【オーストリアGP】ウォルフ代表、レッドブルの終盤の破壊力に戦慄「これほど迫られるとは」
2026年シーズン第8戦オーストリアGPの決勝レースは、予選での「黄旗裁定」を巡るパドックの緊張感をそのまま引きずったかのような、緊迫の71周となった。
レース前は、ポールポジションのジョージ・ラッセルの真後ろ、2番手・3番手に陣取ったシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンのフェラーリ勢が最大の脅威になると見られていた。しかし、いざレースの火蓋が切って落とされると、メルセデスに最も重いプレッシャーをかけたのは、別のチームだった。
土曜の夜にシャシーを完全換装し、5番手グリッドから決死の覚悟でスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンである。
レースはラッセルが終始安定したリードを保ち、4番手スタートのキミ・アントネッリ(19歳)も抜群のレースインテリジェンスで順位を上げる展開となったが、最終スティントでドラマが待っていた。ニュータイヤに履き替えたフェルスタッペンが異次元のファステスト連発でラッセルを猛追。最終的にラッセルが1.611秒差で逃げ切って今季2勝目をあげたものの、メルセデスのガレージは最後まで生きた心地がしなかった。
ヴォルフ代表「マックスの追い上げは非常に強力で、本当に焦った」
レース終了後、歓喜に沸くパドックでメディアの取材に応じたメルセデスのトト・ヴォルフ代表は、背後から迫り上ってきたフェルスタッペンのスピードに脱帽した。
「フェラーリを警戒していたかって? ああ、スタート前はね。しかしレース終盤、本当に驚かされたのはマックス(フェルスタッペン)のパフォーマンスだ。彼の終盤のスピードは非常に強力で、信じられない勢いで僕たちを追い上げてきたんだ。
もちろん、僕たちのマシンに近づけば近づくほど、前を走る車のダーティエアを受けることになるから、彼にとってもペースを維持するのは難しくなっていったはずだ。
それでも、最後の数周は本当にエキサイティングだった。マックスがジョージに追いつくのか、あるいは3番手のキミがさらにマックスを捕らえることができるのか、コントロールラインを通過するまで誰も予測がつかない緊迫した状況だったからね」
ヴォルフ代表は、今回の中東・欧州ラウンドのなかでも、このスピルバーグでの勝利は特にタフなものだったと付け加えた。
「レース中、一瞬たりとも息を抜ける瞬間はなかった。ライバルたちは、僕たちが望んでいたよりも遥かに僕たちの近くにいたんだ。特にレッドブルは、最後のスティントで極めて高い競争力を発揮していた。彼らのホームレースでの底力には目を見張るものがあったし、僕たちはチェッカーフラッグを受けるその瞬間まで、すべてのクリーンエア、すべての戦略を完璧に遂行しなければならなかった」
若きリーダー・アントネッリの粘りと、勝者ラッセルの成熟
冷や汗を握る勝利となったものの、ヴォルフ代表は自身のドライバーたちの完璧な仕事を大絶賛した。
「ジョージは本当に見事にレースをコントロールしてくれた。あのような終盤の極限のプレッシャーのなかでは、とにかく余計なことを考えずにクリーンに走り切るしかない。彼はそれを完璧にやり遂げ、最も重要な局面で1つのミスも犯さなかった。
そして19歳のキミ(アントネッリ)だ。彼はスタート直後から信じられないほどの粘り強さと『不屈の精神』を見せてくれた。予選でのミスを完全に帳消しにする素晴らしいリカバリーを披露し、レースの最終盤まで2位のフェルスタッペンに強烈なプレッシャーをかけ続けて3位をもぎ取ったんだ」
メルセデスは、予選でのセットアップ変更の段階で「土曜の一発の速さよりも、日曜の決勝(ロングラン)でタイヤを持たせる方向」へ舵を切っていた。この戦略が、終盤のフェルスタッペンの猛追、そしてフェラーリ勢を完全に突き放す原動力となったことは間違いない。
今季残り15戦。メルセデスの純粋なパフォーマンスの進化が本物であることを証明したオーストリアGP。しかし、大破したマシンを翌日には完璧な戦闘力へと戻してきたレッドブルの底力、そして2台のフェラーリという三つ巴の戦いは、今後のチャンピオンシップがさらに混沌とすることを予感させている。
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