ホーナー氏、アルピーヌ買収交渉で中心的役割
元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナー氏が、アルピーヌF1チームの買収をめぐる25億ドル規模の取引において、MSPスポーツ・キャピタルと交渉を進めていることが明らかになった。52歳の同氏は、マクラーレン・レーシングの元投資家らとともに、F1復帰を目指しているとされる。
今年1月、アルピーヌは、ホーナー氏がオトロ・キャピタルによるチーム株式取得に関心を示す投資グループの一員であると公表。当時の声明では、「すべての協議及び手続きは既存株主であるオトロ・キャピタル(24%)とルノー・グループ(76%)との間で進められており、フラビオ・ブリアトーレ氏やチーム運営陣とは直接関係ない」と説明していた。
スカイ・ニュースによると、取引が成立した場合、アルピーヌの企業価値は20~25億ドルに達する見通しだ。これは、米誌『フォーブス』がエンストン拠点の同チームを24億5000万ドルと評価した推定額とも一致する。

ホーナー氏がチームの過半数株式を取得しない限り、F1復帰は実現しない可能性が高いとみられている。同氏はダブリンで開催されたヨーロッパモーターショーで、「単なる従業員ではなく、パートナーとして関わりたい」と語り、経営への主体的な関与を示唆した。
ホーナー氏は、レッドブル在籍20年間でドライバーズタイトル8回、コンストラクターズタイトル6回という輝かしい実績を築いた。一方で、同僚から“不適切な行動”で告発され、約17ヶ月後に解任が決定。しかし、その後2度にわたり潔白が証明されている。なお、同氏は今回の投資計画について公式なコメントを出しておらず、MSPスポーツ・キャピタルが正式に参画するかも明らかになっていない。他の支援者の存在についても現時点では不透明だ。
2025年9月、MSPスポーツ・キャピタルはマクラーレン・レーシングの推定15%の株式を売却し、同チームを30億ポンド(約40億6000万ドル)超と評価する取引を成立させた。これにより、再投資可能な十分な資金を確保しているとみられる。
また、ルノー・グループの新CEO、フランソワ・プロボ氏は同月、「長期的にF1に関与し続ける」と発言。しかし、F1エンジンプログラム終了後も操業継続を約束していたヴィリー・シャティヨン工場について、その方針を撤回する可能性が浮上している。

アルピーヌはワークスエンジン計画の終了に伴い、2026年からメルセデス製パワーユニットを搭載する予定だ。本来、ヴィリー・シャティヨンはルノーの「ハイパーテック・アルピーヌ」戦略の中核拠点と位置づけられていた。
これに対し、ヴィリー・シャティヨン市長のジャン・マリー・ヴィラン氏は、SNS上で強く反発。「嘘と裏切りだ」とルノーを非難し、「経営陣から約束が守られないと告げられ、衝撃を受けている。従業員への敬意が完全に欠けている」と訴えた。また、フランス政府(ルノー株の15%を保有)にも決定の見直しを求め、必要であれば抗議行動も辞さない姿勢を示している。
この決定がもたらす具体的な影響は現時点では不透明だが、ヴィリー・シャティヨン施設の閉鎖が現実となれば、アルピーヌF1チームの売却を後押しする材料となる可能性もある。
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