アルファタウリは戦略でウィリアムズに敗れたのか?

シーズン最終戦のアブダビGP前にドライバーズランキングとコンストラクターズランキングの両方が確定していたとはいえ、コンストラクターズの順位は各チームにとって数百万ドルの価値があるため、最終的な順位争いを繰り広げるチームとドライバーは多くいた。

そのような戦いのひとつがウィリアムズとアルファタウリの間で繰り広げられており、両チームは最終戦を前に7ポイント差で7位を争っていた。

このような状況では、自分にとって最高のポイントを獲得することと、ライバルの得点を阻止することから、少し集中力を欠いてしまいがちだ。レース前、最適な戦略は1ストップと2ストップの中間と予想されていた。しかし、セーフティカーが導入されるリスクが低く、オーバーテイクが比較的容易なヤス・マリーナ・サーキットでは、各チームがマルチストップ戦略に傾いた。

タイヤのデグラデーションが高いと、スティント終盤にタイムを失うだけでなく、強力なアンダーカットが発生し、さまざまな戦略をとるマシンのオーバーテイクのチャンスがさらに広がる。

各車、ハードタイヤを2セット、ミディアムタイヤを1セット使用する2ストップ作戦をとった。例外はランス・ストロール、カルロス・サインツ、バルテリ・ボッタス。

1ストップ作戦を完了したのは角田裕毅、エステバン・オコン、ボッタスの3人だけだった。

レース後、タイヤのデグラデーションが予想以上に高かったため、1ストップ作戦は2ストップ作戦よりも最適レースタイムが6.5秒ほど遅かったことが明らかになった。

しかし、ほとんどのレースでは、1ストップ作戦はドライバーのコースポジションをある程度維持することを意味するため、全体的に遅いレースタイムに見合う可能性がある。しかし、アブダビではそうではなかった。

アブダビでは、1ストップ戦略やハードタイヤでスタートしたために第1スティントを伸ばしたドライバーは、ピットインする前にコース上で遅れをとってしまうリスクがあった。

レースの軌跡を見ると、1回目のピットストップでは、ほとんどのドライバーが15周目にピットインしている。角田とストロールは22周目まで、サインツは23周目まで、ボッタスは29周目までと、4人のドライバーがピットストップを延長した。

角田を除く全員が、コース上で後方に浮上したドライバーにオーバーテイクされ、タイムを失った。先頭の角田はピットストップを終えたドライバーとのマージンが最も大きかったが、最後尾の2台はサインツとボッタスが最も苦しんだ。

角田はマックス・フェルスタッペンに抜かれるのを避けるため、1回目のピットストップを最適なタイミングより少し早く完了。しかしサインツは第1スティント終了時に4つポジションを落とした。

1ストップ作戦のボッタスは、第1スティントで11ポジションを失った。各ポジションロスはラップタイムのロスにつながる。そのタイムロスはオーバーテイクの位置やドライバーのディフェンスの強さによって変わる。サインツのラップタイムを見ると、15周目以降のオーバーテイクでは1回につき少なくとも0.5秒を失っている。

ポジションをキープしたまま最終スティントを伸ばそうとするドライバーにも同じ効果が見られる。1ストップ作戦の結果、角田はこの段階で6つのポジションを失った。

角田はフェルナンド・アロンソからわずか3.5秒差でレースを終えている。もし角田が1ストップではなく2ストップの作戦をとっていたら、その分ポジションを獲得できたかもしれないし、ウィリアムズから3ポイント差でレースを終えたアルファタウリにとって貴重な2ポイントを獲得できたのかもしれない。

しかし、リカルドはどうだろうか?

ダニエル・リカルドはもちろんアルファタウリのもう1人のポイント獲得候補だったが、ブレーキダクトをふさいでいたバイザーが破れたため、1回目のピットストップを予定より早めて2ストップ作戦を強いられた。リカルドにとってより重要なのは、この結果、より最適な2ストップ作戦をとっていたウィリアムズの両ドライバーの後ろにコースインしたことだ。

ポイント獲得の可能性がなくなったウィリアムズは、サージェントを使ってリカルドを苦しめる作戦に出た。リカルドが最後のハードタイヤでのスティントを開始すると、16周使用したハードで先行するサージェントが5周にわたってポジションをキープ。

リカルドは10位のストロールの後ろからわずか0.5秒差でレースを終えた。

もし、角田が別の作戦で7位を獲得し、リカルドが10位を獲得していれば、アルファタウリはウィリアムズと同ポイントを獲得していたことになり、チャンピオンシップの順位は最高位で決まる。

アルファタウリとウィリアムズの最高位はともに7位で、年間を通して2回ずつP7を獲得している。

つまり、超接戦になったとはいえ、角田かリカルドのどちらかがウィリアムズを抜いて7位に入るには、上記のシナリオよりも少なくとも1つ上の順位でフィニッシュする必要があったということだ。

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