【F1スプリント】ビギナーズガイド

F1スプリントのビギナーズガイドでは、F1週末に追加されるこのエキサイティングなイベントの仕組み、発展、そして週末全体にとっての意味について解説する。

2024年シーズンの大半は伝統的なグランプリウィークエンドで構成されるが、そのうちの6つ(全24イベントの4分の1)はF1スプリントイベントに指定されている。

F1スプリントとは?

スプリントは短いレースだ。走行距離は100kmで、一般的なグランプリの3分の1に相当する。この長さは、戦略的というよりもダイナミックなレースを促すために選ばれている。グランプリとは異なり、強制的なピットストップはない。ピットストップは禁止されていないが、タイヤ交換が効果的に行われるにはレースが短すぎる。

スプリントの開催地に選ばれるのは、オーバーテイクのポテンシャルが高いコースばかりだ。ポイントは8ポイントから1ポイントまで用意され、完走した最初の8台に与えられる。

F1スプリントの仕組み

スプリントウィークエンドは伝統的なグランプリウィークエンドとは異なるが、グランプリをメインイベントとする3日間のイベントであることに変わりはない。

F1の週末は通常、金曜、土曜、日曜の3日間にわたって開催される。この3日間で、F1マシンは5つのセッションに登場する。標準的な週末では、3回のフリー走行(FP1、FP2、FP3)がそれぞれ1時間ずつ行われ、さらに予選(グランプリのグリッドを決める)が1時間、そしてグランプリ本番となる。

スプリントの週末はプラクティスセッションのうち2セッションが削除され、スプリントと入れ替わる。まず、スプリント予選セッションはスプリントのグリッドを決めるもので、金曜日の午後に行われるFP2を置き換える。スプリント自体は土曜日のFP3の代わりに行われ、午後には通常通りグランプリの予選が行われる。

フリー走行が限られているため、最初に正しいセットアップを行うことが鍵となる。スプリントウィークエンドには下記のようにポイントが用意されているため、さらに激しいバトルとなる。

順位ポイント
1位8
2位7
3位6
4位5
5位4
6位3
7位2
8位1
F1スプリントで与えられるチャンピオンシップポイント

F1スプリント予選とは?

スプリント予選は金曜日の午後に行われる。SQ1、SQ2、SQ3の3つのステージに分かれ、それぞれわずか12分、10分、8分のセッションで、予選と同様の形式で行われる。

SQ1では最もタイムの遅い5人のドライバーが脱落し、SQ2ではさらに5人が脱落する。

残った10人のドライバーがSQ3に臨み、トップ10グリッドを決定する。

F1スプリントはいくつある?

2024年にF1スプリントが開催されるのは6会場。中国とマイアミはスプリント初開催となり、オースティンとカタールは2度目のスプリント開催となる。オーストリア(3回目の開催)とブラジル(4回目の開催)が2024年のF1スプリントを締めくくる。

日付イベント会場
4月19日-21日中国上海
5月3日-5日マイアミマイアミ
6月28日-30日オーストリアシュピールベルク
10月18日-20日アメリカオースティン
11月1日-3日ブラジルサンパウロ
11月29日-12月1日カタールルサイル
2024年F1スプリントカレンダー

なぜF1スプリントが導入されたのか?

端的に言えば、スプリントウィークエンドはよりお得なのだ。多くの観客はプラクティスセッションでマシンを眺めることを楽しんでいるが、誰もが楽しい時間を過ごせるわけではない。スプリント・フォーマットでは、毎日、ポイントやグリッドポジションがかかった有意義なアクションが保証される。

サーキットに足を運ぶファンにとっては、各日ともF1マシンの全開走行を見ることができ、ホームで観戦するファンにとっては、より多くのレースを楽しむことができる。

なぜ全レースでF1スプリントを開催しないのか?

F1の大きな特長の1つは、各グランプリが特徴的であることだ。あるサーキットはスプリント形式には不向きであり、またあるサーキットはマシンダメージの可能性が高く、チームが過度に慎重になってしまう。

また、スプリントはまだ歴史が浅く、発展途上のコンセプトである。

スプリントはグランプリに影響するか?

しないとも言えるし、するとも言える。スプリントは独立したイベントとして設計されている。金曜日の午後に行われるスプリント予選が土曜日の午前中に行われるスプリントのグリッドを形成し、いくつかの例外を除いてスプリントの結果がグランプリに影響することはない。

ひとつはグリッドペナルティだ。他のF1レースと同様、スプリントでペナルティを受けたドライバーは、そのペナルティを次のレース(通常は翌日のグランプリ)で消化することになる。

もう1つはクラッシュダメージだ。スプリントでのクラッシュが深刻で、チームがシャシーを交換する必要がある場合、ドライバーは自動的にグリッドを失い、ピットレーンからグランプリをスタートしなければならない。昨年のカタールGPでセルジオ・ペレスがこうなっている。

フリー走行の制約

グランプリに大きな影響を与えるのはスプリントではなく、むしろフリー走行が制限されていることだ。これはチームとその運営に大きな影響を与える。通常180分あるサーキットでの練習時間が60分しかないからというだけではない。

通常のレースウィークエンドでは、最初のプラクティスセッションが終わってから予選と決勝のセットアップを確定するまでに26時間ある。リザーブドライバーはシミュレーターで、サーキットから戻ってくるテレメトリーに基づいてさまざまなセットアップオプションを試す。

さらに金曜日には、データを最大限に活用するためのセンサーやカメラが追加される。これらのセンサーやカメラは、おそらく4~5キロの重量増となるため、金曜日の夕方には取り外され、土曜日のレースに向けてマシンは戦闘重量まで落とされる。

スプリントの週末には、こうしたことは不可能だ。マシンは1回のプラクティスセッションで、チームが推測できる限りレース仕様に近い状態で走り出す。これは、コースサイドでの巧みで効果的な作戦が報われる一方で、最善の推測が外れた場合は週末の残り時間にわたってチームにダメージを与える作戦方法だ。このことがスプリント・ウィークエンドを劇的に予測不可能なものにしている。

F1スプリントはどう変わったのか?

スプリントウィークエンドはF1に比較的最近追加されたものだ。2021年のカレンダーには3つのスプリントイベントが含まれており、最初のイベントはシルバーストンで開催されたイギリスGPの週末として行われた。その後、モンツァとインテルラゴスでスプリントが開催された。そして2023年にはアゼルバイジャン、オーストリア、ベルギー、カタール、アメリカGP、ブラジルの6大会に拡大された。

スプリントがグランプリのグリッドを決定し、1~3位までに与えられるポイント数はわずかなものだった。2023年、スプリントはより多くのポイントを獲得できるように変更された。スプリントの週末フォーマットは2024年に微調整され、予選(以前はシュートアウトと呼ばれていた)は土曜日の午前中に行われるスプリント本番に先駆けて金曜日の午後に移された。

マックス・フェルスタッペンはF1で傑出したスプリンターで、これまで12戦中7勝を挙げている。バルテリ・ボッタスは2勝を挙げており、ジョージ・ラッセル、セルジオ・ペレス、オスカー・ピアストリもスプリントで優勝している。

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