【中国GP メディアデー】ハミルトンとルクレールに熱狂、ドライバーは新規則に懸念表明
上海でのメディアデーは、2026年シーズン第2戦・中国GPの公式な幕開けとなった。雰囲気はメルボルンとは明らかに異なる。オーストラリアGPはシーズン開幕戦特有の高揚感に包まれるが、中国のファンはまた別のエネルギーを生み出していた。熱心で、忍耐強く、ドライバーに会う瞬間を心待ちにしていたのだ。
パドック入口沿いには数百人のファンが集まり、お気に入りのドライバーを一目見ようと待ち構えた。そして、特に大きな注目を集めたのが、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールだった。
ハミルトンは中国で非常に高い人気を誇る。彼はキャリアを通じてこの地で複数回優勝しており、昨年のスプリントレースも制している。また、ルクレールにも多くのファンが詰めかけ、とりわけパートナーのアレクサンドラと一緒に姿を見せたことに歓声が上がった。アレクサンドラは快くファンとの自撮りに応じていた。
ハミルトン自身も、中国に戻ってきたことへの喜びを語った。最近、母親とともに中国で時間を過ごしたと明かし、近いうちにこの国をさらに探索してみたいと話した。
一方で、パドックではより深刻な議題も話題となっていた。オーストラリアで行われた開幕戦では、新世代マシンに対して多くのドライバーが不満を示し、いくつかのチームは信頼性の問題にも直面したためだ。
中国GPのパドックから、木曜日メディアデーの主なトピックを振り返る。


技術関連のメディアセッションは、アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラック氏のアップデートから始まった。彼はホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎氏とともに登壇し、メルボルンの日曜日とほぼ同じメッセージを伝えた。
アストンマーティンとホンダは、パワーユニットとバッテリーシステムの相互作用に影響を及ぼす振動問題に、引き続き集中的に取り組んでいるという。ダイノテストで新たな対策が見つかり、バッテリー振動の低減には一定の進展があったと説明。ただし、問題はまだ完全には解決していない。
クラック氏は、信頼性が当面の最優先事項であるとし、安定したマシンがなければ、パッケージの理解に必要な走行距離を稼ぐことができないと述べた。
今週末に使用可能なバッテリーの数は明らかにされなかったが、損傷したユニットの修理を進めることで供給を増やす努力が続けられているという。また、バッテリーの問題は振動によって直接引き起こされているわけではなく、より小さな内部コンポーネントの故障に関連していると強調した。


技術アップデートの後、プログラムは通常のドライバーセッションとFIA公式記者会見へと移った。会見は3人ずつの2グループに分かれて行われ、質問の多くは新しい技術規則の初期的な影響に集中した。
複数のドライバーは現在のレースダイナミクスを公然と批判し、エネルギーマネジメントシステムへの過度の依存により、オーバーテイクがやや人工的に感じられると指摘。そして、パワーユニットとバッテリー運用の複雑さが、レーススタートをより予測しにくいものにしているとの声も上がった。

具体的な安全面の懸念を示したのは、セルジオ・ペレスだった。彼は新規則下でのレーススタートについて警鐘を鳴らした。スタート時には、バッテリー展開、エネルギー回生、複雑なエネルギーマネジメントが同時に作用する。それにより、新しいパワーユニットの挙動が予測しづらくなる可能性があるという。
アンチストールシステムとエネルギー回収を同時に管理する必要があるため、スタートはこれまで以上に複雑になり、不規則な発進のリスクも高まる。こうした問題は、すでにメルボルンでも見られた。
ペレスは「新しいパワーユニットでスタートするのは非常に難しい」と語り、開幕戦でのリアム・ローソンの失速スタートを例に挙げながら、状況がいかに容易に悪化し得るかを指摘した。ただし、簡単に解決できる問題ではないとも認めている。規則変更にはすべてのチームの合意が必要になるためだ。
それでも、メルボルンはチームにとって重要な節目だったという。レースを完走したことで“ハネムーン期間”は終わり、今後はレースごとにパフォーマンスギャップを縮めていく段階に入ったと説明した。

一方、ジョージ・ラッセルは、メルセデスが開幕戦の分析を通じてすでに手順を改善したと語った。彼によれば、スタート時の困難の一部は、FIAが設けたフォーメーションラップ中のエネルギー回収制限に起因しているという。この規定は、グリッド前方からスタートするドライバーに不利に働く可能性があり、スタート前に回生できるバッテリーエネルギー量を制限してしまうのだ。だがラッセルは、チームが経験を重ねれば新しいシステムにすぐ適応できると見ている。
上海については、メルボルンよりも従来型のエネルギーパターンになる可能性を示唆。長いメインストレートがあるため、多くのドライバーはバッテリーエネルギーを一度に展開することになり、オーストラリアで見られたような特殊なパワーマネジメントの影響は減るかもしれないという。
また、ラッセルはメルセデスが明確なアドバンテージを持っているという見方を否定。いくつかのチームが同等のパワーユニットを持っており、パフォーマンス差はエンジンだけでなく、マシン全体の設計によって決まる割合がますます大きくなっていると述べた。


フェラーリの2人のドライバーは、週末に向けて前向きな姿勢を示した。上海のサーキットはメルボルンとは性格が大きく異なり、フェラーリのパッケージにより適している可能性があるという。
チームは独特の「マカレナ」ウイング(回転式フラップを備えたリアウイング)仕様を投入する予定。効率向上を狙ったユニークな空力ソリューションだが、わずかな重量増という代償も伴う。
ただし、フェラーリ陣営はメルセデスを過小評価すべきではないとも警告した。両ドライバーとも、メルセデスはまだマシン本来のポテンシャルを完全には見せていないと考えている。


そして、この日最後の注目すべきメディアセッションは、ハースのチーム代表である小松礼雄氏だ。
小松氏は、週末序盤に運用面でいくつかの困難があったものの、オーストラリアGPはチームにとってポジティブなスタートだったと語った。厳しい金曜日を経た後、FP3、予選、決勝での実行力を改善し、最終的にはクリーンなレースでポイントを獲得することができた。
しかし、小松氏は中国GPは全く異なる課題を突きつけると警戒している。スプリントフォーマットのためフリー走行は1回しかなく、マシンを理解し最適化する時間は極めて限られている。
さらに、グリッド中団で激しい競争が展開されている点にも言及した。ハースはアウディやレーシングブルズ、そしてメルセデスパワーユニットを搭載するアルピーヌやウィリアムズなど、直接のライバルを注意深く監視しているという。
特に、アウディについては印象的な評価を口にした。新規参入チームは強力な直線スピードを示しており、シーズンが進むにつれて、ミッドフィールドの有力な競争相手になる可能性があると示唆した。
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