フェラーリは2024年にチャンピオンシップに挑戦できるか?

フェラーリは2023年に王者レッドブルを抑えてグランプリ優勝を果たした唯一のチームだ。チーム代表として2年目を迎えるフレデリック・バスールの堅実な舵取りによって、フェラーリは今季チャンピオンシップに挑戦できるマシンを生み出すことができたのだろうか?F1史上最も有名なチームのプレビューをお届けしよう。

2024年のドライバー

シャルル・ルクレール #16: 優勝5回、30回表彰台、1074ポイント、125回レース出場

カルロス・サインツ #55: 優勝2回、18回表彰台、982.5ポイント、185回レース出場

シャルル・ルクレールは2018年にザウバーのドライバーとしてF1キャリアをスタートさせ、2024年はフェラーリで6年目、F1では7年目のシーズンを迎える。前回は未勝利に終わったルクレールだが、今季はその悔しさを晴らしたいところだ。

2022年のシーズン序盤は好調だったルクレールだが、マックス・フェルスタッペンがタイトルを獲得し、ルクレールは2022年ドライバーズランキングを2位で終えた。

ルクレールは4年連続でカルロス・サインツとコンビを組むが、来年はルイス・ハミルトンがフェラーリから参戦することが発表されたため、このコンビは最後となる。

2015年にレッドブルでF1キャリアをスタートさせたサインツは、トロロッソでフェルスタッペンとともにドライブ。2シーズン半を過ごし、2017年末にジョリオン・パーマーに代わってルノーに移籍した。

その後、サインツはマクラーレンに移籍し、良きチームメイトであったランド・ノリスとともに2シーズンを過ごした後、フェラーリからの呼びかけに応じた。2022年にシルバーストンで初優勝を飾ったサインツは、昨年のシンガポールGPでも優勝を飾り、2023年にはレッドブル以外でグランプリを制した唯一のドライバーという栄誉に輝いた。

しかし、ハミルトンが2025年フェラーリからレースに参戦する。サインツは不運にも移籍先を探しているようだが、1周の速さとレースでの速さを考えれば、2025年のオファーに事欠くことはないだろう。

昨シーズン

2023年、フェラーリはレッドブルの猛追を食い止めるという難しい仕事を任された。2022年にルクレールを擁してコンストラクターズランキングとドライバーズランキングの両方で準優勝を果たしたフェラーリは、シーズンオフにレッドブルとの差を縮められるのではという期待が高まっていた。

しかし、フェラーリはその逆を行き、シーズン序盤の大半を理解することの難しいマシンと過ごした。タイヤの摩耗は常に問題で、SF-23はライバルよりもラバーに負担がかかり、その結果レースで後退することもしばしばだった。

予選、フェラーリの1周のペースは良かった。チームは2023年に合計6回のポールポジションを獲得しており、そのうち直近の5レースでは3回を記録している。レッドブル勢以外ではサインツがシンガポールで唯一の優勝を飾り、ルクレールはここ4レースで3回の表彰台を獲得している。

フェラーリはメルセデスと2位争いを繰り広げたが、最終的に3ポイント差で敗れた。しかし、2位争いはフェラーリのような地位と歴史を持つチームが期待するものではない。また、シーズン後半にはサインツとルクレールがともにスタートに失敗するなど、信頼性にも問題があった。

チーム代表のフレデリック・バスールは就任1年目から反省すべき点が多かったかもしれないが、シーズンが進むにつれてフェラーリがタイヤの問題をよりよく理解している兆候が見られたことから、2024年に向けて期待が高まっている。

フェラーリの歴史

フェラーリはF1の代名詞だ。世界選手権が始まって以来、毎年参戦している唯一のチームであるフェラーリは、このスポーツの屋台骨を支えている。しかし、その歴史的地位が常に成功に結びついているわけではない。

アルベルト・アスカリ、マイク・ホーソーン、フィル・ヒルから4輪と2輪のチャンピオン、ジョン・サーティースまで、彼らには印象的なチャンピオンがいる。ニキ・ラウダは3度のワールドタイトルのうち2度をフェラーリで獲得し、フェラーリ312T2のステアリングを握って痛ましい事故にも見舞われた。

1979年にジョディー・シェクターがチャンピオンに輝いた後、フェラーリは長いことチャンピオンを獲得することが出来ずに苦しんだが、ミハエル・シューマッハ、ジャン・トッド、ロス・ブラウンが5年連続でドライバーズタイトルを獲得し、黄金時代を築いた。その後、2007年にキミ・ライコネンがタイトルを獲得したが、これがチームにとって現在に至るまで最後のタイトルとなった。

フェラーリは通算16回のコンストラクターズタイトルを記録しており、その最後のタイトルは2008年に獲得したものだ。フェリペ・マッサ、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ベッテルらの奮闘にもかかわらず、チームはそれ以来タイトルを獲得していない。

偉大な功績

これほど輝かしい歴史を持つチームだけに、タイトル獲得、驚異的なドライブ、華麗なカムバックなど、選び出すときりがないほど多くの功績がある。しかし、ここ直近でチームが成し遂げた最大の功績は、7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンをチームの一員に引き入れたことだろう。

ハミルトンは幼い頃から一貫してメルセデスのドライバーだった。F1ではマクラーレン・メルセデスとメルセデスの2チームでしかドライブしたことがない。また彼はトト・ヴォルフと親密な関係を築いており、7度のタイトルのうち6度をメルセデスで獲得している。

つまり、10年以上もチャンピオンから遠ざかっているフェラーリにとって、ハミルトンがメルセデスにいるのと同じように、フェラーリファミリーの一員であるドライバーをすでに擁しているチームであるフェラーリが、おそらくF1での最後の数年になるであろうハミルトンを誘い出すというのは、まったく信じられないようなことだったのだ。

発表されたときはスポーツ界に衝撃を与え、今世紀最大のドライバーの移籍とみなされた。そして今、フェラーリに託されているのは、記録的な8度目のワールドタイトルを狙うハミルトンがチャンピオンシップに挑戦できるマシンを提供することだ。それについてはもちろんルクレールにも何か言いたいことがあるのだろうが…。

2024年への重要な目標

昨年のフェラーリは予選のペースは十分だったが、決勝で後退してしまった。だから、2024年の重要な目標のひとつは、ピレリタイヤへの理解を深めることだ。

デグラデーションやグレーニングを起こさず、ドライバーたちがプッシュできるものに仕上げることが重要なのだ。そしてフェラーリにとっては、他車のダーティエアに追従する際にも、それを可能にする必要がある。昨年は両ドライバーともタイヤの摩耗に悩まされ、特に高速で劣化の激しいサーキットでその問題が露呈した。

ルクレールもサインツも、タイヤを温存せざるを得なかった。しかし、後半のレースで示されたように、タイヤさえなんとかなれば、マシンの核となるコンポーネントは速さを維持できる。だから、もしフェラーリがレース用燃料を積んだ状態でタイヤの問題を克服できたなら、2024年に向けてより良いポジションを確保できるだろう。

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