている。彼はこう説明した。「残念ながら、多くの契約は複数年契約だから、来年は本当に空きがないんだ。でも、2025年にはもっと多くの空きがあるはずだから、それを見てみないとね。」

「F1とは密接な関係を保ちたい」

しかし、2025年の前に注目されるのは、シューマッハがメルセデスのリザーブドライバーを務める2024年だ。また、F1から離れ、アルピーヌから世界耐久選手権に参戦する予定だ。

この発表に先立ち、シューマッハは次のように語っている。「僕にとって重要なのは、あまり長くクルマの外にいないことだと思う。だから、来年レースができる場所を探そうとしているんだ。残念ながらF1ではないけれど、いい感じだと思う。」

「それでも僕はF1と密接な関係を保ちたいと思っていて、それがF1界の人々に僕がモータースポーツ界の頂点の場に挑戦するチャンスを得るに値すると証明する事につながればいいと思っている。」

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